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タイ国経済概況(2019年1月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ中央銀行が12月28日に発表した11月の経済報告書によれば、タイ経済はやや伸びが鈍化したものの引き続き底堅く拡大している。個人消費指数が前年同月比+4.4%、民間投資指数は同+3.1%と堅調に推移。輸出は米中貿易摩擦の影響もあり、電子製品、天然ゴムの中国向け輸出が減少したことを受け、同+0.2%と横ばいとなった。外国人旅行者数は同+4.5%とプラスに回復。中国人旅行者は減少したものの、マレーシアをはじめとするASEAN諸国からの旅行者数が大きく増加したことが寄与した。
  2. タイ工業連盟(FTI)が12月19日に発表した11月の自動車生産台数は、前年同月比+3.5%の19.7万台で、2ヵ月連続でプラスとなった。内訳は国内向けが同+19.7%の10.2万台、輸出向けが同▲9.5%の9.6万台。1~11月の累計生産台数は前年同期比+9.1%の199.8万台、通年の生産台数が200万台を超えるのは2013年以来となる。また同月の国内販売台数は前年同月比+21.2%の9.5万台で、1~11月の累計国内販売台数は前年同期比+21.0%の92.8万台。同月の輸出台数は同▲9.6%の9.3万台で、1~11月の累計輸出台数は前年同期比+0.1%の104.5万台となった。
  3. FTIが12月19日に発表した11月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+1.4%の24.4万台で、6ヵ月連続でプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同▲1.4%の19.0万台、完全組み立て部品(CKD)が同+12.7%の5.4万台分。1~11月の累計生産台数は前年同期比+1.6%の237.4万台となった。また同月の国内販売台数は前年同月比▲4.9%の14.6万台で、1~11月の累計販売台数は前年同期比▲1.7%の165.1万台。同月の輸出台数は前年同月比+5.4%の8.6万台、1~11月の累計輸出台数は前年同期比+3.5%の79.3万台となった。

2.投資動向

  1. タイ投資委員会(BOI)は、2018年12月11日付布告にて、国際ビジネスセンター(IBC)の導入を発表。同日より国際地域統括本部(IHQ)ならびに国際貿易センター(ITC)の新規申請は廃止となった。同年10月10日に歳入局はIBCの税務恩典および税務恩典取得条件を発表しており、本件BOI発表にて、IBCの投資奨励ライセンスの取得要件ならびに税務恩典の内容・取得条件が出揃った。
  2. 米国を除く11ヵ国による、包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP/通称TPP11)が12月30日、批准国である日本、シンガポール、メキシコ、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアの6ヵ国で発効した。1月14日よりベトナムでも発効となる予定。タイ政府もCPTPPへの加盟に向けて準備を進めている。また一方、タイは2019年のASEAN議長国であり、まずは交渉中の東アジア地域包括的経済協定(RCEP)の2019年内妥結を優先する意向も見受けられる。

3.金融動向

    タイ中央銀行の発表によると、2018年11月末時点の金融機関預金残高は19兆4,959億バーツ(前年同月比+4.7%)、貸金残高は18兆3,047億バーツ(同+6.2%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (12月の回顧) 12月のバーツ金利はタイ中央銀行の利上げを受けて短期金利が上昇した一方、中長期金利は米金利の低下にともない大幅に低下。月前半は米中通商問題、欧州政治の先行き懸念、米国の早期利上げ停止論の台頭などで上下しつつも長期金利を中心に金利低下が進んだ。19日のタイ中央銀行金融政策会議(MPC)、米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、トランプ米大統領が利上げ牽制発言を繰り返したことで一段と金利低下圧力がかかった。19日には両国とも利上げを決定。これを受けてバーツ短期金利は上昇となったが、中長期金利は低下。タイMPC後の会見で「次の金融政策は不透明」とデータ次第ながら連続利上げは暗に否定されたことを受けたもの。2019年の米利上げ見通しの中央値が9月米FOMC時点の3回から2回に引き下がったが、マーケットでは想定よりもタカ派的と捉えられグローバルで株が下落、金利が低下した。バーツ長期金利もこの流れを受けて金利低下となった。その後は米暫定予算が成立しないまま議会休会となり、米政府機関の一部閉鎖となった。これを受けて米金利は一段と低下、バーツ金利もそれにともない低下。タイ10年物国債金利は月初は2.72%台であったが、月末には2.51%台まで、5年物国債金利は2.33%台から2.16%台に低下した。
  2. (1月の展望) 足元、米中の経済指標が軟調であったことから世界景気の先行き懸念が強まり、金利低下地合いとなっている。しかし、その反応はやや過剰と思われ、今後は経済指標を点検していく時間帯になるものと考える。一方で、米中の次官級の通商協議が予定されているほか、米暫定予算の行方等の政治リスクでマーケットセンチメントが振らされる可能性にも注意が必要。

5.為替動向

  1. (12月の回顧) 12月のドルバーツ相場は、月前半はレンジ内での推移となったが後半には下落。早期の米利上げ停止観測がドルバーツの上値を押さえた一方で、米中関係の緊張が高まったことや英国のBREXIT、フランスのデモ等欧州政治への懸念が下支えしたことで、32.7台~32.8台のレンジ内で推移。中旬には、米中通商協議進展への期待が高まり一旦はマーケットセンチメントが改善しドルバーツも32.6台に下落。しかし、中国経済指標が軒並み振るわず、同国経済減速懸念が強まり、ドルバーツは再び32.8台を回復。その後はトランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)に対して利上げ牽制発言を繰り返したこともあり、ドルバーツも上値重く推移。19日、まずタイ中央銀行が利上げを決定したが、予想通りであったことからドルバーツへ相場への影響はほぼ見られなかった。同日夜間に米FRBも利上げを決定。その際に発表された2019年の政策金利見通しの中央値が2回の利上げと想定よりもハト派的でなかったことで、ドルバーツも小幅に反転上昇。クリスマス、年末でマーケットが薄くなる中、米暫定予算が成立せず同国政府機関の一部閉鎖となったことで、ドルバーツは下押しされ一時32.3台後半をつける局面も。その後ドルバーツは、休暇前のポジション調整などもあり反発して32.5台後半でクローズ。
  2. (1月の展望) 年末に発表された中国の経済指標が軟調であり、同国経済減速懸念が強まり、さらに米経済指標も振るわなかったことで、一部で米国での利下げが織り込まれ出したことでドルバーツも年始早々大幅に下落しているがやや過剰反応と考える。今月は次官級の米中通商協議が予定されているほか、米暫定予算の動向等の政治リスクにも注意は必要ではあるが、世界景気、特に米中の経済動向を確認する時間帯になると思われ、経済指標、金融当局者の発言に振らされる展開が予想される。

6.政治動向、その他

  1. 王室事務局は1月1日、ワチラロンコン国王の戴冠式を5月4~6日にかけての3日間で執り行うことを発表。ワチラロンコン国王は2016年10月13日のプミポン前国王崩御を受けて同年12月1日に即位したが、戴冠式は行われていなかった。またこれにともない、投票結果の開示が戴冠式の関連行事期間に重なることを避けるため、2月24日に予定されている総選挙が延期される可能性が出てきている。 商務省は1月2日、2018年通年の消費者物価指数(CPI)を前年比+1.07%、コアCPI(生鮮食品とエネルギーを除いたもの)を同+0.71%と発表。CPIをカテゴリー別にみると、飲食料(+0.40%)、非飲食料(+1.44%)ともに上昇。なかでも燃料の上昇率(+6.85%)が目立った。2018年12月単月のCPI上昇率は前年同月比+0.36%、前年同月比プラスが18ヵ月続いている。また、商務省は2019年のCPI上昇率を1.2%(0.7~1.7%)と予測している。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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