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タイ国経済概況(2018年3月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. 国家経済社会開発庁(NESDB)は2月19日、2017年の経済成長率を+3.9%、2018年の経済成長率予測を+3.6~4.6%と発表。同庁のポラメティー長官は、世界経済の拡大による製造業の生産増、インフラ整備など政府支出の拡大、民間投資の回復、家計収入の改善などが今年のタイ経済の成長に寄与するとの認識を示している。2018年の予測値を項目別に見ると、物品輸出(米ドル建)は+6.8%、民間消費は+3.2%、民間投資は+3.7%、インフレ率は+0.9~1.9%、経常収支はGDP比7.8%の黒字となっている。なお、タイ商務省は2月21日、2018年の輸出額見込みを2017年比+8%と発表、インドやロシアなど新市場の開拓や製品の高付加価値化が昨年に続いて今年の高成長を支えるとしている。
  2. タイ中央銀行は1月の経済報告を2月28日に発表、外需に支えられた輸出と観光業が主な牽引役となり、引き続きタイ経済は拡大を続けているとの見方を示した。1月の輸出額は199億米ドルで前年同月比+16.7%(金を除いた輸出額は同+18.1%)、伸び率は過去5年2ヶ月で最高であった。原油価格上昇により石油化学品の輸出額が拡大、自動車やタイヤなど自動車関連、ハードディスクドライブ、農産品などの輸出が好調。また、同月の外国人旅行者は同+10.9%の355万人、ほぼすべての主要国からの観光客が増加している。
  3. タイ工業連盟(FTI)が2月21日に発表した1月の自動車生産台数は前年同月比+9.2%の16.6万台、内訳は国内向けが同+23.0%の6.8万台、輸出向けが同+1.3%の9.8万台となった。同月の自動車国内販売台数は同+16.2%の6.7万台で5ヶ月連続の二桁増、13ヶ月連続のプラスとなった。同月の輸出台数は同+2.5%の8.2万台で3ヶ月連続のプラス。輸出台数を仕向地別に見ると、オーストラリアを含むオセアニアが同+17.4%の3.0万台、アジアが同▲9.2%の1.9万台、欧州が同+8.1%の0.98万台、石油価格下落により不振が続いていた中東向けは同+30.0%の0.77万台、中南米が同+16.2%の0.76万台、北米が同▲44.9%の0.59万台、アフリカが同+43.9%の0.24万台となっている。

2.投資動向

  1. 閣議にて2月27日、会社設立時の法人設立登記料の一律化などを盛り込んだ商業省令が承認された。これまでは株式会社の設立登記料は登録資本金10万バーツにつき500バーツで、最低5,000バーツ、上限は25万バーツであった。今後は5,000バーツに統一され、さらに電子登記の場合は3割引きとなる。タイ政府は世界銀行の経営環境ランキングの向上を目指しており、本施策はその一環とみられる。2017年の同ランキングにおいてタイは「改革により改善が見られた今年の上位10ヶ国」にランクインしている。
  2. 東部経済回廊(EEC)開発政策委員会は2月26日、ドンムアン空港、スワンナプーム空港およびウタパオ空港を連結する高速鉄道整備計画(全長220km)を承認、今後閣議に提案を行う。事業整備は官民連携(PPP)方式により行われ、事業費は約2,000億バーツ、運行開始は2023年を見込んでいる。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると2018年1月末時点の金融機関預金残高は18兆9,064億バーツ(前年同月比+4.9%)、貸金残高は17兆3,461億バーツ(同+4.1%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (2月の回顧) 2月のバーツ金利は小幅上昇。月初タイ10年物国債金利は2.3%台半ばでオープン。その後公表された米雇用統計の結果からインフレ上昇への警戒感が高まりグローバルで株価が暴落したことからリスクオフとなり、新興国のアセットが売られた中バーツ金利も上昇。タイ10年物国債金利は一時2.4台前半まで上昇。米株に買戻しが入り、徐々にリスクオフムードが後退したことで、バーツ債にも資金が戻り金利低下。14日にタイ中銀の金融政策委員会(MPC)が開催され政策金利据え置き決定となったが、事前予想通りで相場への影響はほぼ見られなかった。この日夜間に発表された米消費者物価指数(CPI)が予想比上振れしたことや下旬に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録がタカ派な内容であったことから米金利が上昇したことを受けてバーツ金利も上昇。その後は、27日に予定されているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言への思惑でバーツ金利は再び小幅低下。しかし、実際の証言は想定以上にタカ派的であったことからバーツ金利も小幅切り返し、タイ10年物国債金利は2.3%台後半で越月となった。
  2. (3月の展望) 今月のバーツ金利は、好調なタイ経済を背景に海外投資家のバーツ債需要は堅調と思われるが、基本的には米金利動向を睨みながらの展開になるものと思われる。パウエル米FRB議長の議会証言からも今月米FOMCでの利上げはほぼ確定と見られている。市場の注目は、同時に公表される政策金利の先行き見通しとなっている。12月時点での見通しでは今年の利上げ回数の中央値は3回であったが、それが引きあがる可能性は高いと考えている。市場はすでに年4回利上げを織り込み始めているため、米FOMC後のプライスアクションには注意を要する。

5.為替動向

  1. (2月の回顧) 2月のドルバーツ相場は外部要因に振らされて大きく上下した。月初ドルバーツは31.3台半ばと小じっかりでオープン。その後、米雇用統計でインフレ上昇への警戒感が高まり、グローバルで株が暴落した。これを受けてドルバーツは上昇。しばらくリスク回避ムードが続いたが、米株が買い戻されたことで一旦リスク回避ムードが後退。しかし、中国の貿易収支が予想を下回ったことからドルバーツは再度上昇し、31.8台後半に。中旬、米株の買い戻しが継続し、これにともないグローバルで株価が回復したことからリスク選好度が戻るとドルバーツは下落に転じ、一時は31.20あたりまで下落。19日に発表されたタイ第4QGDPが事前予想を下回ったことを手掛かりにドルバーツは反転上昇。そういった中発表された米FOMC議事録の内容がタカ派的であったことからドルバーツはさらに上昇。また、タイ中銀総裁がインフレは抑制されており金融引き締めを急ぐ必要はないとコメントしたこともドルバーツの上昇をサポートした。今度は、議会証言はタカ派的にならないであろうとの見方が台頭したことがドルバーツの重石となり31.2台半ばまで下落。27日夜間に行われた議会証言が想定以上にタカ派的であったことからドル買いとなるも、月末で輸出フローが相応に出たことやタイ景気の強気な見方がドルバーツの上値を押さえ、31.3台後半で越月となった。
  2. (3月の展望) 今月のドルバーツ動向は、米利上げ動向に振らされる展開継続と思われる。今月の米FOMCでの利上げはほぼ確実視されているが、注目はその際に公表される政策金利見通しの中央値が従来の年3回から引き上げられるかとなっている。利上げ回数は4回に引き上げられる可能性は高いと考えており、その場合にはドルバーツも一旦上昇となるであろう。

6.政治動向

  1. トランスペアレンシー・インターナショナルは2月21日、2017年版の腐敗認識指数(CPI)を発表した。CPIは100点満点であり、点数が低いほど腐敗が激しい。タイのCPIは37点で前年度の35点から改善したものの、世界平均を下回り、180ヶ国・地域中の96位。ASEANではシンガポール(84点/6位)、ブルネイ(62点/32位)、マレーシア(47点/62位)がタイを上回り、インドネシアがタイと同順位、ベトナム(35点/107位)、フィリピン(34点/111位)、ミャンマー(30点/130位)、ラオス(29点/135位)、カンボジア(21点/161位)がタイを下回る結果となった。
  2. 総選挙に向けた新政党の登録受け付けが3月2日に開始、月末までの受付となっている。既に40以上の党が届出を行っており、選挙管理委員会が今後審査を行う。プラユット首相は2月27日の閣議後、記者団に対して2019年2月までに総選挙を実施すると述べている。また、3月8日、下院選挙法案と上院選任法案が議会にて可決されたことにより、総選挙実施へ一歩前進となった。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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