そもそも「国力」は、経済力、軍事力、人口の総和と言われる。いくら軍事力を強化しても、これは国を外側から力をもって強くするもの。周辺他国へあらぬ警戒心を抱かせるという副産物も出来する。経済力といっても、何もGDPばかりではあるまい。上述のブ-タン国のように Gross National Happiness を尺度とする価値観があってもいい。時間はかかるものの、真の国力の強さは、国民の「教育」にある、と言っても過言ではなかろう。
今、まさにタイ国は、東南アジアの若きリ-ダ-として台頭しようとしていると言え、ビジネス界リ-ダ-や政府政策立案者は、海外の大学・大学院を卒業した裕福な家庭の子弟が中心となっている感は否めない。これから真にタイの国力強化の礎は、国の内側から強化する真の教育の機会が、貧富の区別なく平等に与えられ、以って、真のエリ-トを育成して行かねばならないだろう。こう考えると、このタイ日工業大学の存在価値は、タイの将来にとってとてつもなく大きな意味を持ってくる。優秀な学生には、JCCB等から奨学金が支給され、大学には数多くの機械工学用の資材が提供されている。日本語・英語が必須とされているので、進出日系企業の現場でも十分な communication がとれるよう指導されている。とかく現場が無視され勝ちな風潮がある此の頃、マネジャ-は、米国式個室に入って指示を与えることが「恰好良い」と見られ、現場と一緒になって、現場において愚直に地味に問題解決して行こうとする姿勢が敬遠され勝ちな最近の風潮。これらを打破し現場で、現物を手にしながら、日本語で communicate し共に問題解決していこうとする、ひた向きな若者が今、ここタイ日工業大学において、2010年には3400名も学ぶこととなるという。これら卒業生が、進出日系企業へ、そして之を通じて、タイ国を、そしてアジア・世界へ大きな力となって羽ばたいて行く。この光景こそ、真にパ-トナ-たる日タイの究極の姿ではなかろうか?つぶらな瞳に、学生のひた向きな姿に、深い感動を覚えながらタイ日工業大の新校舎を後にしたのであった。