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ロングステイのお誘い


海外ロングステイについて

寄稿:上東野 幸男(JTBF・ロングステイ委員会委員長)
longstay@jtbf.info

1.海外ロングステイへの関心急上昇

最近,、海外ロングステイ(以下海外LS)への関心が増大している。これは

  1. 海外生活の情報を知る・調べられる・相談するチャンスが多くなった。
  2. 海外LSをサポートする機関・団体が充実してきた。
  3. 旅行会社や海外LSサポート事業者の下見ツアー・生活体験ツアーが活発になった。
  4. 年金の有効活用の選択肢としての認識がたかまった。

など、海外LSを取巻く環境変化によるものと思われる。即ちマスコミの多くは相変わらず牽強付会のストーリ造りと過剰な演出や「生活費の安さ」だけを訴求しているが、次第に健全な海外LS情報が提供されるようになってきている。

ロングステイのガイドブックや書籍例えばガイドブック・書籍は総花的LSから国別LSガイドが(漫画も含め)次々と出版されている。2004年、新しい海外LS専門雑誌として「(海外で人生を遊ぶおとなの雑誌)ラシンrasin」、「(南の島暮らしのための情報誌)楽園生活」や「(海外ロングステイ応援マガジン)悠遊自適」などが刊行され、今月は「(海外・日本どっちも暮らしの本)Libero」が発刊される。「(自由に働く自在に遊ぶ、人生の達人へ)日経マスターズ」をはじめ「(50代からの暮らしの生き方マガジン)毎日が発見」、「(50代の生き方暮らし方)天上大風」などの高齢者・退職者向けの雑誌にも、NPO新現役ネットの「らいん」、(社)長寿社会文化協会(WAC)の「ふれあいねっと」など高齢者を組織する団体の会報にも、投資家雑誌「ジャパニーズ インベスター」などにも「老後を海外で暮らすこと」が記事になるようになった。また、海外LSのセミナーもさらに盛んに実施されている。

ちなみに 海外在留邦人数(3ヶ月以上)(2003年10月1日)は、全体では過去最高の911千人(前年比4・5%増)で、2006年には百万人超の見込みである。内、アジアは207千人(前年比9.9%増)で全体の23%を占める。

また2004年10月1日のタイ国在留邦人(在タイ日本大使館発表)は32,442人(前年比12.7%)で、バンコク首都圏に26,681人、チョンブリ2,063人、チェンマイに1,234人である。なお2004年のタイ国入国外国人1,174万人のうち日本人はマレーシアに次ぐ第2位の121万人で前年比16.3%と増加している(2005年はインド洋大津波の影響が心配されるが)。

2.海外ロングステイのサポート

海外LSをサポートする機関・団体が多くなり、サポート内容も充実してきた。更に今後これらの海外LS関連事業者が特に注目するのは、(1)ロングステイヤー希望国のアジアシフト (2)医療・介護の不安や心配の解消 (3)2007年以降の団塊の世代大量定年である。

* 1947年~49年生まれの団塊の世代(690万人)は、1970年代のブライダル需要など消費や流行に大きなインパクトを与えてきたが、海外LSには(前世代より更に)抵抗感がなく拍車をかけると考えられる。

(財)ロングステイ財団の賛助会員(LS関連事業者)も2003年夏の28法人から現在50法人超(2006年3月には100法人見込みとのこと)となり、財団認定の海外サロン(日本人ロングステイヤーへの現地サービス拠点)も2年前の14拠点(タイ国バンコク1拠点)から現在21拠点(タイ国バンコク3・チェンマイ1拠点)に増加している。これなどは特に上記 (1)アジアシフト (3)団塊の世代大量定年 への期待感もあろう。

3.タイ国ロングステイについて

2年前にも「タイ国は海外LSの諸条件では日本人に最適である」との私見を述べたが、ロングステイ財団等の調査・アンケートではアジア(特にタイ国)への評価や人気は低かった。しかし最近のアンケートなどの評価は変化(人気上昇)してきた。また前述の海外LSの専門誌「ラシン」を発刊したイカロス出版の「ロングステイ50都市ランキング」(2005年3月)も同傾向を示している。11項目(物価・治安・医療・気候・対日感情・LSビザ・英語の通用・日本語の通用・日本食材・日本との距離・ゴルフ)で満点55点の評価で、チェンマイが45点でペナン(マレーシア)と第1位、バンコクが44点でゴールドコースト(オーストラリア)と第3位である。

LSジャーナリストの戸田智弘氏は9項目(治安・物価・住居・言葉・医療・文化娯楽・アクセス・ビザ・その他)で評価し、チェンマイが第1位(71点)、パタヤが5位(65点)、バンコクが7位(62点)、ホアヒンが8位(60点)でタイ国の評価が高い。オーストラリアはパース(2位)とゴールドコースト(3位)、フィリピンはダバオ(3位)とセブ(6位)。以下 クアラルンプール(9位)・カナダ(10位)がベスト10である。

タイ国での日本人LS振興のため、2003年5月「海外ロングステイについて」でタイ国のLS施策に対し、「タイ国は親日感情・仏教・歴史・文化・食事・安全・医療介護・日本情報・学習など日本人LSの条件で(他国より)優位にあるが、タイ国を知らない多くの日本人の評価は低いので、広報・宣伝・マーケティング活動を強化すべきである。ロングステイヤーにはビザ等の制度だけでなく、サービス向上などソフトが大切」と提言した。

タイ国のLSプロジェクトを振り返ると、タクシン首相就任後01年にロングステイ委員会設置。年末にTLM社(タイ・ロングステイ・マネ-ジメント)の設立が閣議決定。 2002年9月にTLMが資本金1億バーツ(タイ政府観光庁TAT30%,国内45%、海外25%)で発足した。しかしその後のTLMの諸活動計画は頓挫し、経営不振の状況に至っている。

即ち 日本人LSにはタイ・日本のLS事業者のサポートが増え、サポートも充実してきたが、タイ政府・TATは2年前とあまり変わらない状況である。LSビザやエリートカードなどの形を作ってもサービス等のソフトの進展がないのである。

* タイ国での日本人ロングステイヤーのサークル〈クラブ〉
(1)タイロングステイ日本人の会(TLSJ) バンコク 約120名
(2)チェンマイ ロングステイライフの会(CLL) チェンマイ 

4.今後の方向について

タイ国投資委員会(BOI)は長らくロングステイ(シニア ケア)を投資奨励事業にすると発表してきたが、ようやく2004年後半日本企業が認可をうけ活動を開始している。従って今後は日本人によるLS事業が活発になり、多様で、要求の厳しい日本人LSに対応したきめ細かいサポートやサービスが期待できる。

最近の日本人タイ国ロングステイの傾向(私見)

  1. 目的が明確になってきた
    研修(タイ語・英語、カービング、マッサージ)、治療(歯科・視力)、エステなど
  2. 期間、時期(避寒・花粉症対策)もさまざま
  3. 定年後・年金者だけでなく50才代も
  4. 非健常者・要介護者もLS志向に
  5. 過去の経験・能力をいかせる就労(ボランティアも)を希望
  6. バンコクからチェンマイなどに分散
  7. 住宅・住宅費への関心や不満が多い

これらの傾向と 2.で述べた「多数の団塊の世代」「医療・介護の不安」にキッチリと対応することが、ロングステイヤーにもタイ国にも、タイ・日のロングステイ事業者にも大きなメリットになると考える。特に上記 5. の就労は(時間・収入の制限をつけても)タイ国企業へのメリットだけでなく、他国との差別化でタイ国LS振興になるものである。



寄稿/掲載日:

2005/6/01

寄稿者紹介:

(前) タイ三菱電機社長
(現) 日タイロングステイ交流協会事務局長

日タイロングステイ交流協会(連絡先: 047-355-9000):

・タイ国大使館のホームページの「日タイ関係 タイ・日草の根交流の紹介」最新で、日タイロングステイ交流協会および上東野幸男氏(同事務局長)が紹介されています。
・同協会のメンバーには、JTBFの顧問であるスウイット駐日タイ大使、恩田元駐タイ日本大使が特別顧問として、同じくJTBFの会長である丸子元泰国三井物産社長が理事として、JTBF会員の勝田久男氏が会員として、加わっておられます。



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