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泰日工業大学開学式に参加して

JTBFバンコク支部長 布施隆史


泰日工業大学の開学式典(2007年8月2日)

日本のものづくり理念と技術をタイに伝える泰日工業大学の開学式典が8月2日午後3時から、シリントーン王女ご臨席のもと、パタナカーン地区の同大学キャンパスで行われ、加藤寛二さん、小原知美さん及び小生(布施)の3人がJTBF代表として出席しました。式典にはタイの政財界と日本企業の関係者など約600人が出席しました。

プラユーンTPA会長とスポン同大学理事長が設立の経緯などをシリントーン王女に報告され、日本側を代表して森元首相が「この大学は日本とタイの懸け橋になり、両国の発展に寄与することになるであろう」と祝辞を述べられました。20分程度で終了した式典のあと、王女による除幕式及び記念植樹、更に学内ご視察が行われました。

泰日工業大学開学式


泰日工業大学開学の経緯

同大学は日本留学を経験したタイ人が組織し、永年に亘って日タイ間の交流とタイの技術振興を支えてきた「タイ日経済技術振興協会(TPA)」が、16億円を投じ、約16,000㎡の敷地に設立されました。1970年代から大学設立の構想はありましたが、資金不足などで時間がかかり、日タイ修好120周年の今年、ようやく開学に至ったものです。

JCCやJTECS会員企業、在タイ日本企業など多くの日本企業、タイ企業、個人が寄付によって奨学金支給が可能になり、初年度の今年は修好120周年を記念して120人の学生に奨学金が支給されるとのことです。

学部は工学、情報技術、経営の3学部ですが、大学院及び一般教養・語学室も併設されています。計画では最終的に4棟の校舎が建設され、2011年には学生総数が3,000人になるとのことですが、現在は2棟の校舎で3学部合計375人の男女学生(1年生)が34人の教師陣のもとで学んでいます。


学内見学およびレセプション

式典前の数日間は一日に1回猛烈な雷雨があり、大学敷地内の屋外にテントを設営して式典が行われたため、雨が心配されましたが、曇ってはいたものの幸い雨は降らず、プラユーン会長もレセプションでの挨拶で「雨が降らなかったことがなにより」と喜んでいました。ただ、猛烈に蒸し暑く、風もなく、タイ人と違って汗腺の多い(?)日本人にとって背広にネクタイという服装はサウナに入っているのと同じで、このために日本からお出でになった方々にとって辛い半日であったろうと思います。

シリントーン王女は科学技術にご関心が深いとのことで、当初1時間予定の学内ご見学が大幅に延び、結局1時間40分に及びました。王女のご見学終了後、われわれも学内を見学しました。新装なったばかりで当たり前とはいえ、非常にきれいな校舎・教室で、パソコンや日本企業から提供された実習用機材を含め機材・設備も充実しているとの印象でした。もっとも図書館はまだ参考書が充分そろっておらず、書架がずいぶん空いているのが目立ちました。

学生の制服は男女とも黒、女子はスーツですが、男子は日本の学生服に酷似した詰襟です(同席の小原さんによれば、ご自分の母校・麻布高校の制服に似ているとのこと)。いくら校内は冷房があるといってもこの暑いタイでわざわざ首を絞める詰襟はないだろうというのが小生の率直な感想ですが、暑苦しいだろうと思うのはわれわれ日本人で、暑さをあまり苦にしない(ように見える)タイ人にとっては、他校ではまず見られない詰襟制服がカッコよく見えるのかも知れません。

レセプションでは女子学生12人によるタイ舞踊(ろうそく踊り)と男子学生6人による Japanese Samurai Sports Show なるものが披露されました。ろうそく踊りは両手に持ったロウソクの火を消さないようにゆっくり優雅に踊ると司会が紹介していましたが、半分ほどが途中で火が消えてしまったのはご愛嬌でした。

男子学生のサムライスポーツショウはなんとも珍妙な演し物でした。空手着のようなものを着た学生が手にしていたのはスポンジか軟質ゴム製とおぼしき長さ50-60センチの棒。これを刀に見立てて“ヤーツ”と振り回すのですが、いまひとつ迫力に欠ける声。打ち込むのもゆっくりなら受けるのもゆったりしたもの。しかし、子供の頃チャンバラに遊び興じた我々だからそう感じるのであって、言っても詮無いこと。学生諸君はこの日に備えて一生懸命練習したのでしょう。結構真剣に演技して盛んに拍手を浴びていました。


泰日工業大学に寄せられる期待

同大学が目指すのは「現地日系企業のニーズに直接合った人材を安定して供給すること、日本語でのコミュニケーション能力を有する人材を育成すること等を通じてタイと日本の一層の経済連携と友好関係の発展を目指す」(大学パンフレット)ことにあります。この大学で勉強し、数年後から毎年、日本語のできる学生が数百人・数千人単位で卒業し日本企業に就職してくれれば、かなり深刻な技術者不足に直面している日本企業にとっては大いなる朗報であり、企業側は大きな期待を寄せています。



参照: 泰日工業大学の開学
注: 開学式典の写真は、泰日工業大学/日・タイ経済協力協会(JTECS)からご提供いただきました。


寄稿:

2007/8/08

寄稿者紹介:

布施隆史 (元) 泰国日商岩井社長



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