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タイ国経済概況(2017年3月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. 2月20日、タイの2016年第4四半期国内総生産(GDP)が発表となった。前年同期比+3.0%と第3四半期の同+3.2%は下回ったものの、市場予想の範囲内の数字となった。輸出は工業製品、農産品といった財輸出は好調だが、サービス輸出は観光収入の減少を受けて伸び悩んだ。観光収入の減少は国王崩御の影響と思われ、12月単月では大幅に回復しており、2017年1月以降の順調な推移が予測されている。民間投資については、新規設備投資は依然少なく、早急な回復は難しい。民間消費は農家収入の増加、政府の消費刺激策が寄与、クレジット利用残高も増加している。もっとも、燃料価格が上昇傾向の中、消費者心理は冷え込んでおり、消費は緩やかな伸びにとどまっている。国王崩御の一時的な影響とも想定されるが、高水準の家計債務が継続、企業業績の急回復も見込めない中、消費の回復は当面緩やかなものとなる見込み。今年のGDPも、今のところ大きな下振れ要因はなく、緩やかな回復基調のシナリオに変化はない。
  2. 商工会議所・工業連盟・銀行協会から構成される商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)は、2月7日、GDP成長率見通しを+3.5~4.0%で当面の間据置く見解を発表している。ジェーン同委員会会長は大型インフラ整備の進展に伴う財政支出の拡大や観光収入の伸びが期待できるとしている。同委員会は、2017年の輸出を+1.0~3.0%(2016年実績:+0.5%)、インフレ率を+1.0~2.0%(2016年実績:+0.2%)と見込んでいる。
  3. 1月の自動車生産台数は前年同月比+3.1%の15.2万台、国内向けが+17.6%の5.5万台、輸出向けが▲3.7%の9.7万台となった。同月の自動車国内販売台数は+10.5%の5.7万台で市場拡大は4ヶ月ぶり。政府による景気刺激策や輸出の好転、農産品の価格上昇などが自動車市場に好影響を与えた。一方、輸出台数は前年同月比▲14.5%の8.0万台で7ヶ月連続のマイナス成長、前月比では4ヶ月連続の減少となっている。月間の輸出台数としては2015年6月(7.7万台)以来の低い水準となった。輸出台数を仕向地別に見ると、前年同月に全体の16.0%を占めた中東向けのシェアが7.4%に半減、原油価格の低迷やサウジアラビアのCO2排出量規定の影響を受けた。タイ国トヨタ自動車は、今年の同社の輸出台数を前年比▲11%の28万2,000台以上に設定。中東の落込みを埋めるべく、アジアやオーストラリアへの輸出を増やすが、埋め合わせるには至らない見込み。

2.投資動向

  1. 2月15日、タイ投資委員会(BOI)はタイの産業高度化を推進する「タイランド4.0」政策に関するセミナーを開催、プラユット首相も登壇し基調講演を行った。BOIは投資奨励法改訂版および特定産業競争力強化法を通じてさらなる投資を呼び込む考えを示している。投資奨励法改訂版はタイが高い可能性を有する基幹技術に対する投資の奨励であり、従来の投資恩典に加えて最大13年の法人税免除恩典を付与する。特定産業競争力強化法は国の課題に対応でき、従来の手段では誘致が出来ないインパクトの大きい新たな投資に対する投資奨励策。15年以内の法人所得税免税や、研究開発・イノベーションの促進・専門人材の育成に対する100億バーツの基金からの助成などの投資支援が行われる。また、チョンブリなど東部3県にハイテク産業中心の工業団地や経済特区を整備する東部経済回廊(EEC)開発では、今年、①ウタパオ空港の整備、②レムチャバン港の第3期拡張工事、③ウタパオ、ドンムアン、スワンナプーム3空港をつなぐ高速鉄道、④バイオ関連、次世代自動車、電気・電子部品、産業用ロボット、航空関連、医療機器・医薬品などターゲット産業の誘致、⑤周辺居住地の環境整備の5事業を優先的に進める考えを明らかにした。政府はEECを地域開発のパイロットケースと位置付けており、将来的にはEECの成功を他県にも展開したい意向を示している。
  2. タイ工業省工場局は2017年1~2月の工場新設・増設の許可申請件数・投資額を発表した。件数は前年同期比+2.8%の696件、投資額は同▲29.1%の507億バーツとなった。投資額の減少は、前年同期に発電所建設など複数の大型プロジェクトの申請を受け付けた反動によるもの。2016年通年では、許可申請件数は前年比▲4.7%の5,215件、投資額は▲21.1%の4,780億バーツ。自動車産業の不振を受け投資額は減少となったものの、業種別の投資額では依然として車両・部品が704億バーツで首位。以下、食品(661億バーツ)、化学・化学製品(295億バーツ)、電気機械・機器(251億バーツ)と続く。
  3. 2月21日、閣議にて1954年民間航空法の改正案が承認された。今後は議会での審議を経て9月にも施行される見通し。航空関連会社の株主はタイ国籍の個人が51%を占める必要があるなどの規制があり、巨額の資金が必要な航空産業にとって、現在の規制は円滑な資金調達を妨げる要因となっている。政府は東部経済回廊(EEC)開発構想の中で、EEC内での航空産業の誘致・育成を目指しており、本改正案によりタイを航空機整備の域内ハブとするための環境整備を進めたい意向。また、法改正に先立ち航空産業の外資による投資拡大を早期に実現するため、運輸省は勅令による外資規制緩和も検討している。さらに3月6日、政府が全国の空港の拡張計画を含む改革案を承認した旨をウッタマ工業相が明らかにした。2025年までに総額4,060億バーツを投資し、現在逼迫している国内空港の旅客処理能力を倍以上に引上げ、タイをASEANの空のハブとすることを目指す。バンコク首都圏の3空港では、スワンナプーム国際空港を4,500万人から9,000万人に、ドンムアン空港を3,000万人から4,000万人に、ウタパオ空港を300万人から3,000万人にそれぞれ旅客処理能力を増やす。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると2017年1月末時点の金融機関預金残高は18兆10億バーツ(前年同月比+3.7%)、貸金残高は16兆6,717億バーツ(同+3.5%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (2月の回顧) 2月8日、タイ中央銀行は金融政策決定委員会で予想通り、政策金利を1.5%に据置いた。声明文にはタイ経済に関する前向きな表現が目立った。タイ経済は、従来想定より拡大ペースが速く、輸出は確実に回復、観光セクターも順調に推移しているとの認識を示した。インフレは中銀のターゲット内としたことから、タイの利上げ思惑にはつながっていない。バーツ金利は、米国の3月利上げ思惑が後退する中、米国金利が低下するのにつられ、2年物国債利回りは1.73%から1.68%、長期10年債は2.79%から2.68%に低下した。
  2. (3月の展望) タイ経済は、輸出が回復傾向、またタイ政府の追加財政支出による景気押上げ効果が期待される。ただし、中国経済への不安に加え、トランプ米大統領の政策リスクが浮上する中、タイ中央銀行は当面政策金利を据置き、様子見姿勢継続が予想される。バーツ金利は長期金利を中心に米国金利に振らされる可能性があるものの、上昇は限定か。

5.為替動向

  1. (2月の回顧) 2月のドルバーツ相場は、ドル売り、バーツ高が緩やかに進行した。月初35.10台で推移する中、発表された米国雇用統計後米国利上げ思惑は盛り上がらず、35.00迄ドル売りに。14日、ドルバーツ相場は米国フリン大統領補佐官の辞任が発表されたことが嫌気され、ドル売りに。35.00の大台を割れて、34.97迄進行した。その後、イエレン米国連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会証言で、利上げを待ちすぎるのは賢明でない旨発言したことを受けて、ドルが底堅くなり、35.00を挟んで上下。26日にはムニューシン米財務長官が、低金利がしばらく続く旨、及びドル高には問題点がある旨、言及したことでドル売りとなり、34.80台をつけた。
  2. (3月の展望) トランプ米大統領の政策を眺めながらの動きに。ドルバーツ相場は足元、米国のインフラ投資等経済拡大策でドル買い、保護主義的な政策でドル売りに反応も、米国の利上げスタンスに変更はなく、ドルの底堅さは継続か。

6.政治動向

  1. タイ政府報道官の発表によれば、プミポン前国王の火葬式は10月末に予定されている。現在、王宮前広場(サナームルアン)にプミポン前国王の火葬場を建設しており、過去最大のものとなる見込み。また、ワチラロンコン国王の戴冠式は一連の葬儀が終わった後に執り行われる。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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