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タイ国経済概況(2008年4月)
タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。
日タイビジネスフォーラム金融委員会
1.景気動向
- タイ中央銀行の月例金融経済報告(3月31日発表、2月実績)によると、貿易収支は、1月の1.7億ドルの黒字から、2月は6.2億ドルの赤字となり、10ヵ月ぶりの赤字となった。輸出額は128.9億ドル(前年同月比+16.2%)、輸入額は135.1億ドル(前年同月比+32.5%)となった。全体的に輸入量が増加しているが、特に燃料、石油製品の価格上昇が輸入額を押し上げた。経常収支は、1月の14億ドルの黒字から、2月は7.5億ドルの黒字となり、黒字幅が縮小した。2月末の外貨準備高は1,001億ドル(前月対比+77億ドル)となった。
- タイ商務省の3月1日の発表によると、3月単月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で5.3%(前月対比▲0.1%)となった。食品・飲料は前年同月比7.8%、非食品は前年同月比3.8%上昇した。食品・飲料の中では、肉・魚介類が15.3%、非食品の中では石油燃料が25.3%と大きく上昇した。生鮮食品とエネルギーを除くコアCPI上昇率は前年同月比1.7%(前月対比+0.2%増)となった。
2.投資動向
- タイ投資促進委員会(BOI)によると、2008年1~2月の外資系企業(外国資本10%以上)による投資促進申請件数は167件(前年同期比+25.6%)、投資申請金額は535億バーツ(同+62.4%)となった。分野別の投資件数は、サービス・公共施設49件(82億バーツ)、金属製品・機械・輸送機器38件(73億バーツ)、電機・エレクトロニクス25件(175億バーツ)、化学・紙・プラスチック17件(55億バーツ)、軽工業16件(24億バーツ)、農業・農産品加工15件(40億バーツ)、鉱物・金属・セラミックス7件(85億バーツ)となった。外資系企業の国別投資申請件数は、日本63件(総投資額110億バーツ)、シンガポール15件(同110億バーツ)、台湾12件(同13億バーツ)、米国10件(同7億バーツ)、英国8件(31億バーツ)、韓国8件(同11億バーツ)などとなった。
- BOIは3月20日に開催された委員会で、2008-2009年を「タイ投資の年」に指定し、製造業の競争力強化のための税務恩典付与など、8つの投資促進策を承認した。BOIでは、2008年から2009年にかけて、1兆バーツ相当の投資申請を予想している。投資促進策は、①自動車・電子等潜在能力の高い産業の開発持続、②高技術・代替エネルギーの利用促進、③南部臨海地帯開発地域でのインフラ整備、工業団地造成、高品質鋼材の川上産業への投資促進、④最新技術の機械設備切替への税制措置、⑤タイ企業の対外投資促進の為の「インベストメントサポートセンター」設置、⑥日本・欧州・米州等投資誘致対象国での説明会開催、ソウル・台北・北京・広州・シドニー・ストックホルムに事務所を新設、⑦BOIのサービス体制強化、関係機関との連携強化、⑧「投資・競争力強化基金」の創設及び最新技術、省エネ、環境、人材育成事業等への融資制度の制定。
- タイ政府は、3月31日に日本政府と「バンコク大量輸送網整備計画」実施のため、約624億円を限度とする円借款の調印を行った。タイの新規案件に対する円借款供与は5年半ぶり。今回の整備対象は、バンスー~バンヤイ区間(パープルライン)の総延長23キロメートルで、区間の総工費は約800億バーツを見込んでいる。タイ政府は年内の建設着工、2013年の運行開始を目指す。
3.金融動向
- タイ中央銀行によると、2008年2月末の金融機関の預金残高は8兆5,399億バーツ(前年同月比+1.8%増)となり、2007年7月以来7ヶ月ぶりに8兆5,000億バーツを記録した。多数の銀行が預金者の関心を惹くために、特別金利の預金を提供したため。貸出残高は7兆2,330億バーツ(前年同月比+5.3%増)となり、昨年12月から3ヶ月連続で4%以上の伸びを記録し、企業向け融資が回復し始めていることを伺わせる。
4.金利動向
- 3月のバーツ金利相場は、①2月末の資本規制撤廃を受けた急激な資本流入防止や、景気・バーツ高対策として今後の利下げ観測が強まったこと、②海外投資家が自由にタイ国内の債券を購入可能になるとの見方が広がったこと、③信用不安から米国での大幅利下げ観測が高まったことなどにより、金利は低下地合いでスタートした。しかし、米国での利下げ幅が0.75%に留まったことや、スラポン副首相が「原油価格の上昇という逆風はあるが、6%成長目標は変えない」など景気について強気の姿勢を崩していないこと、バンディド中銀副総裁が「タイ経済に対する主要なリスクはドル安や加速するインフレ」、「現状の金利水準と流動性総量は民間投資を支えるのに適当な水準」、タリサ中銀総裁が「国内景気の回復が世界的景気後退とオフセット」と、金利据置きを印象付ける発言が繰り返されたことで利下げ期待が後退し、金利上昇地合いで越月となった。
- 4月9日に開催されたMPC(金融政策決定委員会)では、金利据置きとなった。同時に発表された声明文では、緩和的な金融政策と積極財政に支えられて内需主導での成長が続くとの期待感を示す一方で、インフレへの警戒感も強調。年後半には世界景気の減速でインフレ圧力緩和としているが、信用不安の後退と好調な内需が維持されていることから、必ずしも「次なる一手は利下げ」との観測一辺倒ではなくなることも考えられる。
5.為替動向
- 3月のドルバーツ相場は、2月末に資本規制が撤廃されたことで、バーツ高圧力下のスタートとなった。資本規制撤廃により更なるバーツ高を懸念し、まとまった規模でのドル売バーツ買も散見されたが、タイ中央銀行による市場介入が断続的に入った模様で、1ドル31.50近辺がサポートされた。タイ中銀の執拗な介入観測で、月半ばまではレンジ内での動きとなったが、米国での信用収縮懸念が広がりを見せたことで、ドル売りの動きが顕著となり、31.50割れとなった。その後もじりじりとドル安バーツ高の動きが続き、31.15近辺までバーツ高が進行、10年半ぶりのバーツ高値を記録した。月末に掛けては、配当金支払いや投資家による資本回収といったタイ国外への資金流失により、バーツ売りの動きが活発化するなど、一時は31.70近辺まで上昇する値動きの大きな相場となり、31.50近辺での越月となった。尚、2006年12月の資本規制発動後から乖離していたオンショアとオフショアバーツ直物相場は完全に収束し、相場は再び一本化された。円バーツは、信用収縮懸念の広がりから主要通貨に対してドルが急落、12年5ヵ月ぶりのドル安円高水準を記録したことから、バーツに対しても円高の動きとなり、一時0.32台乗せとなった。
- 信用不安の後退から、ドル全面安の動きに変化が見られている。また、3月末にタイ中央銀行から発表された貿易収支は2007年4月以来初めて貿易赤字となったことからも、これまでの一方的なドル安バーツ高の相場展開から、レンジ相場へ移行していくものと予想される。
6.政治動向
- 政府は3月18日に開いた閣議で2009年度予算の枠組みを決定した。歳出総額は1兆8350億バーツ(前年度対比+10.5%増)、政府の純収入は1兆5850億バーツ(前年度対比+6.1%)と見積もられた。赤字額は約2,500億バーツ(GDP対比2.5%)で、年度予算の赤字編成は3期連続となる。政府は、景気刺激策として大規模インフラ整備事業計画(メガプロジェクト)の推進をしているが、その財源は主に建設国債の発行や海外からの借入で調達するため、予算外の収支として取り扱う。
当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。
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