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タイ国経済概況(2018年8月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ中央銀行は6月の月例経済報告を7月31日に発表、好調な外需に加え国内需要が回復している。6月の民間消費指数は前年同月比+3.4%で拡大基調が継続。同月の輸出額は218億米ドルで同+10.0%、石油関連製品(同+23.9%)、電子製品(同+12.9%)、農産加工製品(同+9.1%)を筆頭に輸出の拡大が継続。経常収支も、輸出額と観光収入の増加にともない黒字が続いている。
  2. バンコク日本人商工会議所(JCC)は8月3日、半年ごとに実施している日系企業景気動向調査の結果を発表。2018年下半期の業況感(DI)見通しは40となり、2018年上半期の業況感の36を4ポイント上回った。国内需要の回復や好調な輸出を反映し、DIは上昇傾向となっている。同調査の「今後の有望輸出市場」については、これまで5期連続でトップだったベトナムをおさえ、インドが1位となった。また、EEC(Eastern Economic Corridor/東部経済回廊)に関する質問では、EEC政策の重点産業に該当する事業を持つ企業(139社)のうち、EECへの投資に関心を示した割合は62%であった。 DI:業況の改善を見込む企業の割合から悪化とみる企業の割合を差し引いた値
  3. タイ工業連盟(FTI)が7月18日に発表した6月の自動車生産台数は前年同月比+7.7%の18.9万台、内訳は国内向けが同+20.1%の9.3万台、輸出向けが同▲2.2%の9.6万台となった。同月の国内販売台数は同+25.9%の8.8万台で10ヶ月連続の前年同月比二桁増、輸出台数は同+2.4%の9.5万台で8ヶ月連続の前年同月比プラスとなっている。上半期の自動車生産台数は前年同期比+11.1%の105.7万台、国内販売台数は同+19.3%の48.9万台、輸出台数は同+4.8%の56.2万台。順調な国内新車市場を背景に自動車生産台数は12ヶ月連続の前年同月比プラスが続いており、FTIは近く2018年の生産台数目標を200万台から210万台へ引き上げる見通し。

2.投資動向

  1. 商務省は、包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP/通称TPP11)参加に向けて、8月から全国で公聴会を実施するとしている。正式な加盟表明を前に、各界への影響を精査するもの。同省貿易交渉局のオラモン局長によると、まずは8月にバンコクで関係者を対象にした公聴会を開催、その後、9月にかけて全県で同様の公聴会を実施していくとのこと。タイ政府は年内にCPTPPへの正式な加盟を表明する見通し。ソムキット副首相は、7月18日の菅官房長官との会談においても改めてCPTPP加盟への意欲を示しており、日本政府が支援を表明していた。
  2. 7月17日から27日、バンコクにて東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の事務レベルの交渉会合が実施された。投資や知的財産、電子商取引(EC)のルールなどについて協議し、税関手続き・貿易円滑化と政府調達の2分野で合意。年内妥結に向けて前進となった。
  3. タイ国鉄は6月18日から7月9日まで、ドンムアン空港、スワンナプーム空港、ウタパオ空港を結ぶ高速鉄道整備事業の入札書類を販売。31社が入札書類を購入した。内訳は、タイ企業14社、中国企業7社、日本企業4社、フランス企業2社、マレーシア企業2社、韓国企業1社、イタリア企業1社。企業連合が形成され、4~5グループが応札する見通しとの見解をタイ国鉄は示している。入札は2018年11月12日に行われ、翌日に落札者が発表される予定となっている。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると2018年6月末時点の金融機関預金残高は19兆2,403億バーツ(前年同月比+5.1%)、貸金残高は17兆8,948億バーツ(同+5.4%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (7月の回顧) 7月のバーツ金利は、中短期ゾーンが金利上昇となった一方で長期ゾーンは金利低下。初旬にタイ中銀は6月に行われた金融政策委員会(MPC)議事要旨を発表し、利上げの時期や条件が議論されていたことが明らかになった。これを受けて、特に短中期ゾーンで金利上昇。7月はバーツ安が進行したが、海外投資家は1年以内の短期ゾーンについては保有残高を減らした一方で、1年超の中長期ゾーンの保有残高は増やし、トータルでは小幅に保有残高を積み増した。インフレ勘案後の実質金利でみると、タイ長期債利回りは米国債利回り対比わずかではあるが妙味があることも要因と考えられる。
  2. (8月の展望) 今月のバーツ金利は、内外の要因を睨みながらの展開となると思われる。タイ中銀MPCではすでに利上げの条件などが議論されており、タイミング待ちの状態である。今月のMPCでの利上げは予想されていないが、利上げ票数、今後のインプリケーションが注目される。

5.為替動向

  1. (7月の回顧) 7月のドルバーツ相場は、通商摩擦への懸念を背景に上昇。月初、ドルバーツは33.0台前半でオープン後、米国が対中輸入関税第一弾の発動を控えて強含み推移。6日に予定通り発動、それを受けて中国も報復措置を実施すると材料出尽くし感からドルバーツは下落。中旬に「米当局が2,000億ドル相当の対中輸入関税リストを公表の方向」との報道でドルバーツは33.3台前半まで上昇。ウィラタイ・タイ中銀総裁の「バーツの急激な変動に対応」とのコメントで上昇の勢いが鈍った。その後、人民元売りが加速する中、ドルバーツは連れて昨年10月以来となる33.5台を一時回復。しかし、ドル買い一巡後は水準感もあり上値の重い展開に。トランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに対する批判やドル高けん制発言をしたことで、ドルバーツは一時下落するも、米利上げスタンスは不変との見方から反転。米欧間で貿易障壁削減が合意となると、リスク選好が戻りドルバーツは一時33.1台前半まで下落するも、中国人民銀行(PBOC)の金融緩和観測による人民元売りで切り返して上昇した。米中通商摩擦への懸念が強い中、ドルバーツは堅調に推移し、33.2台後半でクローズ。
  2. (8月の展望) 中長期的なドルバーツ動向は、堅調なタイ輸出を背景にバーツ高トレンドに回帰との見方を維持。ただし、米中貿易戦争の行方は依然不透明であることが最大のリスク要因。今月8日に開催されるタイ中銀MPCでは、政策金利の維持がコンセンサスではあるが、利上げ票数や今後のインプリケーションの有無は要注目。

6.政治動向

  1. 7月23日、日本の経済産業省は、日タイ両政府が7月18日に首相官邸で開催した第4回となるハイレベル合同委員会で、タイ工業省とタイの産業構造の高度化に向けた協力分野に関する枠組み文書を交換したと発表。今回の合同委員会では、タイの人材育成や中小企業の成長促進などについて、日本政府が進めるモノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)などの発達を支援する戦略「コネクテッドインダストリーズ」のコンセプトを活用し、協力することを確認した。また、両政府は、タイの鉄道整備計画への支援などインフラ面での協力や多角的な自由貿易体制の推進などに関しても合意。
  2. 7月18日、日本政府観光局(JNTO)は訪日外客数統計を発表。6月に日本を訪れたタイ人は前年同月比+42.2%の7万3,600人であり、中国、韓国、台湾、香港、米国に次ぐ順位となっている。1~6月の訪日タイ人は前年同期比+14.3%の60万6,700人。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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