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タイ国経済概況(2018年10月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. 各機関がタイの2018年の経済成長率予測を引き上げている。アジア開発銀行(ADB)は9月26日、成長率予測を4.2%(7月時点)から4.5%へ引き上げ。商業会議所・工業連盟・銀行協会から構成される商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)は10月3日、成長率予測を4.3~4.8%(7月時点)から4.4~4.8%へと小幅引き上げ。世界銀行は10月4日、成長率予測を4.1%(6月時点)から4.5%へと引き上げている。
  2. タイ工業連盟(FTI)が9月19日に発表した8月の自動車生産台数は、前年同月比+2.2%の18.1万台。内訳は国内向けが同+9.1%の8.5万台、輸出向けが同▲3.3%の9.7万台。投資拡大や経済成長の後押しもあり、国内向けは16ヶ月連続でプラスを維持。輸出向けは主要な市場であるオーストラリアを含むオセアニアの減速の影響を受けてマイナスとなったものの、1~8月の累計は前年同期比+10.4%の142万台とプラスを維持した。FTIは7月に2018年の生産台数目標を200万台から208万台(国内向け98万台、輸出向け110万台)へと引き上げており、達成できる見方を示している。8月の国内販売台数は前年同月比+27.7%の8.7万台で、1~8月の累計は前年同期比+21.1%の65.8万台。輸出台数は前年同月比▲0.4%の10.3万台で、1~8月の累計は前年同期比+3.5%の75.5万台となった。
  3. FTIが9月19日に発表した8月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+3.0%の20.8万台。内訳は完成車(CBU)が同+1.8%の17.3万台、完全組み立て部品(CKD)が同+9.4%の3.6万台分。1~8月の累計は前年同期比+1.7%の172.7万台となった。8月の国内販売台数は前年同月比+6.1%の15.7万台で、1~8月の累計は前年同期比▲0.8%の122.6万台。自動二輪車の国内販売台数は全体的に伸び悩んでいるが、小型バイクの購買層である農家の所得は上向いており、また中高所得者層による大型バイク市場も成長が続いている。

2.投資動向

  1. 商務省貿易交渉局のオラモン局長は、包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP/通称TPP11)加盟に関する影響の分析作業が進んでおり、年内には完了する見通しを明らかにしている。2018年の8月から9月にかけて全国で公聴会を実施し、11月にはソンティラット商務相が委員長を務めるCPTPP作業委員会へ影響の分析および公聴会の結果を提出する見込み。ソムキット副首相は、7月18日の菅官房長官との会談においてCPTPP加盟への意欲を示しており、日本政府は支援を表明している。
  2. 9月11日の閣議にて、タイ高速度交通公社(MRTA)によるプーケットおよびチェンマイでの電車事業が原則認可となった。プーケットでは、まずはプーケット国際空港からチャロン交差点間(40km)を工期3年にて建設する計画。チェンマイでは、一部地下鉄を含む3路線(計35km)が計画されており、交通渋滞を避けるために各路線は順次着手され、工期は6年が見込まれている。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると2018年8月末時点の金融機関預金残高は19兆1,632億バーツ(前年同月比+4.8%)、貸金残高は17兆9,800億バーツ(同+5.9%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (9月の回顧) 9月のバーツ金利は、中長期ゾーンで金利上昇。タイ中銀の利上げ期待および米金利の上昇に影響を受けたことが主な背景。月初発表されたタイ消費者物価指数が1.62%と政策金利を上回って上昇をみせたが、バーツ金利は反応薄。金融政策に最も反応する中期ゾーンのみ小幅上昇。タイ中銀の利上げ期待はあるものの、米金利動向を睨みながらの展開を継続。中旬に開催されたタイ金融政策委員会(MPC)では政策金利は据え置かれたが、利上げ票は2票に増加。利上げに投じた委員からは、必要以上に低金利を続けることのリスク指摘と、金融安定リスクの抑制及び政策余地の確保が主張された。これを受けて中長期ゾーンが小幅上昇。下旬に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では予想通り利上げが決定されたが、先行きの利上げペースに加速感なく米金利が失速するとバーツ金利もそれにともない小幅下落。ウィラタイ・タイ中銀総裁は、インフレ懸念は高くないことから連続利上げは行わないと言及しており、バーツ金利の上昇が抑えられている。
  2. (10月の展望) 今月のバーツ金利は、内外の要因を睨みながらの展開継続。タイ中銀の利上げはタイミングの問題であり、中心的な見方は来年前半であるが、年内に前倒しの可能性も十分に考えられる。一方で、ウィラタイ・タイ中銀総裁が連続利上げはないと繰り返しているとおり、インフレリスクは高くない。そのため、外部要因次第ではあるもののバーツ金利の上昇は限定的になりそうだ。

5.為替動向

  1. (9月の回顧) 9月のドルバーツ相場は、通商問題への懸念や良好な米景気を受けて上昇する局面があるも、タイ中銀の早期利上げ期待で下落となった。月初は米中貿易戦争への懸念から32.7台後半でオープンするも、タイ消費者物価指数(CPI)が1.62%と政策金利を上回る水準に上昇したことを受けて利上げ期待が台頭し一旦下落。しかし、8月のトルコショック以降新興国リスクへの懸念が強まる中アルゼンチンのリスクが意識され、再びドルバーツは上昇。また、その後発表された米雇用統計で賃金の伸びが顕著となったことでドル買い圧力が高まったものの、ドルバーツは32.8台後半の上昇に留まった。中旬には米中通商協議再開の見通しとの報道でリスクセンチメントが改善すると、ドルバーツは32.5台前半まで大きく下落したが、良好な米経済指標、米中通商問題への懸念が再び高まりドルバーツは32.7台前半まで反発。19日のタイMPCでは、現状維持が決定されたが利上げに投じた委員が2名に増加。これを受けて利上げ期待が一層強まりドルバーツは32.3台前半まで下落。下旬には米公開市場委員会(FOMC)への警戒からドル買戻しとなったが、サプライズなく月末の輸出フローに押されて32.3台前半で越月。
  2. (10月の展望) 先月のタイMPCで利上げ票が2票に増えており、従来からの低金利を必要以上に続けるリスクの指摘に加えて政策余地の確保が主張されている。政策余地の確保に関しては、ウィラタイ・タイ中銀総裁も言及しており利上げのタイミングについて突っ込んだ議論がなされたものと思われる。マーケットでの中心的な見方は依然来年前半の利上げであるが、状況次第では年内の可能性があることに注意が必要。通商問題に関しては中長期的にリスクではあるものの、マーケットの注目はより経済動向に移っており、タイ利上げ期待からドルバーツは下押しされやすくなるものと考える。

6.政治動向、その他

  1. 9月12日に下院選挙法および上院選任法が告示され、上院選任法は翌日に施行、下院選挙法は告示90日後の12月に施行される。全ての選挙関連法施行後150日以内の選挙実施が憲法で規定されているため、2019年5月までには選挙が実施される見込みであり、早ければ2019年2月24日にも実施される。政党役員を選出する集会など政治活動の一部が解禁され、民政移管へ向けて準備が進んでおり、政治活動の全面解禁の時期が注目される。
  2. 日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所が9月13日に発表した「2018年度タイ国日本食レストラン店舗数調査」によれば、タイ国内の日本食レストラン店舗数は3,004店と、前年度調査の2,774店から8.3%増加した。内訳は新規出店が891店で、閉店が661店。バンコクは閉店数(465店)が新規出店数(444店)を上回り、2年連続で店舗数は減少した一方、地方では新規出店数(447店)が閉店数(196店)を大きく上回った。競争の激しいバンコクに対し、ショッピングモール等の新規開店が続く地方においては店舗数の伸びが継続している。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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