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タイ国経済概況(2017年2月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ工業連盟は1月18日、2016年の自動車生産台数が前年比+1.6%の194万4,417台となり、目標としていた195万台にわずかに未達と発表。もっとも、2年連続の前年比増。1月に発表される新型モデルを待つ傾向が予想よりも強く、12月の生産目標である15万台を下回った。輸出台数は、同▲1.4%の118万8,515台となり、昨年を下回った。特に中東への輸出が同▲32.4%となったことが大きく響いた。翻って2017年の生産台数見通は、同+2.9%の200万台。国内販売については、景気刺激策として行われた「ファーストカー減税」の車両保有義務期間が終了する年に当たる事もあり、買い替え需要が喚起されると予想。また、輸出は原油価格の下落が落着きつつある中東向けが回復するとの見方を示した。
  2. 2月7日、バンコク日本人商工会議所(JCC)が主催する2017年新年景気討論会がバンコク市内のホテルで開催され、各業界の代表者が昨年の回顧と今年の展望を同会員企業に向けて発表。その中で、金融保険部会長の頃末広義は、タイの景気は回復基調にあり、主に政府が支出する公共投資などのインフラ事業が投資をけん引している旨述べた。以下は発言の要旨。2016年の消費者信頼感指数は、年初から「楽観的」を示す100を越すことは一度もなく、引続き厳しい数字となっているが、足許は改善傾向に振れている。インフレに関しては、エネルギー、生鮮食料品を除くコアインフレは穏やかに上昇している。輸出は、中東の原油安の影響で、自動車などの工業製品が一時期落ち込んでいたが回復基調にある。加えてタイ政府は、中小企業、低所得者、農家向けの支援対策を打ち出しており、景気刺激策としてある程度の効果が見込まれる。最後に、アメリカのトランプ大統領がメキシコ国境に壁の建設を進めることに言及し、こと国際金融との間に壁ができれば、大きな混乱が生じる可能性もあるとし、大統領には柔軟な行動を期待していると語った。 ※消費者信頼感指数とは、経済状況の認識について「良い、良くなった」の割合から、「悪い、悪くなった」の割合を差し引き、100を足した数値。100を上回ると楽観的、下回ると悲観的とされる。

2.投資動向

  1. タイ投資委員会(BOI)が1月25日に発表した2016年の投資申請件数は1,546件で、申請予定額は5,843億バーツとなり、当初の目標額である5,500億バーツを達成したと発表。業種別で見ると、自動車・同部品産業の885億1,100万バーツ、電気・電子製品産業649億1,800万バーツ、化学・石油化学産業469億8,600万バーツ、農業458億9,200万バーツ、観光産業213億9,800万バーツ、医療産業78億バーツ、デジタル関連産業51億7,300万バーツとなった。2017年の目標額は6,000億バーツとしている。また、スウィット・メーシンシー総理府相は今年も投資額増が期待できる要因として、高度技術・技術革新を使用する事業、研究開発事業に対して、現状8年間の法人税免税期間を最大13年間に延長するなどの恩典の拡大等を挙げた。
  2. 2月1日、JCC経済調査会は、会員企業1,724社を対象に2016年11月7日から12月6日に行った2016年下期景気動向調査の結果を発表した。回答企業数は508社(回答率29.5%)。まず、2016年上期の業況感(DI値*)では、2015年下期の▲4から+9へと大幅に改善となった。また、2016年下期の業況感ではプミポン前国王の崩御の影響もあり、+9から+4と下降したが、2017年上期見通しでは+4から+15へと大幅に回復するとの見通しとなった。業種別にみると2016年下期見通しでは、小売りが▲30と大きく落ち込み、非製造業全体でも▲3となり、製造業では輸送用機器が▲12となった。2017年上期の見通しでは、輸送用機器が▲8、建設土木が▲4となったが、他業種はプラスの値となった。 * DI値とは業況が「上向いた」と回答した数から「悪化した」と回答した数を差し引いた値。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると2016年12月末時点の金融機関預金残高は17兆9,269億バーツ(前年同月比+3.8%)、貸金残高は16兆7,376億バーツ(同+3.6%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (1月の回顧) 1月のバーツ金利は、横ばい推移。トランプ米大統領の政策への期待で米国金利上昇につられて12月上昇していたバーツ金利は動きが一服。2年債利回りは1.7%台、10年債利回りは2.6から2.7%近辺で膠着した。トランプ米国大統領の正式就任を受けて、実際に発表される米政策で、米国金利は上下も、バーツ金利は反応薄。また、発表されたタイの経済指標を輸出を中心に堅調な結果となったが、タイ中央銀行の利上げ思惑にはつながらず、バーツ金利は安定推移となった。
  2. (2月の展望) タイ経済は、輸出が回復傾向、またタイ政府の追加支出による景気押し上げ効果が期待される。但し、中国経済への不安に加え、トランプ米大統領の政策リスクも浮上する中、タイ中央銀行は当面政策金利を据え置き、様子見姿勢継続が予想される。バーツ金利は長期金利を中心に米国金利に振らされる可能性があるものの、上昇は限定か。

5.為替動向

  1. (1月の回顧) 1月、月初ドルバーツ相場は発表された米国雇用統計での賃金上昇が好感されたことで、ドル買いなり、9日35.79迄進行。その後、英国メイ首相のインタビューがハードブレグジットを示唆したと受け止められ、リスク回避の動きとなった。ドル円相場でのドル売り、円買いにつられ、ドルバーツ相場も35.50台迄ドル売りに。11日のトランプ米次期大統領の記者会見では、経済政策への言及はなく、35.30迄調整のドル売りに。20日のトランプ米大統領の正式就任後、環太平洋経済連帯協定(TPP)からの正式離脱に署名を実施。保護主義への懸念に加え、イスラム圏7ヶ国からの米国への入国停止を発表したことでドル売りが拡大。31日には35.17迄進行した。
  2. (2月の展望) トランプ米大統領の政策を眺めながらの動きに。ドルバーツ相場は足元、米国のインフラ投資等経済拡大策でドル買い、保護主義的な政策でドル売りに反応しそうだ。米国の利上げスタンスに変更はなく、ドルの底堅さは継続か。

6.政治動向

  1. 2016年10月13日にプミポン国王がご逝去されてから100日が経過。追悼番組主体だったテレビ放送が通常体制に戻り、大型のイベントなどが控えられていた経済界でもトヨタ自動車が1月23日に新型モデルの発表会を行うなど、徐々に服喪ムードは薄まりつつある。もっとも公務員の服喪期間は1年間とされており、民間企業のオフィスでも黒を基調とした服装での出勤も未だ少なくない。
  2. プラユット首相は1月10日、ワチラロンコン新国王が摂政規定などに関する新憲草案の修正を要請していることを記者会見にて明らかにした。地元紙の報道によれば、国王は自らが国内に不在の際に摂政を任命する条項につき、外遊中は摂政を置かないことも認めるよう求めたとされる。また、1月23日、ワチラロンコン新国王が新憲法案を政府に差し戻したことを憲法起草委員会のミーチャイ委員長が明らかにしている。新憲法案の修正作業により、総選挙に必要な法規整備が遅れ、当初予定していた2017年中の総選挙が来年にずれ込む可能性が高まった。
  3. アピサック財務相は2月7日、加糖飲料への課税を2年後を目標に実施する意向を示した。当初は2017年7月の導入を目指し、糖分の多い飲料が人体に与えるダメージに応じて税率を決めるなどの検討を行っていたが、飲料メーカーやサトウキビ農家などからの反対の声が強く実施の目途はついていなかった。同相は本課税につき、増収のためではなく国民の健康維持が目的と説明している。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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