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タイ国経済概況(2018年1月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ中央銀行は11月30日に発表した月例経済報告にて、引き続き経済が上向いているとの見方を示した。10月のタイ経済は、これまでと同様に輸出および観光が成長を牽引、工業生産は低下したものの民間投資と個人消費は緩やかな回復が続いている。輸出額は前年同月比+13.4%(金を除くと同+14.1%)と二桁増。石油商品、ゴム製品、電子製品、自動車部品などほぼすべての分野にて輸出が伸びている。観光客数は前月から+1.6%(季節調整済み)、前年同月比+20.9%となり各国・地域の観光客数が軒並み増加。工業生産指数は、輸出向け生産は伸びたものの、プミポン前国王の葬儀にともなう休日の増加でトータルでは同▲0.1%となった。民間投資指数は同+1.3%で、伸び率は前月から0.1%低下。通信やエネルギーなどの業界で機械・設備投資の改善が見られた一方、洪水の影響で建材販売は▲7.1%となった。民間消費指数は同+1.4%で、農産物の価格と生産量の双方が低迷し農家収入が減少、前月の同+2.9%を下回った。
  2. タイ工業連盟(FTI)は11月22日、2017年の自動車生産見通しをこれまでの193万台から195万台に上方修正すると発表。輸出向け生産は従来見込みの110万台から変更無しであるが、国内向け生産は83万台から85万台に引き上げた。10月の自動車生産台数は前年同月比+1.5%の16.3万台、うち国内向け生産台数は、7.3万台で同+12.6%、輸出向けは9.0万台で同▲6.1%となった。1月から10月までの自動車生産台数は164.1万台で前年同期比+0.2%とほぼ横ばい。10月の国内新車販売台数は6.9万台で前年同月比+13.1%、引き続き好調となっている。同月の自動車輸出台数は9.1万台で同▲12.0%、3ヶ月ぶりのマイナス成長となった。輸出台数を仕向地別で見るとオーストラリアを含むオセアニアが同+2.5%の2.9万台、アジアが同▲20.9%の2.5万台、欧州が同▲5.2%の1.2万台、中東が同▲6.8%の1.1万台、北米が同▲24.8%の0.8万台となり、オセアニア以外の主要市場が軒並み落ち込んでいる。

2.投資動向

  1. タイ投資委員会(BOI)のドゥアンチャイ長官は、2018年は製造業やサービス産業でのロボットの導入などの自動化関連投資が2017年投資額の114億バーツ(申請件数48件)から50%程度増加する見通しと発言した。同長官は、法人所得税の半減などの恩典を追加したことにより、更なる投資が期待出来るとの考えを示した。2011年から自動化関連投資促進策が導入されており、現在までの累計投資額は380億バーツとなっている。
  2. タイ商務省商業開発局(DBD)は12月19日、11月の同局への新規法人登録件数が前年同月比+13.8%の6,579件、登録資本金額が684.6億バーツとなったと発表。業種別では、不動産の749社が最多で建設の637社が続いた。同局は登録件数の増加理由として、景気の好転や買い物振興策の実施、観光産業の好調などを挙げている。1月から11月までの登録件数は前年同期比+13.9%の6.8万件、法人登録抹消件数は同▲0.9%の1.6万件となっている。
  3. DBDは1月4日、外国人事業法(FBA)で外資企業の参入を制限している業種につき、2017年中に270社(投資額73.0億バーツ)に事業認可を出した旨を発表した。前年は352社(投資額74.4億バーツ)に認可を行っており、認可数、投資額ともに減少となった。12月の認可数は8件で、グループ企業向けのサービス提供、小売り・卸売り、産業廃棄物発電のエンジニアリングなどへの認可を行った。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると2017年11月末時点の金融機関預金残高は18兆6,216億バーツ(前年同月比+4.6%)、貸金残高は17兆1,388億バーツ(同+3.3%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (12月の回顧) 12月のバーツ金利は長期金利は低下、短期金利はドル調達圧力の高まりで一時大幅低下となった。月初タイ10年物国債金利は2.41%でオープン。米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げへの警戒感やタイ経済が好調で株上昇となる中、タイ10年物国債金利は2.46%まで上昇。中旬の米FOMCで事前予想通り利上げがされたが、今後の利上げ見通しが引き続き緩やかなものに留まったことがハト派的に捉えられ米金利低下となったことにともないバーツ金利も低下に転じた。20日に開催されたタイ金融政策委員会(MPC)は事前予想通り現状維持となり、相場への影響は限定的であった。米税制改革が成立したことで米金利は上昇するもバーツ金利には波及せず。月末にかけても債券買い圧力が強く一時2.33%まで低下し、2.355%で越月。短期金利については中旬以降、例年以上にドル調達圧力が高まったことでバーツ金利をはじめアジア通貨全般に低下した。
  2. (1月の展望) 短期金利については、年末を越えたことでドル調達圧力も一服し従前のレベルに収束した。長期金利については、米金利に連動しやすい傾向は継続するものと考える。タイのCPIは徐々に上昇してきているものの依然低水準であり、当面政策金利は現状の1.5%で維持されるものと見込まれる。一方で、昨年は韓国中銀が利上げに踏み切っており、マレーシア中銀も利上げを示唆している。特に長期金利は周辺国動向にも影響を受けやすいためアジア各国の中銀動向にも注意が必要。なお、米金利動向はインフレ動向に注目。

5.為替動向

  1. (12月の回顧) 12月のドルバーツ相場は、米FOMCにて利上げが実施されたが、結果的にはややバーツ高進行となった。月初ドルバーツは、米税制改革の年内成立への期待から32.64でオープン。その後も上昇を続けるも、CPIが前年比0.99%増とタイ中銀のインフレターゲットのレンジ下限近辺まで改善を見せたことからドルバーツは下落に転じた。トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都として認定との報道で中東リスクが懸念されドルバーツはさらに下落。中旬の米FOMCで事前予想通り利上げ実施されたが、反対票が2票あったことや先行き利上げ見通しがハト派的に捉えられたことからドル売りが加速し、ドルバーツは32.45まで下落。月間安値となった。その後、特段の材料なかったものの実需のドル買いがドルバーツを押し上げ、32.89と月間高値をつけた。ドルバーツは実需の買い一巡後は一旦弱含むも、米税制改革への期待が相場をサポート。タイ工業生産指数等月末に公表された経済指標が良好であったことからバーツ買いとなり、ドルバーツは32.59まで下落して越月。
  2. (1月の展望) 今後のドルバーツ動向は、基本的には米国要因によるところが大きいものの、世界的な景気回復からリスク選好度が回復してきており、周辺国を含めた動向にも注意を要する。昨年韓国中銀が6年超ぶりの利上げをしたことやマレーシア中銀が利上げ検討を示唆していることもあり、米国をはじめとする主要中銀以外でも金融引き締め方向となっている。なお、今後の米国金融政策はインフレ動向次第。

6.政治動向

  1. プラユット首相は12月8日、大学の講演会で選挙の実施を2018年11月に行うと表明し、和解と民政復帰への支援を呼びかけた。2017年10月にも、2018年6月に投票日を発表し2018年11月に選挙を行うと発言していたが、今回プラユット首相は「発言を撤回することはない」と述べ、改めて民政移管に向けた2018年11月の選挙日程について強調をした。
  2. タイ国家統計局(NSO)は12月19日、11月の失業率を1.1%と発表。3ヶ月ぶりの改善となった。失業者数は前月比▲9.4%の43.5万人で、内訳は新卒などの未就業者は21.4万人、就業経験者は22.1万人。全国の労働人口3,828万人(15歳以上の人口5,608万人から学生、主婦、高齢者などの非労働者数1,780万人を引いたもの)のうち、就業者が3,772万人、失業者が43.5万人、待機中の季節労働者が12.4万人となっている。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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