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タイ国経済概況(2018年12月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ中央銀行が11月30日に発表した10月の経済報告書によれば、タイ経済は前月から拡大。個人消費と輸出の増加がけん引材料となった。民間消費指数、民間投資指数、輸入などは増加したものの、外国人旅行者数は減少。2018年通年の経済成長率につき、タイ中央銀行は従来予測の+4.4%の達成は難しいとしてる。また、国家経済社会開発委員会も2018年の経済成長率を従来予測の+4.5%から+4.2%に下方修正。タイ政府は景気刺激策を打ち出すなど、+4%を死守したい考え。
  2. タイ工業連盟(FTI)が11月20日に発表した10月の自動車生産台数は、前年同月比+20.6%の19.7万台で、月間の生産台数として2013年以来の高水準を記録。内訳は国内向けが同+36.3%の10.0万台、輸出向けが同+7.9%の9.7万台でともに増加。1~10月の累計生産台数は前年同期比+9.8%の180.1万台となり、FTIは同日、2018年の生産台数目標を従来の208万台から210万台に上方修正した。年間生産台数が200万台に到達するのは2013年以来となる。また、同月の国内販売台数は前年同月比+26.8%の8.7万台で、FTIは2018年の国内販売台数も98万台から100万台に引き上げた。同月の輸出台数は同+2.8%の9.3万台で、1~10月の累計輸出台数は前年同期比+1.2%の95.2万台となっている。
  3. FTIが11月20日に発表した10月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+2.8%の20.1万台で、5ヵ月連続でプラスを維持した。内訳は完成車(CBU)が同+1.9%の16.7万台、完全組み立て部品(CKD)が同+7.3%の3.4万台分。1~10月の累計生産台数は、前年同期比+1.7%の213.0万台となった。同月の国内販売台数は前年同月比+2.7%の13.9万台で、1~10月の累計販売台数は前年同期比▲1.4%の150.5万台。同月の輸出台数は前年同月比+0.1%の6.2万台、1~10月の累計輸出台数は前年同期比+3.3%の70.6万台となった。

2.投資動向

  1. EEC(Eastern Economic Corridor/東部経済回廊)の主要インフラ整備事業のひとつ、ウタパオ、スワンナプーム、ドンムアンの3空港を連結させる高速鉄道建設プロジェクト入札が11月12日に実施され、バンコク高架鉄道システム(BTS)主導のBSRと、地場大手財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループ主導の2つのコンソーシアムが応札。同月19日には入札を実施したタイ国鉄が、両者とも資格審査を通過したことを発表した。
  2. タイ投資委員会(BOI)は11月20日、重点産業への投資促進剤として新たな奨励策が承認されたことを発表した。11月19日から2019年末までの申請で、投資額(土地代と運転資金を除く)10億バーツ以上、バンコク以外に事業所を構える事業者に、既存恩典である5~8年間の法人税免除に加えて3年間の法人税50%減税などの恩典が付与される。同日にはこのほかにも、タイ証券取引所(SET)に上場するBOI企業への免税恩典付与、外国人未熟練労働者の雇用要件緩和などが承認された。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると、2018年10月末時点の金融機関預金残高は19兆4,339億バーツ(前年同月比+5.0%)、貸金残高は18兆1,873億バーツ(同+6.3%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (11月の回顧) 11月のバーツ金利は短期ゾーンがほぼ横ばいとなった一方、米金利との連動性が高い中長期ゾーンは米金利の低下にともない下落となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ継続方針が確認されたことで、米金利上昇となりバーツ金利も小幅に上昇する局面があったが、その後、米連邦準備制度理事会(FRB)の高官複数名が利上げに対してハト派な発言をしたことで米金利が反落するとバーツ金利もそれにともない下落。タイ中央銀行の年内利上げはコンセンサスながら連続利上げはなく極めて緩やかなペースでの利上げに留まるとの見方であることも、短期金利は横ばい推移となった一方で中長期金利の上値が押さえられた要因と推察される。外国人投資家によるタイ国債の保有残高は、1年以内は利上げを警戒してか減少となった一方で、1年超は増加し、トータルでも増加。
  2. (12月の展望) タイ中央銀行による今月の利上げはほぼコンセンサスで概ね織り込み済み。先行きについて連続利上げは想定されていないが、こちらもコンセンサス。米金利に関して今月の利上げは見込まれるが、既に価格に織り込まれている。一方で先行きについては早期利上げ停止論が台頭していることが重石となっている。今月のバーツ金利は中長期ゾーンを中心に、米金利動向を中心とした外部要因に振らされる展開が予想される。

5.為替動向

  1. (11月の回顧) 11月のドルバーツ相場は、イベントが多かった割には狭いレンジ内での値動きに留まったが、結果的には小幅下落となった。月初ドルバーツは33.1台前半でオープン。グローバル株安が止まったことや、予想を上回ったタイ経常収支を好感した前月末の流れが継続しバーツ買いに。6日投開票された米中間選挙で事前予想通り上院は共和党、下院は民主党が過半数を得たことで、ねじれ議会への懸念で一時ドルバーツは32.7台後半まで下落。直後に開催された米FOMCでは利上げ継続スタンスが示されたことで、アジア株が下落。リスク回避姿勢が強まったことでドルバーツは一時33.1台後半まで上昇。14日に開催されたタイ中央銀行金融政策委員会(MPC)では政策金利は据え置かれたが、利上げ票は3票に増加。元々マーケットでは年内利上げがコンセンサスとなっていたことから反応は限定的であった。月中旬、複数のFRB高官が米利上げに対してハト派的な見解を示した。途中、タイ第3四半期GDPが予想を大きく下回ったことでドルバーツが上昇する局面あるも、上記を背景にドルバーツは上値重く推移。下旬、月末に開催のG20および米中首脳会談への警戒が下値を支えたことで相場はこう着となったが、パウエルFRB議長講演がハト派的に捉えられドルバーツは再び下落し、32.8台後半でクローズ。
  2. (12月の展望) 今月初めに公表されたタイ11月消費者物価指数(CPI)は0.94%とタイ中央銀行のインフレターゲットのレンジ(1~4%)をわずかながら下回る結果となったが、マーケットの年内利上げ期待は変わらず。それ以上に不必要な低金利の継続による将来の不確実性が高まることや、政策余地の確保が優先されるとの見方となっている。また、同日開催される米FOMCでも利上げが見込まれる。米、タイともに利上げすることで一義的には為替への影響は相殺されるが、米利上げの先行き期待の剥落からバーツ高になりやすい地合いになるものと考える。一方で、米中通商摩擦、欧州政治問題等のリスク要因には注意を要する。

6.政治動向、その他

  1. スイスのビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)が発表した2018年版の「世界人材ランキング」において、タイは63ヵ国・地域中42位であった。トップはスイスで、デンマーク、ノルウェー、オーストリアなど欧州各国が続いた。アジアのトップは13位のシンガポールで、日本は29位であった。格付けの基準は各国の教育、言語力、報酬などを含む人材育成への投資度、魅力度、準備度の3つ。
  2. 三井住友銀行バンコック支店、およびSBCSカンパニーリミテッドは11月29日・30日の二日間、南部経済回廊とカンボジアの視察ツアーを開催。在タイ日系企業を中心に約10名が参加し、現地における事業機会と投資の可能性を探った。一行はバンコクから陸路でカンボジア国境を越え、インフラ整備が進むポイペト(バンテイメンチェイ州)を見学。翌日には首都プノンペンへ飛び、経済特区(SEZ)や現地進出企業、同行が出資提携するアクレダ銀行などを訪問した。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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