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タイ国経済概況(2018年4月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. 4月3日、商業会議所・工業連盟・銀行協会から構成される商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)は、2018年の経済成長率の見通しをこれまでの前年比+3.5~4.0%から同+4.0~4.5%へ上方修正、好調な輸出および観光が経済を押し上げているとしている。もっとも同委員会は、米中間の貿易摩擦や、一部の主要農産品の価格低迷などをタイ経済成長に対するリスクとして挙げている。
  2. タイ中央銀行は2月の月例経済報告を3月30日に発表、引き続きタイ経済は拡大を続けているとの見方を示した。輸出および観光の外需が経済の牽引役となっていることに加え、民間消費、民間投資、政府支出も拡大している。2月の輸出額は198億米ドルで前年同月比+7.7%(金を除いた輸出額は同+10.0%)、貿易相手国の景気拡大に沿ったもの。また、同月の外国人旅行者は同+19.3%の360万人、中国を筆頭にほぼすべての主要国からの観光客が増加している。
  3. タイ工業連盟(FTI)が3月21日に発表した2月の自動車生産台数は前年同月比+15.4%の17.8万台、内訳は国内向けが同+18.0%の8.0万台、輸出向けが同+13.3%の9.9万台となった。同月の自動車国内販売台数は同+10.3%の7.5万台で6ヶ月連続の二桁増、14ヶ月連続のプラスとなった。同月の輸出台数は同+4.1%の10.2万台で4ヶ月連続のプラス。輸出台数を仕向地別に見ると、オーストラリアを含むオセアニアが同+12.7%の3.4万台、アジアが同▲13.1%の2.5万台、欧州が同▲16.5%の1.2万台、北米が+47.2%の1.0万台、中南米が同+11.3%の0.99万台、中東が同+37.3%の0.94万台、アフリカが同▲17.2%の0.24万台となっている。

2.投資動向

  1. タイ投資委員会(BOI)は3月19日、タイ投資セミナー「Thailand Taking off to New Heights」を開催。ソムキット副首相も登壇し、東部経済回廊(EEC*/Eastern Economic Corridor)に関するインフラ整備プロジェクトを説明、タイ企業および日系企業を含む外資企業に対して投資を呼びかけた。インフラ整備資金の約6割を官民連携(PPP/Public?Private Partnership)方式にて賄う計画であり、民間企業の参画がインフラ整備計画の成否の鍵を握っている。タイ政府は年内にもPPPの諸条件を明確化し、民間企業の参画を促進したいとしている。
    EEC:チャチュンサオ県、チョンブリ県、ラヨーン県の3県を指す
  2. ソムキット副首相は、3月29日、包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP/通称TPP11)へ年内に参加する意向を明らかにした。TPP11加盟による関税の引下げにより、タイが優位性を持つ自動車、電気・電子、産業用機械、食品などの分野において輸出が増加し、これらの分野のさらなる産業集積が進むことが考えられる。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると2018年2月末時点の金融機関預金残高は19兆10億バーツ(前年同月比+5.0%)、貸金残高は17兆4,452億バーツ(同+4.3%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (3月の回顧) 3月のバーツ金利は、狭いレンジ内で推移。10年物国債利回りは2.54%から2.56%台のレンジで推移した。28日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)では事前予想通り政策金利を1.5%に据え置いた。しかし、1名の委員が利上げ票を投じており、全会一致とならなかった。この委員は、「低金利の長期化は家計部門、企業部門で金融環境の潜在的な変化を過小評価する可能性がある一方で現在の環境では利上げは経済成長を阻害しない」と指摘。また経済見通しでは、外需拡大の継続および内需についても徐々に回復してきていることから2018年の経済成長率を4.1%(前回3.9%)に上方修正。インフレ見通しは、想定以上に生鮮食品の価格が下落したことから消費者物価指数(CPI)を1.0%(同1.1%)、コアCPIを0.7%(同0.8%)へと下方修正した。MPCの後も当面現状の政策金利が維持されるとの見方からマーケットへの影響はあまり見られなかった。3月は米国では利上げが実施されたが、先行きの利上げペースは依然緩やかなものに留まるとの見方や、米中の貿易戦争への懸念、米政権高官がたびたび辞任、更迭となったことによる不透明感の高まりといった要因で米金利が低下となったが、バーツ金利は米金利を下回っており低下の余地が乏しかったこともあり動意に乏しい展開となった。
  2. (4月の展望) 今月のバーツ金利は、外部要因に振らされる展開が継続するものと考える。先月のMPCでは利上げに票を投じた委員がいたものの、インフレ圧力は依然弱く当面政策金利は維持されることが予想される。一方で、先月の金利動向で見られた通り、米国の段階的な利上げによりバーツ金利は米金利を下回っており、米国債対比での魅力には乏しいことからさらに金利が低下する可能性は低いと思われる。

5.為替動向

  1. (3月の回顧) 3月のドルバーツ相場は、貿易戦争への思惑で上下する中、米経済指標がインフレの加速感を示さなかったことや期待値対比ハト派的であった米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けて下落。月初、トランプ米大統領が鉄鋼・アルミに輸入関税を賦課する方針を示し、ドルバーツは一時31.5台前半まで上昇。2月CPIが前月の上昇率を下回ったこともドルバーツをサポート。その後、貿易戦争への楽観論が台頭しドルバーツは一旦低下したが、コーン米国家経済会議(NEC)委員長の辞任発表でドルバーツは再び上昇。その後発表された米経済指標からはインフレの加速感が示されなかったことやティラーソン米国務長官の更迭を受けて、ドルバーツは一時31.1台前半まで下落。その後も米政権高官の解任に関する報道が続いたが、米FOMCへの警戒感でドルバーツは31.2台まで回復。米FOMCでは、事前予想通り利上げが決定。しかし、年内利上げ回数見通しが3回と前回から変わらずドルバーツは下落。その後は、米中通商関連の報道に振らされてドルバーツは上下。月末にかけては、実需要因で上下しながら結局は31.1台後半でクローズ。なお、28日に開催されたMPCで政策金利は現状維持が決定されたが、今回の会合は全会一致ではなく1名の委員が利上げに票を投じた。また、MPCでは2018年の経済成長見通しを上方修正した一方でインフレ見通しは下方修正。
  2. (4月の展望) 今月のドルバーツ動向は、外部要因に振らされながらもバーツ高に傾きやすい展開継続が予想される。米金融政策に関しては、年内の利上げ見通しは3回と据え置かれたが、あと1名の委員が上方修正すると4回に引きあがるため今後の経済指標が注目される。また、足元では米中の貿易摩擦激化から通商政策に関する報道への感応度の高さも継続する見込み。タイ経済は外需主導とはいえ堅調推移が予想される。

6.政治動向

  1. 4月1日より総選挙に向けた既成政党の党員再登録が開始された。これに先立ち、新政党の登録受け付けが3月2日より行われており、2019年2月までに実施されると見込まれる総選挙に向けた準備が進んでいる。政治活動の解禁の時期は2018年6月とみられており、予定通りに政治活動が解禁された場合は、総選挙実施への弾みがつくこととなる。
  2. タイ入国管理局は、ソンクラン期間中のスワンナプーム空港利用に際し、空港の混雑が予想されるため、出発時刻の3時間前の空港到着を呼び掛けている。なお、観光・スポーツ省はソンクラン期間中にタイを訪れる外国人旅行者数は前年同期比+14.8%の54.7万人と予想している。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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