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タイ国経済概況(2018年11月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. 各機関がタイの2018年の経済成長率予測を引き上げている。アジア開発銀行(ADB)は9月26日、成長率予測を4.2%(7月時点)から4.5%へ引き上げ。商業会議所・工業連盟・銀行協会から構成される商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)は10月3日、成長率予測を4.3~4.8%(7月時点)から4.4~4.8%へと小幅引き上げ。世界銀行は10月4日、成長率予測を4.1%(6月時点)から4.5%へと引き上げている。
  2. タイ中央銀行が10月31日に発表した9月の経済報告書によれば、タイ経済は前月から伸びが鈍化。個人消費が拡大した一方で、輸出は減少となった。9月の民間消費指数は前年同月比+4.4%で、非耐久消費財を除き拡大。輸出額は同▲5.5%で、オーストラリア向け自動車輸出の伸び悩みと、日本、フィリピン、香港で起きた自然災害による影響を受けた。外国人旅行者数は同+2.1%とほぼ横ばい。中国やロシアからの旅行者数の減少を、マレーシアをはじめとするASEANからの旅行者数増加が相殺したかたちとなった。
  3. タイ工業連盟(FTI)が10月18日に発表した9月の自動車生産台数は、前年同月比▲3.7%の18.3万台で、15ヵ月ぶりに前年同月を下回った。内訳は国内向けが同+11.0%の8.4万台、輸出向けが同▲13.4%の9.9万台。1~9月の累計生産台数は前年同期比+8.6%の160.4万台となった。FTIは国内向けの好調な推移を受け、2018年の生産台数目標208万台は達成の見込みを示している。また、同月の国内販売台数は前年同月比+14.3%の8.9万台で、輸出台数は同▲13.7%の10.4万台となった。1~9月の累計輸出台数は前年同期比+1.0%の85.9万台となっている。
  4. FTIが10月18日に発表した9月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+0.3%の20.2万台で、4ヵ月連続でプラスを維持した。内訳は完成車(CBU)が同▲3.8%の16.6万台、完全組み立て部品(CKD)が同+24.8%の3.6万台分。1~9月の累計生産台数は、前年同期比+1.6%の192.9万台となった。同月の国内販売台数は前年同月比+9.7%の14.1万台で、1~9月の累計販売台数は、前年同期比▲1.7%の136.6万台。国内市場は中高所得者層による大型バイクの伸びが順調で、各メーカーは新型モデルの発表やショールームを増設する傾向にある。

2.投資動向

  1. 世界190の国と地域を対象に、事業設立・資金調達・契約執行などの10項目を評価、順位付けする「ビジネス環境調査」の2019年版報告書において、タイは27位にランクインした。前年の26位からはランクを落としたものの、総合点では上昇しており、特に「電力供給」をはじめ「納税」、「貿易」などの項目で点数が改善した。10項目中、最も評価が低かったのは「建築認可の取得」であった。
  2. 10月30日、タイ政府はEEC(Eastern Economic Corridor/東部経済回廊)の主要インフラ整備5事業中、ウタパオ空港、レムチャバン港、マプタプット港に関わる4事業を閣議承認した。事業費総額は約4,300億バーツで、官民連携(PPP)方式にて進められる。いずれも11月上旬に入札が告知される見込み。残る1事業であるウタパオ、スワンナプーム、ドンムアンの3空港を連結させる高速鉄道建設に関しては、11月12日にタイ国鉄が入札書類の申請を受け付ける。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると、2018年9月末時点の金融機関預金残高は19兆1,741億バーツ(前年同月比+5.0%)、貸金残高は18兆992億バーツ(同+6.0%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (10月の回顧) 10月のバーツ金利は全ゾーンで金利上昇となったが、中短期ゾーンの金利上昇幅が大きく、金利差は縮小。上旬、米国債10年物利回りが3.2%を超えて上昇したことを受け、バーツ金利も長期ゾーンを中心に上昇。その後、欧州政局、世界的な株安でリスク回避姿勢が強まり米金利が反落すると、長期ゾーンのバーツ金利も連れて下落。一方の中短期ゾーンは、タイ中銀の利上げへの期待から下げ渋った。中旬に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録がタカ派的に捉えられ米金利が上昇すると、バーツ金利も反転上昇。再び世界的に株安となるとバーツ金利は下落。その後は、株を眺めながらあまり方向感なく推移。10月はリスク材料が多かったが、外国人投資家の国債投資は堅調。特に中長期ゾーンへの資金流入が見られたことが、長期ゾーンのバーツ金利の上値を押さえたものと推察される。
  2. (11月の展望) 今月のバーツ金利は、内外の要因を睨みながらの展開継続。タイ中銀の利上げについては、米中貿易摩擦、欧州政治リスク等外部環境の不透明感が依然払しょくされておらず、また国内インフレは依然低位での推移になっているが、タイミング次第での利上げとの路線は変わらずと見ている。ただし、低インフレを背景に連続利上げとはならず、極めてゆっくりとしたペースに留まるであろう。中期ゾーンには金利上昇圧力がかかりやすい状況は継続。

5.為替動向

  1. (10月の回顧) 10月のドルバーツ相場は、リスク回避姿勢が強まり大幅に上昇。月初ドルバーツは32.2台でオープン。原油価格の上昇に加えて米長期金利の上昇でアジア通貨全般に売られたが、バーツへの売り圧力は比較的穏やかなものに留まった。その後、欧州政局懸念の高まりや、米金利上昇を嫌気した米株の急落を契機とした世界的な株安で、投資家心理が悪化したことでバーツ売りが加速しドルバーツは一時33台を回復。中旬に、ムニューシン米財務長官が通貨安誘導を封じる為替条項を日本に求める考えを示したことでドル安となり、ドルバーツも一旦反落。その後発表された、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録がタカ派的に捉えれたことや地政学リスク、欧州政治リスクへの懸念が高まり再びドルが買われドルバーツも反発。そういった中、再び世界的な株安となりリスク回避姿勢が高まった。下旬に発表されたタイ9月貿易統計では3ヵ月ぶりに貿易黒字となるも、輸出がマイナス成長となったことも意識され、バーツ売りが加速。ドルバーツは再び33台を突破し、一時33.3台まで上昇。月末に発表された9月タイ経常収支が事前予想を大幅に上回る黒字となったことを受けてバーツが買い戻され、ドルバーツは33.1台半ばで越月。
  2. (11月の展望) 先月はリスクオフ材料が多く台頭したことで、ドルバーツは大きく上昇となった。今月も初旬に米中間選挙があるほか、米中首脳会談、イタリアの予算問題提出期限と警戒すべきイベントは多いが、タイ中銀の利上げ期待は継続。リスクオフとなった場合でも、バーツは経常黒字を背景にリスク耐性が高いためドルバーツの上値は限定的と考える。

6.政治動向、その他

  1. 10月29日、タイ財務省は2018年の経済成長率について、前年比+4.3~4.7%となる予測を発表した。国内消費が順調であることに加え、2019年2月に予定されている総選挙に関連する支出が経済効果をもたらすとの見込み。
  2. 包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP/通称TPP11)が年内に発効となることが確定した。参加国である11ヵ国中、メキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアの6ヵ国が10月31日に手続きを完了したことで発効条件が整った。手続き完了から60日後となる12月30日より発効の見通しで、域内の農産品や工業製品の関税は段階的に引き下げられる。TPPには英国やコロンビアも参加に関心を示しており、タイも年内には加盟による影響分析作業を終える見込み。今後さらに自由貿易圏が広がれば、保護主義的な米国のけん制材料になり得る。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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