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タイ国経済概況(2009年12月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ国家経済社会開発委員会(NESDB)は11月23日、2009年の経済成長率(GDP伸び率)について▲3.0%と予測した。1~9月期は前年同期比▲5.0%となったが、10~12月期には前年同期比でプラスに転じると見込まれる。また、2010年の経済成長率については、+3.0%~+4.0%と予測した。
  2. タイ中央銀行の月例金融経済報告(11月30日発表、10月実績)によると、輸出額は146億ドル(前年同月比▲2.6%)と回復基調にある一方、輸入額は129億ドル(前年同月比▲19.0%)と依然低調な結果に終わった。貿易収支は17億ドルの黒字、経常収支は22億ドルの黒字。10月末時点の外貨準備高は、1,353億ドル(前月比+35億ドル)となった。
  3. タイ商務省の12月1日の発表によると、2009年11月単月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比で+1.9%となり、2ヶ月連続でプラスとなった。項目別では、食品・飲料が前年同月比0.6%上昇し、非食品も前年同月比2.4%上昇した。2009年通年の予測値は、▲1.0%~0.0%とした。また、生鮮食品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は、前年同月比0.1%上昇。前月(2009年10月)比では、横ばいとなった。

2.投資動向

  1. タイ投資促進委員会(BOI)によると、2009年1~10月の外資系企業(外国資本10%以上)による投資促進申請件数は累計で547件(前年同期比▲23.2%)、投資額は1,574億バーツ(同▲36.5%)となった。投資額が1億バーツ未満の小規模投資申請が全体の68.2%を占めた。分野別の投資申請件数/金額は、電機・エレクトロニクス:111件/456億バーツ、サービス・公共施設:154件/390億バーツ、金属製品・機械・輸送機器:125件/371億バーツ、化学・紙・プラスチック:48件/130億バーツ、農業・農産加工品:57件/123億バーツ、鉱物・金属・セラミックス:12件/82億バーツ、軽工業:40件/21億バーツとなった。国別では、日本:201件(前年同期比▲28.9%)/523億バーツ(同▲28.5%)で件数/金額とも依然トップ。続いて、米国:34件/255億バーツ、シンガポール:50件/170億バーツ、中国:16件/102億バーツ、オランダ:21件/75億バーツ、マレーシア:29件/73億バーツ、韓国:31件/60億バーツ、台湾:31件/55億バーツなどとなった。
  2. タイ最高行政裁判所は12月2日、東部ラヨン県マプタプト工業団地周辺の重化学工業プラントなど76プロジェクトの工事差し止め問題について、うち11件は環境に深刻な影響を与えるプロジェクトには該当しないと判断し工事継続を認めた。一方、残り65件(総投資額約2,400億バーツ)に対しては工事停止を命じ、憲法第67条に沿った措置(環境と健康への影響調査を行い、周辺住民等から意見を聴取し、独立機関から許可を得るプロセス)を講じるよう求めた。アピシット政権は、この問題を解決するための委員会(委員長:アナン元首相)を設置し、当該プロセスの法的枠組み整備を急いでいる。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると、2009年10月末時点の金融機関の預金残高は9兆4082億バーツ(前年同月比+6.7%)となった。一方、貸出残高は8兆5,458億バーツ(前年同月比+0.2%)となり、昨年9月から14ヶ月連続で前年同月比の貸出残高の伸び率が低下。預金超過額が拡大している。

4.金利動向

  1. (11月の回顧) 11月のバーツ金利相場は低下地合となった。米国FOMC(連邦準備委員会)を受けた米国金利低下の動きに追随したことと、タイ株式市場が軟調に推移するなか、リスク回避の動きの高まりから安全資産とされる債券へ資金がシフトしたことが背景にある。また、バーツ短期金利の代表的な指標であるTHBFIXも月半ばから大きな変化が現れた。月半ばから3ヶ月物や6ヶ月物金利が30bp程度大幅下落。期間の長い金利スワップもこの動きに合わせる形で低下傾向が鮮明となった。THBFIXの下落幅と債券利回りを比較すると、THBFIXの下落幅が大きく上回っており、余剰感のあるバーツ資金に対し、タイ国内でのドル資金の需要は根強いと推測される。昨年末にかけても同様の動きが見られており、年度末を間近に控えていることが影響しているものと思われる。
  2. (12月の展望) 12月2日に開催されたMPC(金融政策決定委員会)では、市場予想通り1.25%で据え置きとなった。同時に発表された声明文では、出口戦略を予見させる内容は見当たらず、当面は金利据え置き、短期金利の上昇余地は限定的と予想される。

5.為替動向

  1. (11月の回顧) 11月のドルバーツ相場は、1ドル=33.45バーツ近辺からのスタート。月初から株式相場の下落基調が一服し堅調な動きとなったことを背景に、他アジア通貨と共にバーツ買が優勢となった。①米国FOMCにおいて、「長期間にわたって低金利を維持する」との文言が残されたこと、②G20において景気支援を継続する姿勢が確認されたことなどで、投資家のリスク志向が改善したことが要因。当地でも、カンボジアとの外交問題や景気回復への不安感などからタイ株SET指数は700ポイント割れ水準まで下落しバーツ売り材料となったが、他アジア通貨高の動きや国内輸出企業などによる実需のドル売り圧力に押され、月半ばに年初来バーツ高値となる33.25の水準を記録した。その後も実需のドル売が継続し33.10近辺まで下落。しかし、タイ中央銀行による市場介入やドバイ問題を背景に投資家のリスク選好姿勢の後退から、ドルバーツは反発し、33.20近辺での越月となった。1円=0.37近辺で始まった円バーツ相場は、ドル売り基調とリスク許容度の低下により、対ドルに対して円が大きく上昇、ドル円は一時14年ぶりの85円割れを記録するなど円高に推移したことで、0.38台半ばでの越月となった。
  2. (12月の展望) 10月貿易統計によれば、貿易黒字額が17億ドルと引き続き高水準を維持。トレーディングフローが少ないバーツ相場は、貿易黒字の存在は今後も大きなバーツ高圧力として残存すると思われる。

6.政治動向

  1. タクシン元首相をめぐって、タイとカンボジアの関係が悪化している。11月4日、カンボジア政府は、タクシン氏を政府及びフン・セン首相の経済顧問に任命したと発表。11月10日~14日、タクシン氏がカンボジアを訪問し、カンボジア政府要人と会談の後、講演会を開催した。タイ政府は、カンボジアとの犯罪者引渡し協定に基づき、汚職事件で実刑判決を受けているタクシン氏の身柄引き渡しを求めたが、カンボジア側はタクシン氏が刑事犯ではなく政治的な亡命者であるとしてこれを拒否した。一連の対応を受けて、タイ政府は駐カンボジア大使の召還、両国国境の油田共同開発覚書を破棄した。カンボジア側も駐タイ大使の召還とタイ大使館の一等書記官の国外退去を命じるなど両国の関係が悪化している。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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