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タイ国経済概況(2017年1月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ工業連盟は12月21日、2017年の自動車生産台数が今年見込み比約+3%となり、4年ぶりに200万台を突破するとの予測を示した。2017年の自動車生産台数のうち、国内向けは2016年見込みの76万台から80万台、輸出向けは118万~119万台から120万台に増加するとみられる。また、11月の自動車生産台数は前年同月比+4.7%の17万784台、うち国内向けは同+22.2%の7万6,271台、輸出向けは同▲6.2%の9万4,513台となっている。一方、11月のタイ国内の新車販売台数は同比▲15.3%の6万4,771台。2015年末の駆け込み需要の反動や国王ご逝去による自粛ムードが影響した。また、12月1~12日に開催されたモーターエキスポでは、各社は派手な演出や大型の発表を控えた。
  2. 商務省は12月26日、11月の輸出実績を発表。世界的な景気回復や原油価格上昇、バーツ安などが追い風となり、前年同月比+10.2%の189億1,100万ドルとなった。農水畜産品・同加工品は同+12.7%の29億800万ドル、工業製品は同+9.8%の148億8,800万ドル、また原油関連製品の輸出額は25ヶ月ぶりにプラスとなった。1~11月の累計輸出額は1,971億6,200万ドルで、前年同期比▲0.1%減。同省は16年通年の輸出伸び率予想を▲0.1~+0.2%とし、輸出額が4年ぶりにプラスに転じる可能性があるとの見通しを示した。
  3. 商務省は1月4日、2016年の消費者物価指数は+0.19%、コアインフレ率(生鮮食品とエネルギーを除いた物価上昇率)は+0.74%となったと発表。前年比で上昇幅が大きかったものは、野菜・果物(+6.16%)及びたばこ・アルコール飲料(+12.04%)、下落幅が大きかったものは石油燃料(▲7.19%)となった。なお、2017年の消費者物価指数は+1.5~2.0%を見込んでいる。

2.投資動向

  1. ジェトロは2016年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査を発表。北東アジア5ヶ国・地域、ASEAN9ヶ国、南西アジア4ヶ国、オセアニア2ヶ国の計20ヶ国・地域に進出する日系企業に対し、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施したもの。本調査によれば、在タイ日系企業の営業利益見通しのDI値(「改善」すると回答した企業の割合から「悪化」すると回答した企業の割合を差引いた数値)は2015年の3.2から16年が17.1、17年は35.0と上昇しており景況感の好転を示している。特に2017年の営業利益見通しでは、悪化との回答が10.3%となっており、前年の25.3%から大幅に改善。一方、今後の事業展開については「拡大」とする回答が50.1%と去年対比改善したものの、ASEAN平均の55.4%を下回っている。また、経営上の問題点は昨年同様「賃金上昇」(59.3%)と「品質管理の難しさ」(59.0%)が1、2位を占めており、「現地通貨の対円為替レートの変動」(45.0%)が順位を上げ今回は5位となっている。
  2. タイ商工会議所大学が2017年の有望業種を発表。タイの高齢化、タイ国民の美容・健康意識の高まり、東南アジアの医療ハブとしてのポテンシャルなどの評価を背景に、医療・美容サービス(94.1点)が6年連続でトップ。2位以下は化粧品・スキンケア(92.2点)、Eコマース(91.1点)、観光関連サービス(90.4点)と続く。本調査は、売上げ、収益率、市場ニーズなどをもとに各種業界を分析し、スコア付けしたもの。手工芸品(11.9点)や雑誌(12.7点)は、中国からの安価な製品流入や電子書籍の普及などを理由に低スコアとなった。
  3. プラユット首相は12月27日、パープルラインとブルーラインの未接続区間の早期解消に向け、超法規的な権限行使を可能とする暫定憲法44条を発動したことを明らかにした。2017年8月までの運行開始を目指す。2016年8月に開通したパープルラインは、ブルーラインのバンスー駅と接続されていないためバスを使わなければ乗り継ぎができず、乗客数の伸び悩みの原因の1つとなっている。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると2016年11月末時点の金融機関預金残高は17兆8,060億バーツ(前年同月比+4.6%)、貸金残高は16兆5,999億バーツ(同+3.7%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (12月の回顧) 12月のバーツ金利は、上昇が継続。長期10年物国債利回りは2.9%台迄上昇した。米国がFOMCで政策金利を引上げ、来年の利上げペースを速めるとの予想を出したことで米国金利が上昇。タイ長期金利もつられて上昇した。またトランプ次期大統領の財政政策期待でのインフレ拡大思惑による米金利上昇も、バーツ金利に影響した。一方、タイ中央銀行が金融政策決定委員会で政策金利を据置いたこともあり、政策金利の影響を受けやすい、2年物国債利回りは、1.7%台から1.8%台と、上昇幅は限定された。
  2. (1月の展望) タイ経済は内需が低迷、輸出も貿易相手の景気動向次第と不透明な状況となっている。米国金利上昇に伴いタイから資金流出も今の所、利上げで流出を防ぐレベルにはない。タイ中央銀行は当面、政策金利を据置くことが予想される中、バーツ金利の上昇は限定されそうだ。

5.為替動向

  1. (12月の回顧) 12月、月初ドルバーツ相場は35.60台を中心に推移。タイで3連休が続いたこともあり、動意なく推移した。14日、注目の米国連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場予想通り0.25%の利上げが実施された。また、経済見通しで示された来年の利上げ予想回数が3回と、9月時点での2回予想から引上げられたことで、米国金利が上昇、為替はドル買いとなった。16日、全体的なドル買いの流れから、ドルバーツ相場は35.85迄ドル買いに。その後も米国利上げペース加速思惑の中、タイから外国人投資家の資金が流出、ドルバーツ相場は大台の36.00を超えてドル買いが進行した。
  2. (1月の展望) トランプ政権の政策思惑、FOMC後の2017年の米国利上げペース加速思惑でドル買いが進んでいる。調整のドル売りが入る可能性はあるものの、米国利上げの方向性に変化なく、ドル堅調推移を予想する。

6.政治動向

  1. 政府が外国人事業法の改正により外資規制の緩和を検討しているとのニュースを12月末、複数の地場紙が報じた。現在、外国人事業法により外資企業の参入できない業種は、「リスト1:特別な理由により外国企業の参入が禁止されている業種」、「リスト2:国家安全保障または文化、伝統、地場工芸、天然資源・環境に影響を及ぼす業種として外国企業の参入が禁止されている業種(ただし、内閣の承認により商務大臣が許可した場合は可能)」、「リスト3:外国人に対して競争力が不十分な業種であるとして外国企業の参入が禁止されている業種(ただし、外国人事業委員会の承認により商務省事業開発局長が許可した場合は可能)」と3つに分類されている。具体的な内容は未定であるものの、規制が緩和される可能性が高い業種は、リスト3に該当しタイ政府が掲げる産業の高度化戦略に資する業種であると予想されている。
  2. 立法議会は12月16日、インターネット規制の強化を含むコンピューター犯罪法改正案を可決。違法となる行為の定義があいまいであるため表現の自由を侵害するものであるとして、反対運動が盛り上がったものの、軍事政権は王室擁護などを理由に改正を支持した。国家の安全保障に害を及ぼす情報など、改正法にて禁止される情報をインターネットに掲載すると、最高で禁錮5年の刑となる。
  3. 1月4日の閣議にて、定年退職者に対する補償金の支払いを義務付ける労働者保護法改正案を承認。タイでは定年退職金の導入は企業の任意で義務化されておらず、本施策により労働者の退職後の資金不足の懸念に対応する。今後、立法議会の承認を経て施行となる。タイは2025年までに高齢者が人口の20%に達すると見込まれており、人口高齢化をにらんだ措置と政府は説明している。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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