Logo of JTBF

 

文字サイズ:   

タイ国経済概況(2018年9月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. 国家経済社会開発庁(NESDB)は8月20日、2018年第2四半期のGDPを前年同期比+4.6%と発表、今年上半期の経済成長率は+4.8%となった。通年の経済成長率の予測値は+4.2~4.7%としており、今年5月時点の予想値を据え置いている。NESDBは項目別の通年の予測値を、民間消費が+4.1%、物品輸出が+10.0%、民間投資が+3.9%、政府支出が+2.2%などとしている。 タイ中央銀行は7月の月例経済報告を8月31日に発表、タイ経済は外需主導の成長が続いてきたが足元の消費拡大により、外需と内需を両輪とした経済成長に移行しつつある。7月の民間消費指数は前年同月比+4.7%となり、所得の拡大、政府の低所得層への支援政策、低位なインフレ率および金利、消費者信頼指数の改善などが寄与しているとみられる。輸出額は同+8.3%、二桁増が続いていた中で伸び幅は縮小となったが、工業製品を筆頭に多くのカテゴリーで輸出拡大が続いている。一方で、外国人観光客数は同+2.8%と小幅の伸びにとどまった。プーケットでの観光船沈没事故の影響による中国人観光客の減少が響いている。 タイ工業連盟(FTI)が8月20日に発表した7月の自動車生産台数は、前年同月比+15.1%の18.3万台、内訳は国内向けが同+36.9%の8.7万台、輸出向けが同+0.6%の9.6万台となった。同月の国内販売台数は同+25.7%の8.2万台で11ヶ月連続の前年同月比二桁増、輸出台数は同+0.2%の9.0万台で9ヶ月連続の前年同月比プラスとなっている。1~7月の自動車生産台数は前年同期比+11.7%の124.0万台、国内販売台数は同+20.2%の57.1万台、輸出台数は同+4.1%の65.2万台。順調な国内新車市場を背景に自動車生産台数は13ヶ月連続の前年同月比プラスが続いている。FTIは2018年の生産台数目標を200万台から208万台へ引上げている。輸出向け生産の目標台数は110万台で据え置いているが、国内向けを90万台から98万台に引上げた。国内新車市場の好調が続けば、さらなる上方修正も見込まれる。

2.投資動向

  1. ウッタマ工業相は8月8日、EEC(Eastern Economic Corridor/東部経済回廊)の対象地域を拡大する意向を示した。EEC政策委員会に対し、現在のEEC対象地域であるチャチュンサオ、チョンブリ、ラヨーンの3県に加え、新たにサケオ、トラート、チャンタブリの3県を対象地域に追加する提言を行うとみられる。なお、2018年5月15日付で施行となったEEC法には、EECの対象地域の拡大が可能である旨が定められている。
  2. タイおよび中国政府は8月24日、タイ中国経済貿易合同委員会の会合を開催、当会合にあわせ中国の政官財の代表500人以上が訪タイし、EEC地域を視察した。一行は、政府関係者との会合や投資セミナーに出席し、レムチャバン港、ウタパオ空港、工業団地などを視察。中国の一帯一路とEECの紐帯を深める狙いとみられる。
  3. チュンポン、ラノーン、スラタニ、ナコンシータマラートの4県を中心とした交通インフラ整備計画である南部経済回廊(Southern Economic Corridor)開発が閣議で原則承認となり、今後具体的な整備計画の策定が進められていくとみられている。南部地域のインフラ整備を通じ、産業開発および経済水準の向上を目指すとしている。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると2018年7月末時点の金融機関預金残高は19兆2,027億バーツ(前年同月比+5.1%)、貸金残高は17兆9,299億バーツ(同+5.9%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (8月の回顧) 8月のバーツ金利は、中期ゾーンが顕著に金利上昇となったが、短期ゾーンは小幅金利低下、長期ゾーンは小幅金利上昇。3月のタイ中銀金融政策委員会(MPC)以降1名の委員が利上げ票を投じており、直近の議事要旨からは利上げの時期が議論されていたことが確認されている。また、インフレは中銀ターゲットである1~4%のレンジ内をキープしており、現行政策金利の1.5%近くまで上昇している。タイ第2四半期GDPも前期対比では小幅に減速も+4.6%と堅調であり、内需の回復もしっかりしてきている。そのため、早期の利上げ期待が一部であることから中期ゾーンの金利上昇となった。また、ウィラタイ・タイ中銀総裁も利上げへの地ならしと取れる発言を繰り返しているが、一方で利上げは緩やかに、かつ連続しないと述べていることや米金利の上昇が鈍ったことで長期金利は小幅金利上昇に留まった。
  2. (9月の展望) 今月のバーツ金利は、内外の要因を睨みながらの展開継続。タイ中銀MPCではすでに利上げの条件等が議論されており、タイミング待ちの状態である。今月のMPCでの利上げを期待する向きも一部あるが、コンセンサスは現状維持。しかし、利上げ票数、今後のインプリケーションが注目される。

5.為替動向

  1. (8月の回顧) 8月のドルバーツ相場は、初旬には通商摩擦激化への懸念でドルバーツは33.2台から33.3台にかけての高値圏で推移。中国人民銀行(PBOC)が外貨リスク準備金の引上げを発表したことで人民元が買い戻されるとドルバーツもそれにともないバーツ高となる局面もあったが、米国のイラン制裁再開を受けてリスクセンチメントが悪化。中旬にはトルコリラの暴落が加わりリスクセンチメントが一層悪化し、ドルバーツは33.3台後半まで上昇となるも、直近高値の33.5台前半までは届かず。しかし、下旬にトランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ批判をしたことでドル売りの流れとなりドルバーツは33割れに。タイ第2四半期GDPが+4.6%と事前予想を上回ったことや、ウィラタイ・タイ中銀総裁が利上げへの地ならし的な発言をしたことからバーツ買いが加速。その後PBOCが人民元の基準値設定方法の変更を発表したことやハト派的なパウエル議長講演に加えて米国とメキシコが貿易協定で合意に達したことによるリスクセンチメントの改善からドルバーツは一段と下落し32.5台に。月末にかけては、米中貿易摩擦への懸念が再度高まりドルバーツは32.7台まで戻して越月。
  2. (9月の展望) 今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)米利上げはほぼ決まりとの見方がコンセンサス。今回は政策金利の発表に加えて今後の利上げ見通しが示される。大きな変更はないと考えているが、FOMC議事録やパウエル議長講演がややハト派的であったことから注目される。ドルバーツ動向については、今月は米利上げを背景に一旦ドル高となるも、中長期的には堅調なタイ輸出を背景にバーツ高トレンドとの見方を維持。なお、先月はウィラタイ・タイ中銀総裁が利上げへの地ならし的な発言を繰り返しており、タイのインフレ動向にも注意が必要。

6.政治動向、その他

  1. プラユット首相は8月21日、総選挙の日時として2019年2月24日を記者団に対して述べた。もっとも、可能ならばと前置きし、状況によっては改めて協議する旨を付言するなど延長の含みも残している。また、ウィサヌ副首相(法務担当)も選挙管理委員会と会合を実施、2019年2月24日から5月5日の間に総選挙を実施する意向である旨が報じられている。選挙日程が具体的に協議される中、政治活動の解禁も焦点となっている。
  2. 財務省は、土地建物税の法案の施行が予定されていた2019年1月1日から遅れるとの見通しを示している。土地建物税の法案は、国家立法議会にて審議を行っているが、度重なる審議の延長により施行の見通しが立っていない。2017年3月の第1読会を通過して以来、審議の延期が8回続いている。また、財務省原案から税率の引下げおよび控除額の引上げなどの修正がなされている。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

詳細記事/統計データ

クリックしても開かない時は
右クリックから「対象をファイルに保存」
保存したファイルを Adobe Reader で開いて下さい。



 在京タイ王国大使館 /  タイ国投資委員会 /  タイ国政府観光庁 /  日タイ経済協力協会 /  海外技術者研修協会 /  盤谷日本人商工会議所 /  (社)日本貿易会 /