Logo of JTBF

 

タイ国経済概況(2018年5月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ中央銀行は3月の月例経済報告を4月30日に発表、タイ経済は輸出および観光の外需が経済の牽引役となり、引き続き拡大をしているとの見方を示した。3月の輸出額は221億米ドルで前年同月比+6.3%、同月の外国人旅行者は同+16.3%の350万人。第1四半期(1月~3月)で見ると、輸出額は前年同期比+9.9%の618億バーツ、自動車、石油化学および電気電子製品が好調。また、同期の外国人旅行者は同+15.4%の1,061万人、中国の地方都市からの直行便就航が一因となり中国人観光客が増加。
  2. タイ国家統計局(NSO)は5月7日、4月の失業率を1.1%と発表した。失業者数は前年同月比▲14.5%の40.5万人で、内訳は新卒などの就業未経験者は23.3万人、就業経験者は17.2万人。全国の労働人口3,799万人のうち就業人口が3,728万人、就業者の内訳は商業が1,789万人で最も多く、続いて農業が1,074万人、製造業が865万人となっている。
  3. タイ工業連盟(FTI)が4月25日に発表した3月の自動車生産台数は前年同月比+9.2%の19.5万台、内訳は国内向けが同+22.6%の9.1万台、輸出向けが同▲0.4%の10.4万台となった。また、同月の自動車国内販売台数は同+12.1%の9.5万台、輸出台数は同+4.7%の11.1万台。第1四半期では、自動車生産台数は前年同期比+11.2%の54.0万台。第1四半期の自動車生産台数の内訳は、国内向けが同+21.2%の23.9万台、輸出向けが同+4.3%の30.1万台となった。

2.投資動向

  1. タイ投資委員会(BOI)は4月18日、2018年第1四半期の投資申請額が2,036億バーツ、申請件数が333件と発表。また、東部経済回廊(EEC)内への投資は808億バーツとなった。BOIは2018年の投資申請額目標を7,200億バーツ(前年実績比+12%)に設定しており、第1四半期の投資申請額は通年目標の28%に相当する額となっている。
  2. ソムキット副首相は5月1日、バンコクにて茂木敏充経済再生担当相と会談し、タイが包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP/通称TPP11)へ参加する意向を示した。茂木氏はタイのTPP11参加を歓迎、タイのTPP11加入に向けて協力する考えを表明している。タイはTPP11参加にかねてより前向きな姿勢を示しており、加入により貿易の拡大を狙うもの。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると2018年3月末時点の金融機関預金残高は19兆1,679億バーツ(前年同月比+6.1%)、貸金残高は17兆4,917億バーツ(同+4.6%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (4月の回顧) 4月のバーツ金利は、月前半は膠着したが後半には米金利上昇にともない上昇となった。月初、米中貿易摩擦激化や米株の大幅下落を受けタイSET株も下落となったがタイ10年債利回りは2.56%台で小動き。米金利を下回る水準であることから感応度も下がったものと推察される。中旬に習近平中国国家主席が市場開放および関税引き下げについて述べたことを契機に米中通商問題への懸念が後退。また、ソンクラン休暇中にシリア爆撃あるも、その後報復行動もなく1回限りで終了との見方となりシリア情勢への懸念もソンクラン休暇中に概ね消化された。さらに、金朝鮮労働党委員長が核実験およびミサイル発射実験を中止すると発言したことや南北首脳会談では従来の休戦協定から平和協定に転換する方針が示されたことで北朝鮮情勢を巡る緊張も緩和された。通商問題、地政学問題への懸念が後退していく中、米金利は良好な米経済指標を受けて上昇し、一時は3%の大台を回復。これを受けてタイ10年債利回りも2.60%台まで上昇。米金利が月末調整で金利低下となったが、タイSET株が米金利低下および地政学リスクの後退を好感したことで、バーツ金利は小幅上昇。タイ10年債利回りは2.61%台でクローズとなった。
  2. (5月の展望) 今月のバーツ金利は、引き続き米金利動向を中心とした外部要因に振らされる展開が継続。今月中旬にタイ中銀が金融政策委員会(MPC)を開催するが、政策金利は現状維持が見込まれる。輸出がけん引してタイ経済は良好であるが、インフレは依然低水準であり利上げを急ぐ状況にはない。前回は反対票があり全会一致とならなかったが、今回も票が割れるか注目される。

5.為替動向

  1. (4月の回顧) ドルバーツ相場は、米金利上昇を手がかりとして月後半に大幅に上昇。月初、米中貿易摩擦が激化する中ドルバーツは31.1台半ばでオープン。その後はジリ高推移。ソンクラン休暇前に開催された博鰲(ボアオ)アジアフォーラムにて習近平中国国家主席が「市場開放」「関税引き下げ」について繰り返し述べたことから貿易戦争への懸念が後退し、ドルバーツは一時31.1台前半まで下落。ソンクラン休暇中に米英仏がシリア爆撃を行ったが、その後の報復行動がなかったことなどから地政学リスクへの懸念は後退。下旬には、貿易戦争、地政学リスクといった懸念材料が一服し米国を中心とした経済および金融政策に焦点が移っていく中、良好な米経済指標を手がかりに米金利が上昇したことでドルバーツも上昇。そういった中タイ商務省より発表された3月貿易統計では、輸出額は前年比+7.1%と伸びは鈍化したものの223.6億ドルと過去最高を記録し、貿易黒字も拡大。しかし、米金利上昇を背景としたドル買いの流れの前では材料視されなかった。米10年債利回りが3%の大台を回復すると、ドル買いの勢いがさらに強まりドルバーツは一段と上昇。利益確定の売りで押される局面あるも上昇トレンド継続となり、ドルバーツは31.6台を回復。米金利が月末調整で金利低下となったことや輸出のドル売りなどでドルバーツは下押しされ31.5台後半でクローズとなった。
  2. (5月の展望) ドルバーツ動向は、基本的には堅調なタイの輸出を背景にバーツ高トレンドとみられているが、今月は米金利動向に振らされやすい状況になるものと思われる。今月初に開催の米FOMCでは足元データを受けてインフレ判断は上方修正されたが、今後の利上げに関しては従来から変更なしであった。6月利上げに関しては直接的な示唆はなかったが、利上げは実施されるとの見方がコンセンサス。タイ中銀は今月中旬にMPCを開催するが、こちらについては政策金利の変更は見込まれていないが、前回と同様に反対票が入るか注目される。

6.政治動向

  1. 商務省が5月1日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+1.1%、10ヶ月連続の上昇となった。CPIの上昇率はここ1年ほど、前年同月比0~1%前後にて推移。4月のコアCPI(生鮮食品とエネルギーを除いたもの)の上昇率は同0.6%で、生鮮食品は同0.5%、エネルギーは同4.7%となっている。商務省は2018年通年のCPI上昇率について、「前年比0.7~1.7%」と予測している。
  2. 国際協力銀行(JBIC)の前田匡史代表取締役副総裁は5月7日、プラユット首相およびソムキット副首相を表敬訪問。ドンムアン空港、スワンナプーム空港、ウタパオ空港を結ぶ高速鉄道への低利融資や、日中タイ共同のインフラ開発などについて話し合ったとされる。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

詳細記事/統計データ

クリックしても開かない時は
右クリックから「対象をファイルに保存」
保存したファイルを Adobe Reader で開いて下さい。



 在京タイ王国大使館 /  タイ国投資委員会 /  タイ国政府観光庁 /  日タイ経済協力協会 /  海外技術者研修協会 /  盤谷日本人商工会議所 /  (社)日本貿易会 /