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タイ国経済概況(2012年1月)
タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。
日タイビジネスフォーラム金融委員会
1.景気動向
- タイ中央銀行の月例金融経済報告(12月30日発表、11月実績)によると、11月単月の輸出額は153億ドル(前年同月比▲13.1%・前月比▲17億ドル)、輸入額は151億ドル(同▲1.9%・同▲9億ドル)。輸出は主に工業生産、農産品が洪水被害を受け、化学品、加工食品等も世界景気後退の影響を受けた。貿易収支については、2億ドルの黒字、11月末時点の外貨準備高は、1,783億ドル(前月比▲37億ドル)。
- タイ財務省財務局は12月28日、今年の経済成長率が前年比1.1%にとどまるとの見通しを明らかにした。洪水被害の拡大を受け、1.7%まで落ち込むと見通しを修正していたが、工業部門や農業、輸出に与える影響がさらに拡大しているとして再び下方修正した。2012年については、経済状況が通常状態に戻るのに加えて、政府の洪水復興予算が成長率を上押しし、経済成長率は5.0%に回復すると予測している。
- タイ商業省経済指数事務局1月4日の発表によると、2011年の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同期比+3.81%(食品・飲料+7.96%・非食品+1.32%)、12月単月では前年同月比+3.53%(同+9.09%・同+0.17%)で27ヶ月連続でプラスとなった。通年のコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)上昇率は、前年同期比+2.36%、12月単月では前年同月比+2.66%で26ヶ月連続プラスとなった。
2.投資動向
- タイ投資促進委員会(BOI)によると、2011年1~11月の外資系企業(外国資本10%以上)による投資促進申請件数は921件(前年同期比+17.8%)、投資額は3,545億バーツとなり、前年同期比+77.8%。投資額が1億バーツ未満の小規模投資申請が全体の58.4%を占めた。分野別の投資申請件数/金額は、農業・農産加工品:64件/145億バーツ、鉱物・金属・セラミックス:34件/245億バーツ、軽工業:55件/103億バーツ、金属製品・機械・自動車関係:324件/1,107億バーツ、電子・電気産業:173件/668億バーツ、化学・紙・プラスチック:94件/340億バーツ、サービス・公共施設:177件/938億バーツとなった。国別では、日本:496件(前年同期比+54.5%)/1,684億バーツ(同+90.0%)で件数/金額ともトップ。続いて、シンガポール48件/229億バーツ、香港:29件/126億バーツ、韓国:37件/76億バーツ、台湾:42件/65億バーツ、アメリカ:29件/63億バーツ、マレーシア:31件/56億バーツ、などとなった。
- タイ政府は1月4日の閣議で、BOIが提案した今回の洪水被災企業向け支援策を承認。BOI認可取得企業が復旧に向けて新規投資をする場合、法人所得税を最大8年間免除する。同じ場所で復旧する場合、免除額の150%を上限に既存事業の収入に対する法人所得税の免除を受けられるが、工場を他県に移転するような場合は、免除額は投資額の100%が上限となる。
3.金融動向
- タイ中央銀行の発表によると、2011年11月末時点の金融機関預金残高は、11兆4,550億バーツ(前年同月比+10.3%)、貸金残高は、11兆3,087億バーツ(同+16.0%)となった。
4.金利動向
- (12月の回顧)タイの11月消費者物価指数は全体指数が前年比+4.19%、コア指数が+2.90%と引き続き高い水準で推移。洪水被害により、農産物が被害を受けた他、物流の混乱で食料品の上昇が目立った。商業省は洪水の影響が改善していること、消費の低迷、燃料価格の低下から、今後インフレ率は低下するとしている。前月末にタイ中央銀行が政策金利を0.25%引き下げ3.25%としたが、一部には追加利下げ期待もあり月初、タイの金利は低下基調となった。また、前月末の日米欧の主要6中銀が流動性対策として、米ドルスワップ協定の適用金利を引き下げたことも、タイの金利低下に寄与した。政策金利が反映されやすい2年物国債利回りは月初の3.15%から2.96%近辺に低下、10年物国債利回りも3.31%から3.19%に低下した。14日には11月30日のタイ中銀金融政策決定委員会の議事録が発表された。7人の委員の内、5人が0.25%の利下げ、2人が0.5%の利下げを主張。5名の多数派は金融政策スタンスは適正で、民間部門の心理改善には、洪水の再発防止に向けた政府の対応能力を示すことがより重要としている。欧州債務問題の状況を注視しつつ必要であれば再利下げもありうるとのスタンスを取っている。月後半は、外国人投資家の債券売りから、2年物国債利回りは3.17%、10年物国債利回りは3.27%近辺に上昇したものの、全体的に様子見気分が広がった。
- (1月の展望)欧州債務問題が継続、世界経済の減速懸念が強まる中、1月25日のタイ中央銀行、金融政策決定委員会が注目される。洪水被害でタイ経済の牽引役である輸出が低迷、国内経済てこ入れのため政府からの利下げ圧力が強まっている。世界経済の低迷、流動供給策で、世界的に金利は上昇しにくい中、タイにおいても、景気低迷、中銀の金融スタンスから、金利は低位での推移を予想する。欧州各国の国債売りにつられ、タイ国債売りで金利が上昇する局面も想定されるが、一時的と考える。
5.為替動向
- (12月の回顧)11月末に、タイ中央銀行が利下げ、中国が預金準備率を引き下げ、また日米欧の主要6中銀が流動性対策として、現行の米ドルスワップ協定の適用金利を0.50%引き下げることを発表した。年末に向けて欧州金融機関のドル資金繰り問題が市場の懸念になっていただけに、発表を受けて市場に安心感が広がった。リスク選好の動きからバーツ買いとなり、ドルバーツ相場は2日30.79まで進行した。格付会社のS&Pがドイツを含む欧州各国の格付けを引き下げる方向で見直すことを発表したこともあり、ユーロ売りにつられ、バーツ売りの流れに。市場が期待したEU首脳会議で、抜本的な解決策は示されなかったことから、ユーロ売りが広がり、バーツも31.44までバーツ売りとなった。その後は相場は膠着。タイの11月の輸出額は洪水の影響で大幅減少。また、11月の国内自動車販売も低迷し、洪水の影響の大きさを示した。しかしながら、国内経済指標の悪化は予想されていたこともあり、バーツ相場は国内材料には反応せず。欧州では、欧州中央銀行(ECB)による3年物資金供給オペが実施された。過去最高額となる4891億9100万ユーロが供給され、域内金融機関の資金繰りに寄与し、市場に安心感が広がった。クリスマス休暇後、資金供給オペで市場にユーロ資金が溢れていたこともあり、ユーロ売りとなったことから、バーツ売りも再開。一方向のバーツ売りとなり、ドルバーツ相場は31.76まで進行した。円バーツ相場はドル円の動きは限定されていたものの、ドルバーツでバーツが売られたことから月末、0.4100近辺まで円高、バーツ安となった。
- (1月の展望)バーツ相場は引き続き欧州の動向を眺めながらの相場展開を予想する。ECBの資金供給等で金融不安は一服しているものの、緊縮財政で実態経済は悪化。米国経済回復は鈍く、中国経済も減速傾向で、世界経済の悪化が予想される。リスク回避の動きが当面続くことから、新興国通貨であるバーツに資金は流入しにくい。また、タイ経済も洪水被害加え、世界経済減速でタイの輸出は低迷、復興対策の財政支出だけが頼りになっている。こうした中、対ドル、対円でも当面は積極的なバーツ買いにはなりにくい。
6.政治動向
- 12月19日、インラック首相は第4回大メコン圏(GMS)首脳会議に出席するためミャンマーを訪問した。翌20日には、首都ヤンゴンでインラック首相は、ミャンマー民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏と会談。スー・チー氏が外国の首脳と会うのはインラック首相が初めて。
- タイ政府は12月27日の閣議で、長期的な洪水対策に向けたインフラ整備に充当する3500億バーツの基金設置、自然災害向けの保険制度を補完するため500億バーツの保険基金設置を承認した。また、森林の拡大、ダムや貯水池などの施設、都市計画など6分野に関する水管理のためのマスタープランも承認した。
当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。
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