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タイ国経済概況(2017年12月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ中央銀行は11月30日に発表した月例経済報告にて、引き続き経済が上向いているとの見方を示した。10月のタイ経済は、これまでと同様に輸出および観光が成長を牽引、工業生産は低下したものの民間投資と個人消費は緩やかな回復が続いている。輸出額は前年同月比+13.4%(金を除くと同+14.1%)と二桁増。石油商品、ゴム製品、電子製品、自動車部品などほぼすべての分野にて輸出が伸びている。観光客数は前月から+1.6%(季節調整済み)、前年同月比+20.9%となり各国・地域の観光客数が軒並み増加。工業生産指数は、輸出向け生産は伸びたものの、プミポン前国王の葬儀にともなう休日の増加でトータルでは同▲0.1%となった。民間投資指数は同+1.3%で、伸び率は前月から0.1%低下。通信やエネルギーなどの業界で機械・設備投資の改善が見られた一方、洪水の影響で建材販売は▲7.1%となった。民間消費指数は同+1.4%で、農産物の価格と生産量の双方が低迷し農家収入が減少、前月の同+2.9%を下回った。
  2. タイ工業連盟(FTI)は11月22日、2017年の自動車生産見通しをこれまでの193万台から195万台に上方修正すると発表。輸出向け生産は従来見込みの110万台から変更無しであるが、国内向け生産は83万台から85万台に引き上げた。10月の自動車生産台数は前年同月比+1.5%の16.3万台、うち国内向け生産台数は、7.3万台で同+12.6%、輸出向けは9.0万台で同▲6.1%となった。1月から10月までの自動車生産台数は164.1万台で前年同期比+0.2%とほぼ横ばい。10月の国内新車販売台数は6.9万台で前年同月比+13.1%、引き続き好調となっている。同月の自動車輸出台数は9.1万台で同▲12.0%、3ヶ月ぶりのマイナス成長となった。輸出台数を仕向地別で見るとオーストラリアを含むオセアニアが同+2.5%の2.9万台、アジアが同▲20.9%の2.5万台、欧州が同▲5.2%の1.2万台、中東が同▲6.8%の1.1万台、北米が同▲24.8%の0.8万台となり、オセアニア以外の主要市場が軒並み落ち込んでいる。

2.投資動向

  1. タイ投資委員会(BOI)は、2017年1から9月までの外国企業(外国資本10%以上の企業)の投資恩典申請件数は604件(前年同期比▲3.8%)、投資申請額は1,688億バーツ(同+6.4%)と発表。日本からの投資申請額は前年同期比2倍以上となり、全体の41%を占めた。これらの外国企業からの投資計画による雇用者数は、タイ人3万7,256人、外国人経営者や技術者5,599人の予定。
  2. タイ工業省工場局は1から11月までの同局への工場新設と増設の許可申請について、件数は4,708件(前年同期比▲0.5%)、金額は4,740億バーツ(同+13.9%)と発表。業種別の申請額では、食品産業(470億バーツ)を筆頭に自動車・同部品(470億バーツ)、電気・電子(362億バーツ)、金属(242億バーツ)、木材加工(226億バーツ)と続いた。同省のモンコン工場局長は、EEC(東部経済回廊)の開発により2018年の民間部門の投資は10%以上の伸びとなる旨の見通しを示している。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると2017年10月末時点の金融機関預金残高は18兆4,935億バーツ(前年同月比+4.2%)、貸金残高は17兆189億バーツ(同+3.2%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (11月の回顧) 11月のバーツ金利は、米金利に追随する形で月間を通しては小幅上昇となった。月初タイ10年物国債金利は2.33%でオープン。次期米FRB議長にパウエル氏が指名されたことで、米金融政策が今後も緩やかなペースでの利上げに留まるとの見通しや税制改革法案に対しての失望で米金利が低下したことにともないバーツ金利も低下。タイ10年物国債金利は一時2.29%まで低下。8日に開催されたタイ金融政策委員会(MPC)では政策金利は現状の1.5%維持が決定されたが、事前予想通りでマーケットへの影響は特段見られず。欧州債が供給懸念から金利上昇となると米金利も上昇しバーツ金利にもその影響が波及。米FOMC議事録発表を控える中、発表された貿易統計が6ヶ月連続で2桁増と堅調であったことからバーツ金利も上昇。米FOMC議事録はハト派的であったが、バーツ金利には影響なくむしろ小幅上昇となり、タイ10年物国債金利は一時2.43まで上昇。下旬には北朝鮮リスクが高まったことでバーツ金利は低下。月末には、米税制改革法案への期待で上昇した米金利にともないタイ10年物国債金利は2.38%まで反発して越月。
  2. (12月の展望) 米金利動向次第という基本路線は継続。12月の米利上げはほぼ織り込み済みであり、むしろ注目は来年の利上げとなっている。パウエル氏がイエレン米FRB議長の後任に指名された先月の米上院銀行委員会での指名公聴会では、現状路線を踏襲するであろうこと、マーケットとのコミュニケーションに大きな懸念がないことが確認された。実際の指名は本会議での採決後になるが、特段問題なく承認される見込み。引き続き、米金融政策および税制改革をはじめ米議会動向に注目。

5.為替動向

  1. (11月の回顧) 11月のドルバーツ相場は、米税制改革法案の動向や他のアジア通貨動向に影響を受けながら緩やかにドル安バーツ高が進行。月初ドルバーツは、33.23と月間高値でオープン。その後、次期米FRB議長にパウエル氏が指名されたことや米下院での税制改革法案に対しての失望からドルバーツは下落。米税制改革法案を巡る思惑に加えてマレーシア中銀が利上げ示唆し、リンギットが対ドルで上昇したこともドルバーツに波及し、中旬には33台を割り込んだ。さらに、ロシアゲート疑惑が再燃したこともドルバーツの重石となり、ドルバーツは一段と下値を切り下げた。第3四半期GDP成長率が事前予想を上回る+4.3%となったことや貿易統計で輸出が6ヶ月連続で2桁増と好調な結果となったこともドルバーツを下押し。下旬には、北朝鮮リスクが高まったことや米上院での税制改革法案可決は難航するであろうとの見方からドルバーツは32.50まで下落し月間安値をつけた。月末には、タイ中央銀行が発表した主要経済指標のうち特に製造業生産に関する指標が不芳な結果となったことやそれまで買われていた韓国ウォンが6年超振りの利上げ実施で利益確定売りに押されたことがドルバーツにも波及し一時32.68まで戻し、32.65で越月。
  2. (12月の展望) 今後のドルバーツ動向は、基本的には米国要因次第であることは変わらないものの、最近では韓国中銀が6年超ぶりの利上げをしたことやマレーシア中銀が利上げ検討を示唆しており、経済構造が似ていることなどからアジア通貨動向にも注意が必要。米国要因では、今月のFOMCでの利上げが予想されるが、注目はむしろ来年の利上げペースとなっている。また、税制改革及び今月期限が到来する暫定予算の継続審議など米議会動向も引き続き要注意。

6.政治動向

  1. プラユット首相は11月24日、18の閣僚ポストを入れ替える内閣改造を実施した。10人が入閣、9人が退任、8ポストにて現職間の交代・兼務が行われたものの、主要閣僚は留任している。
  2. タイ労働省中央賃金委員会は2018年の最低賃金(日給)を最大5%引き上げにて合意。最低賃金日額は0~15バーツの引き上げとなる見込み。今後、同委員会は労働相に引き上げ案を提出し承認を得る手続きに入る。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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