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タイ国経済概況(2018年2月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. バンコク日本人商工会議所(JCC)は2月2日、日系企業景気動向調査の結果を発表。2017年下半期の業況感(DI)は29、2018年上半期の業況感は37となった。現在、国内需要の回復や好調な輸出を反映し、DIは上昇傾向にある。同調査における経営上の問題点に関する質問では、「他社との競争激化」「総人件費の上昇」「エンジニアの人材不足」という回答がトップ3を占めている。また、タイ政府への要望では、「関税や通関に関わる制度や運用の改善」「景気対策の推進」「バンコク首都圏の交通インフラ整備」が前年同様トップであるが、直近のバーツ高を反映し、「為替の安定化」を挙げる声も増えている。 DI:業況の改善を見込む企業の割合から悪化とみる企業の割合を差し引いた値
  2. タイ工業連盟(FTI)が1月24日に発表したタイの2017年の自動車生産台数は、前年比+2.3%の198万8,823台であった。国内向けが同+11.0%の86万2,391台、輸出向けが同▲3.5%の112万6,432台。2018年の生産台数の予測値は、国内向けが+4.4%の90万台、輸出向けが▲2.4%の110万台となっており、5年ぶりに生産台数が200万台を超えることが見込まれている。2017年の国内新車市場は個人消費の拡大やファーストカープログラムの反動の解消により二桁成長となった。2018年は伸び率は鈍化するものの、引き続き国内市場は堅調に推移すると見られる。一方で2018年の自動車輸出はベトナムおよび中東向け輸出がマイナス要因とみられている。2018年より、ASEAN域内の関税引き下げにより、タイからベトナムへの新車の輸出が加速すると予想されていた。しかし、ベトナムにて関税の撤廃と同時に、輸入車の品質を証明する認証が課されるなど非関税障壁が設定された。また、中東向け輸出の不振も続いている。

2.投資動向

  1. タイ投資委員会(BOI)は1月12日、2017年の投資申請金額が6,420億バーツ(前年比+10%)、投資申請件数が1,456件であったと発表。このうちEEC(東部経済回廊)向け投資申請金額が全体の46%を占める2,969億バーツ、投資申請件数は388件となっている。またハイテク産業10業種の投資申請額は3,920億バーツであった。海外からの直接投資(外資比率10%以上の企業からの申請案件を計上)は、日本からの投資申請額が前年対比2倍となり1,330億バーツでトップ。次いで、シンガポール(404億バーツ)、中国(275億バーツ)、米国(200億バーツ)、オランダ(158億バーツ)と続く。
  2. 東部経済回廊(EEC)開発政策委員会は2月1日、EEC関連のインフラ整備事業168件を承認した。総投資額は1兆バーツに上る。EEC(チョンブリ県、ラヨン県、チャチュンサオ県)のインフラ投資は3期に分けて実施。第1期(2017~18年)には99事業が含まれ、主なプロジェクトはラヨン県ウタパオ空港における保守、修理、分解点検(MRO)施設や新ターミナルの開発、3空港(ウタパオ、スワンナプーム、ドンムアン)を結ぶ高速鉄道、パタヤ-マプタプット間の高速道路の建設など。
  3. タイ政府は1月30日の閣議で、最低賃金を4月1日に引き上げることを承認した。引き上げ幅は1.6~7.1%(5~22バーツ)で、県別で日額308~330バーツとなる。もっとも高い最低賃金である330バーツが設定される3県は、製造業が集積するEECに位置するチョンブリ県およびラヨン県、観光業が盛んなプーケット県。次に高い325バーツが設定される県は、バンコク首都圏(バンコク都、ノンタブリ県、パトゥムタニ県、サムットプラカーン県、ナコンパトム県、サムットサーコーン県)およびEECに位置するチャチュンサオ県となっている。

3.金融動向

  1. (1月の回顧) 1月のバーツ金利は小幅低下。昨年末に米税制改革法案が成立したことによる期待や堅調な米景気から米金利は上昇した一方で、バーツ金利は上昇が見られなかった。月初タイ10年物国債金利は2.3%台半ばでオープン。中旬に中国当局が米国債投資の減額および停止を勧告との関係者情報が伝わるとタイ国債にも買いが入りバーツ金利低下。その後しばらく、この影響が続いたが徐々に米金利の動向にともなう動きになっていった。月末にかけては米連邦公開市場委員会(FOMC)への警戒感から米金利が上昇したことにともないバーツ金利も上昇したが、結果的にはタイ10年物国債金利は2.51%と前月末対比小幅に金利低下して越月。なお、ドルバーツの通貨ベーシスが中旬以降に縮小しており、バーツ買いのフローが相応にタイ国債市場にも流入したものと考えられる。
  2. (2月の展望) 先月の米FOMC声明文でインフレ見通しが上方修正され、今月初に公表された米雇用統計で賃金の上昇が確認されており、米インフレ上昇への警戒感も台頭してきている。一方で、タイでは低水準のインフレや高水準の家計債務から当面政策金利の据え置きが見込まれており、好調な輸出を背景に対ドルでのバーツ高も見込まれるため海外投資家のタイ国債への需要は堅調と思われる。この両要因の綱引きに加えて、先月利上げをしたマレーシアをはじめとした周辺国の動向を睨みながらの展開になるものと考える。

5.為替動向

  1. (1月の回顧) 1月のドルバーツ相場は、ドル全面安となり大きく下落。米国以外の中央銀行も金融引き締めに舵を切りだしている中、米利上げペース鈍化懸念から年初のドルバーツは32.46と上値重くオープンし、その後も下値を切り下げる展開。中旬に中国人民銀行(PBOC)が人民元相場の管理体制を変更したとの関係者情報が広がり人民元が対ドルで急落。それにともなうようにバーツも対ドルで下落。しかし翌日には、中国当局が米国債投資の減額および停止を勧告との関係者情報が伝わったことでドル売りとなり、ドルバーツも再び下落。さらに欧州中央銀行(ECB)議事録の内容がタカ派的であったことからドル売りが加速し、ドルバーツは32割れに。下旬には、ムニューシン米財務長官のドル安容認発言でドルバーツは一気に下落。2013年11月以来となる31.30まで下落した。その後、トランプ米大統領が強いドルを望むと円安容認発言を否定する発言でドルバーツは一時的に31.4台まで戻すもドル売りの流れは変わらず31.33で越月。
  2. (2月の展望) 今後のドルバーツ動向は、米国要因に振らされる展開が基本的に継続。先月末の米公開市場委員会(FOMC)声明ではインフレ見通しが上方修正されたところに、今月発表された米雇用統計で賃金の上昇が確認された。さらに、複数の米連邦準備制度理事会(FRB)高官のタカ派的発言もあり足元ドル買戻しとなっている。米国以外でも金融引き締めへの動きが見られることから中期的にはドル売りトレンドは継続するものと考えるが、このトレンドが一旦修正されるか注目される。

6.政治動向

  1. ウィサヌ副首相は1月25日、記者団に対し、総選挙は2019年1月あるいは2月になる旨の見解を示した。プラユット首相は昨年より2018年の11月ごろに選挙を行うと述べてきた。しかし、1月25日、総選挙に先立って施行される下院選挙法の施行日が官報告示の90日後とする決定を立法議会がおこなった。これにより総選挙の日程も3ヶ月程度遅れる見通しとなった。
  2. バンコクとチェンマイを結ぶ新幹線計画の事業費用の削減のため、タイ側より駅数を減らす提案が出ている。2月7日の専門家会合にて、日本側は駅数の削減により利用者や収益の減少が考えられることから慎重な姿勢を示した。しかし、アーコム運輸相は駅削減に代わる事業費の削減案を日本側に求めるなど、事業費用をめぐる議論が続けられている。なお、駅数削減の提案の前には、最高速度の引き下げによる事業費用の削減が議論となっていたが、ソムキット副首相より最高速度の引き下げは行わず当初の事業案(最高時速300キロ)にて計画を進める旨の見解が示された。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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