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タイ国経済概況(2019年2月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. 財務省は1月23日、2018年のタイ経済成長率が4.1~4.2%となる見込みを発表。目標値であった4.5%成長を達成できなかった要因として、2018年の輸出額が目標の前年比+8%に届かず同+6.7%に留まったこと等を挙げている。1月31日に発表されたタイ中銀報告によれば、12月の輸出は前年同月比▲1.6%となったものの、民間消費指数は同+3.5%、外国人観光客数は同+7.7%となった。2018年後半より個人消費が底堅く推移しており、また12月にはプーケット沖沈没事故(2018年7月)以来初めて中国人旅行者数が前年同月比プラスに転じている。
  2. タイ工業連盟(FTI)が1月23日に発表した2018年の自動車生産台数は、前年比+9.0%の216.8万台で、5年ぶりに200万台超えを記録した。内訳は国内向けが同+18.9%の102.5万台、輸出向けが同+1.5%の114.3万台。また、2018年の国内販売台数は同+19.2%の103.9万台、輸出台数は同+0.1%の114.6万台と3年ぶりにプラスへ回復。FTIは2019年の生産台数について、同▲0.8%の215万台と予測。国内向けは引き続きプラス推移するものの、輸出向けは米中貿易摩擦の影響などでマイナスとなる見通しを示した。
  3. FTIが1月23日に発表した2018年の自動二輪車生産台数は、前年比+1.7%の257.8万台で、2017年に引き続き250万台を突破。3年連続でプラス成長となった。内訳は完成車(CBU)が同+0.4%の206.3万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+7.2%の51.5万台分。また2018年の輸出台数は同+4.4%の88.6万台で、国内販売台数は同▲1.2%の178.8万台であった。FTIは2019年のCBU生産台数について同+3.7%の214万台、うち輸出向けが同▲3.0%の36万台、国内向けが+5.2%の178万台と予測している。

2.投資動向

  1. タイ投資委員会(BOI)は1月9日、2018年の投資申請統計を発表。新規申請額が前年比+43%の9,018億バーツと、目標額の7,200億バーツを大きく上回った。申請件数も同+3%の1,626件とプラスを記録。投資エリア別では東部経済回廊(EEC)地区が申請総額の76%を占め、産業別ではタイ政府が誘致を強化している10の重点産業が申請総額の84%を占めた。BOIは2019年の目標投資申請額について、7,500億バーツに設定している。
  2. 財務省公的債務管理局は、2018年12月末時点の公的債務残高が前月比248億9,230万バーツ増の6兆8,336億バーツで、対GDP比率は41.8%であったと発表した。内訳は、政府が5兆5,513億バーツ、政府系企業(非金融機関)が9,378億バーツ、政府系金融機関の債務保証が3,366億バーツで、その他政府系機関が79億バーツであった。現在、公的債務の上限は対GDP比60%と定められている。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると、2018年12月末時点の金融機関預金残高は19兆6,887億バーツ(前年同月比+4.6%)、貸金残高は18兆4,922億バーツ(同+5.5%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (1月の回顧) 1月のバーツ金利は、前月のタイ中央銀行の利上げ以降の流れから短期金利が上昇した一方、中長期金利は低下。中国景気減速懸念や米政治リスクから年初のバーツ金利は長期金利が大幅に低下となった一方で、短期金利はほぼ横ばいで推移。12月タイ中銀金融政策委員会(MPC)議事録で今後の利上げは「緩やかに進めていく」との文言があったが、同時に「連続利上げはない」とも記載されており、影響は限定的であった。米中貿易協議への期待で米金利が上昇するとバーツ金利も長期金利を中心に上昇。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)高官からハト派発言が相次いだことや、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録がハト派な内容で米金利が反落となるとバーツ金利も下落。下旬にはタイ貿易統計が不振であったことや、月末付近に開催された米FOMCが想定以上にハト派な内容であったことを受けてバーツ金利も小幅ながら下落。タイ10年物国債金利は前月末は2.51%台であったが、1月末には2.43%台に、5年物国債金利は2.16%台から2.10%台にそれぞれ低下。1月はリスク回避姿勢が強まる局面もあったが、海外投資家からは中長期ゾーンに資金流入が継続的に見られた。
  2. (2月の展望) 米国の金融政策スタンスが想定以上にハト化しており米金利の上値が重い展開が予想される中、バーツ金利も長期金利を中心に上昇しづらいものと考える。また、タイ中央銀行の政策スタンスについて、インフレが低水準に留まっていることや外部環境が不透明な中では当面現状維持が見込まれることもバーツ金利の重石になるものと考える。

5.為替動向

  1. (1月の回顧) 1月のドルバーツ相場は、バーツ高が大きく進行。米国の金融政策スタンスがハト化したことを主な要因として、ドルバーツは32.4台前半から31.1台後半まで大幅下落。昨年末に発表された中国経済指標が下振れしたことによる中国景気減速懸念の高まりや、米政府閉鎖継続と波乱の新年を迎えた。新年早々、ドルバーツは米金利低下で上値重く推移する中で公表されたMPC議事録に「今後の利上げは緩やかに進めていく」との方針が示されていたことを手掛かりに、ドルバーツは32.2台まで下落。中旬にかけて、パウエル米FRB議長をはじめ複数の高官からハト派発言が出たことや、12月米FOMC議事録がハト派な内容であったことでドル売りが加速し、ドルバーツは31台に下落。下旬に発表されたタイ貿易統計で、輸出が2ヵ月連続でマイナス成長となったことでドルバーツも一時買い戻されたが上値は限定的であった。29日と30日に開催された米FOMCで利上げを示唆する文言が削除されたほか、バランスシート縮小停止への期待などでドルバーツは一時31.1台後半まで一段と下落となった。
  2. (2月の展望) 先月の米FOMCでのハト派なスタンスを受け、当面は上値の重い時間帯となりやすい。足元はタイの潤沢な経常収支、外貨準備高を背景にリスク回避局面でもバーツは売られにくい展開となるものと考えるが、今後の米金融政策はデータ次第でもあるため、米国および主要国経済データおよび米中通商問題、英国BREXIT等の政治リスクにも注意が必要。

6.政治動向、その他

  1. 1月23日、総選挙実施の勅令が発布された。同日、選挙管理委員会は、総選挙を3月24日に実施すると発表。同委員会は各政党より、小選挙区(350議席)と比例代表(150議席)の候補者、そして最多3人の首相候補者を2月4日から8日にかけて受け付けた。前回の総選挙が実施されたのは2011年、前々回は2007年であり、無効になった2014年の選挙を除けばタイにとって8年ぶりの総選挙となる。
  2. 観光・スポーツ省は1月28日、2018年の外国人旅行者数が前年比+7.5%の3,828万人であったと発表した。国・地域別では中国からの旅行者が1,054万人(同+7.4%)でトップ。410万人が来訪したマレーシアが2位で、伸び率は前年比+17.3%と主要国では最高であった。次いで、韓国(180万人、同+5.1%)、ラオス(175万人、同+4.1%)、日本(166万人、同+7.2%)、インド(160万人、同+12.8%)と続いた。同省は2019年の外国人旅行者数を4,110万人(同+7.5%)、観光収入を2.21兆バーツ(同+10%)と予想している。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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