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| 訪タイミッション2010 日本大使館訪問記 右上の文字サイズ変更ボタンは、お使いのブラウザーの JavaScript の設定が有効でないと機能しません。 | |
JTBF訪タイ・ミッション2010 (2/01-2/04)
日本大使館訪問記
布施隆史(バンコク支部長)記
| 2010年2月01日(月) 16:30-17:30 於:日本大使館 レセプションルーム |
| 出席者: | (大使館) 小町大使 大鷹公使 積田二等書記官 |
| (JTBF-敬称略): 北山、森田、吉川、石井、本村、渡辺、加藤、吉田、岡本、Rawipun、布施 |
北山: 本日はBOI及びTNSCを訪問、また自分と本村さんは財務省を訪問した。3月中旬マプタプット問題などを政府・経団連など日本側に説明し、理解を得るため、FTIとTCC(タイ商工業会議所)の代表団と共に、コーン財務大臣が急遽一緒に訪日すると聞いている。
タイ情勢の現状と今後の見通しなどについてお話を伺いたい。
大使:経済は回復基調にある。世銀/アジ銀などは2010年の経済成長が3.5%或いはそれを上回るとの強気な予測をしている。
心配なのは国内政治問題。2月26日にタクシン元首相の資産を凍結するかどうか最高裁判所が判決を下す。タクシンに一方的に不利な判決が出た場合、タクシン派は反発するだろう。クーデターの噂もある。2月26日を前にしてタクシン支持派、反対派の神経戦の様相を呈している。クーデターをやったら裁判所の判決が変わるのか。政治の先行き予測は現状極めて困難と言わざるを得ない。
マプタプット問題が心配なのは分かるが、三権分立である以上、司法の判断を尊重せざるを得ないのは事実。この問題について政府はルールを決めつつあるが、問題解決に向けた今後のキチンとした道筋が示されないまま経済の回復基調に影響が出るのは困ると政府に申し上げている。
国境周辺でのカンボジアとの緊張状態がメコン開発に影響を及ぼすのではないかとの懸念はあるが、両国は経済関係の断絶という状態にはなっていない。メコン開発はアセアンが結合して推進すべきだし、各国は国境を超えてそのような方向に向けて努力するだろう。昨年11月のアセアン・アメリカサミットでは、アピシット首相が議長となりイニシアティブを取った。アセアン統合など国によって格差はあるが大きな流れは不変であろう。アセアン・ロシアサミットの開催もが検討されている。タイは、アセアンの中で「運転席」の切符を確保したいのであろう。

本村: カンボジアとの関係は経済断交までは行っていないとのことだが、中国がカンボジアを支援し中国の影響力が次第に強くなっている中、日本が置いていかれるのではないかとの懸念がある。
大使: 中国・韓国がすごい勢いでカンボジアに入ってきているのは事実。ラオスでも然り。日本が何もしなければ別だが、メコン開発に日本がどのように絡んでゆくか、日本がきちんと手を打って行けば両国に一方的に押しまくられることはないだろう。
本村: 本日TNSC (Thai National Shippers' Council) を訪問したが、バーツ高が問題と言っていた。1年前に比べて5%高くなり、今年に入っても1%上昇、輸出業者は困っているとのことだった。タリサ中銀総裁もバーツは強含みと発言している。なだらかなバーツ高になるように多少の介入はあるのかも知れない。
大使: 為替はよく分からないが、あまり発言しないブンヤシット氏(サハグループ?)は昨年秋、バーツ高になるとはっきり指摘していた。
北山: 中国は人民元を切り上げない、韓国は急激なウオン安に見舞われている、ベトナムはドンを切り下げた、等々周辺国の通貨情勢の影響でタイはしんどい状態にある。
本村: バーツ高のため、低価格指向の日本市場でタイ製品が中国製品に侵食され始めている。タイ製品の競争力に翳りが出始めているのではないかとタイ大好き人間として心配している。
公使: 日本から大きなロットの農産物の注文が来た場合、タイは対応できず、大量注文に対応できる中国に注文が行くということはあるだろう。
マプタトプット問題については、構造的な問題をきちんと解決し、中進国として責任ある対応をする必要がある。この問題はタイがそれが出来るかどうかの試金石になるだろう。タイでも老齢化社会が近づいているが、年金制度などは未整備。様々な問題に対してタイは中進国として責任ある解決の道を見出すことが肝要。
岡本: 労働問題が経済の足枷にならないかと危惧している。労働問題で操業をストップした自動車メーカーがある。自動車関連企業の中にはかなりの人員整理を行った会社があるが、切られた労働者が戻って来ないという現象が出ている。部品供給はギリギリの状態。先々週、某部品メーカーが100人募集したところ、応募者は僅か3人だったというケースもある。賃金の安いところから人が逃げて行く状況が見られる。
公使: 若干の労働問題が大使館に持ち込まれたことがあるが、タイに労働問題をスムーズに解決するメカニズムがあるのだろうか。
岡本: 労働裁判所があるが、タイ側に有利な判決を下す例が多く、日本企業は行きたがらない。
大使: 日本の中央労働委員会のような中立的な裁定機関があればいいと思う。
マプタプット問題だが、日本の公害問題解決の歴史を参考にした持続可能な解決システムの構築が必要と思う。日本のやり方がタイに当てはまるかどうかは分からないが、例えば年間とか1日当りの汚染物質の許容排出量を科学的根拠に基づいて設定するなど、誰もが納得できる客観的な基準やルールを設定することが肝要と思う。大使館からJAICAに依頼して日本から2人の専門家に来てもらい、日本での対応事例についてセミナーを実施し問題解決に協力している。
労働問題、マプトプット問題などについては日本としてタイにいかなる協力ができるか検討・努力している。
公使:高炉建設、原子力発電、高速鉄道などは「大きな政策判断」をしないと進まないが、タイ人気質なのか焦りを感じていない人もいてなかなか先に進まない。ベトナムの高速鉄道敷設計画のように、「是非、実現の方向でやる」という大きな政策判断が必要で、中国の力を借りながらでも出来ないレベルのこともやろうとしている。バンコク―ラヨン、バンコク―チェンマイ間の高速鉄道計画など、日本としてもこうした大型案件に協力したいと思っているが、政情が安定していないのがネックになっている。
吉田: 国王はほどほどの経済(いわゆる「足るを知る」経済)に言及されているが、これはタクシンの経済政策の否定ということだろうか。
大使: 「足るを知る経済」についてはアピシット首相も国連演説で触れており、基本的にこの考え方はあるだろうが、具体策は不明。輸出依存度が大きいだけに、リーマンショック以降は、内需喚起はやるべきとの観点から、完全にその方向に走っているというのでもなさそうである。
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