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タイ国経済概況(2009年11月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ中央銀行は10月29日、2009年の経済成長率(GDP伸び率)予測について、▲3.5%~▲2.5%に上方修正した。また、世界経済の回復で下半期に入り輸出が伸びてきたことなどから、2010年の経済成長率予測についても+3.3%~+5.3%に上方修正した。
  2. タイ中央銀行の月例金融経済報告(10月30日発表、9月実績)によると、輸出額は147億ドル(前年同月比▲8.3%)と回復基調にある一方、輸入額は127億ドル(前年同月比▲18.2%)と依然低調な結果に終わった。貿易収支は20億ドルの黒字、経常収支は13億ドルの黒字。9月末時点の外貨準備高は、1,318億ドル(前月比+45億ドル)となった。
  3. タイ商務省の11月3日の発表によると、2009年10月単月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、前年同月比で+0.4%となり、10ヶ月ぶりにプラスに転じた。項目別では、食品・飲料が前年同月比1.6%上昇したものの、非食品は前年同月比0.9%下落。生鮮食品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は、前年同月比▲0.1%と前月から横ばいとなった。前月(2009年9月)比では、食品・飲料の0.6%上昇に引きづられる形で、全体で0.2%上昇した。

2.投資動向

  1. タイ投資促進委員会(BOI)によると、2009年1~9月の外資系企業(外国資本10%以上)による投資促進申請件数は累計で488件(前年同期比▲23.1%)、投資申請金額は1,364億バーツ(同▲38.4%)となった。投資額が1億バーツ未満の小規模投資申請が全体の68.4%を占めた。分野別の投資件数は、サービス・公共施設136件(投資額368億バーツ)、金属製品・機械・輸送機器108件(同355億バーツ)、電機・エレクトロニクス101件(同291億バーツ)、農業・農産加工品51件(同114億バーツ)、化学・紙・プラスチック43件(同127億バーツ)、軽工業36件(同23億バーツ)、鉱物・金属・セラミックス13件(同85億バーツ)となった。外資系企業の国別投資申請件数は、日本176件(投資総額456億バーツ)、シンガポール40件(同114億バーツ)、米国32件(同255億バーツ)、韓国29件(同60億バーツ)、マレーシア29件(同72億バーツ)、台湾28件(同54億バーツ)、オランダ19件(同16億バーツ)などとなった。
  2. タイ投資促進委員会(BOI)は、2010年の投資誘致目標について、投資額5,000億バーツ(2009年見込比+25%、国内・外国合計)を目指すとの見通しを明らかにした。BOIによれば、2010年は世界的な景気回復に伴い、タイへの外資系直接投資が拡大すると指摘。また、海外製鉄大手の高炉建設計画が実現すれば、投資額がさらに増えると見込む。国別では、日本が引き続き最大の投資国になるとみられるが、中国における人件費の上昇を受け、中国及び香港からの投資拡大を予想している。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると、2009年9月末時点の金融機関の預金残高は9兆3,597億バーツ(前年同月比+7.3%)となった。一方、貸出残高は8兆5,103億バーツ(前年同月比+0.4%)となり、昨年9月から13ヶ月連続で前年同月比の貸出残高の伸び率が低下。預金超過額が拡大している。

4.金利動向

  1. (10月の回顧) 10月のバーツ金利相場は、月前半は金利上昇の動きとなった。オーストラリア中央銀行が利上げを決定したことや、バーナンキFRB議長が「景気見通しが十分に改善すれば金融政策スタンスを引き締める用意がある」との発言したことなどを受け、主要国で金利上昇が上昇。その動きに追随してバーツ金利も上昇地合いが鮮明となった。しかし、月半ばからは金利上昇の動きが一服。10月21日に開催されたMPC(金融政策決定委員会)では、金利据置が決定。同時に発表された声明文では、景気回復に対するトーンは引き続き明るいものとなったが、インフレ圧力が抑えられている状況下、ゆっくりとした回復をサポートするため低金利政策は継続、当面の間は金利据え置きを推測させるものとなった。月終盤には、タイ中央銀行が2009年及び2010年GDP成長率予想を上方修正したことで金利低下の動きも続かず、レンジ相場の様相となり越月となった。
  2. (11月の展望) MPC声明文によれば、しばらくは金利据え置きが継続されると推測され、短期金利の上昇余地は限定的になると予想される。その一方で、引き続き財政懸念が燻っていることから、長期金利は上昇リスクが高いものと考えられる。

5.為替動向

  1. (10月の回顧) 10月のドルバーツ相場は、1ドル=33.45バーツ近辺からのスタートとなった。月初から、堅調な株式相場を背景としたアジア通貨高の動きにつられ、バーツ買の動きが優勢となった。一方で、オーストラリア中央銀行の利上げを受け、米国での金融緩和解除が他国より遅れるとの思惑が強まり、金利差拡大によるドル売が加速、ドルバーツは33.30割れを記録した。ドル安/バーツ高の動きが顕著となったことで、スチャダ中央銀行総裁補は、「今月に入ってからのバーツ上昇のスピードは速すぎる。タイ中央銀行は市場介入を続けている」とバーツ高の動きを牽制した。しかし、月半ばからは動きが一転、プミポン国王の健康状態についての噂から、タイ株式市場が急落、バーツ売の動きも活発化しドルバーツは33.50台まで反発した。月末にかけては、米国が出口戦略に入るとの懸念から、株式・商品相場が下落、ドル買い戻しの動きが顕著となり、タイ国内輸出企業によるドル売/バーツ買のフローが相殺されるかたちで、33.40台での越月となった。1円=0.37台前半で始まった円バーツ相場は、一時0.37台後半を記録したものの、FOMCを前にしたドル買い戻しの動きが活発化し、0.36台後半での越月となった。
  2. (11月の展望) 9月貿易統計によれば、貿易黒字額が20億ドルと引き続き高水準を維持。貿易黒字の存在は今後もバーツ高圧力として残存すると思われる。その一方で、金融緩和からの出口戦略が意識され、投資家のリスク選好姿勢にも変化が現れつつあり、堅調な株式相場に変化が生じれば、バーツ安圧力が強まることが予想される。

6.政治動向

  1. 10月23日~25日、ホアヒンでASEAN関連首脳会議が開催され、東アジア共同体構想、ASEAN統合、地球温暖化対策、新型インフルエンザ対策などについて協力体制を確認した。会場周辺には治安維持法が発令され厳戒な警備体制が敷かれたが、大きな混乱はなく無事終了した。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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