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タイ国経済概況(2019年4月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ中央銀行が3月29日に発表した2月の経済報告書によれば、タイ経済は前月からやや減速気味ながら引き続き成長。民間消費指数は前年同月比+4.3%とプラス。一方、民間投資指数は同▲0.6%で、資本財の輸入が同▲5.5%、設備稼働率が前月の70.5%を下回る69.0%となった。また輸出は世界市場における需要減退の影響を受け同▲1.7%、輸入も同▲7.3%とともに減少。外国人旅行者数は同+0.2%とほぼ横ばい。中国人旅行者は減少したものの、マレーシア、韓国、日本等、その他主要国からの旅行者数は増加している。
  2. タイ工業連盟(FTI)が3月21日に発表した2月の自動車生産台数は、前年同月比+2.7%の18.3万台で、5ヵ月連続でプラス成長を記録した。内訳は、国内向けが同+5.9%の8.4万台、輸出向けが同+0.1%の9.9万台。1~2月の累計生産台数は、前年同期比+5.3%の36.3万台となった。また、2月の国内販売台数は前年同月比+9.1%の8.2万台で、1~2月の累計販売台数は前年同期比+12.9%の16.0万台と、高水準を維持している。2月の輸出台数は前年同月比▲1.6%の10.1万台で、マイナスは4ヵ月連続。アジア、中東向けは増加したが、主要な輸出先であるオセアニア向けが減少している。
  3. FTIが3月21日に発表した2月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲6.0%の21.8万台で、2ヵ月連続のマイナス。内訳は完成車(CBU)が同▲11.6%の16.2万台であった一方、完全組み立て部品(CKD)は同+14.9%の5.6万台分であった。1~2月の累計生産台数は、前年同期比▲5.9%の43.6万台。また、2月の国内販売台数は前年同月比▲0.1%の14.5万台、輸出台数は同+12.7%の9.6万台であった。

2.投資動向

  1. 3月24日に実施された総選挙に際して、主要政党含む複数の政党が最低賃金の引き上げを公約のひとつとして掲げた。1日あたりの最低賃金は地域によって異なり、現在は308~330バーツであるが、タクシン派政党のタイ貢献党が400バーツ、親軍政派政党の国民国家の力党が400~425バーツ、民主党が400バーツを掲げている。それに対して、FTI等財界からは、急激な賃金上昇によるコスト増を懸念する声が上がっている。
  2. 4月1日、タイ国鉄(SRT)がバンコクのバンスー駅、商業開発ゾーンAの入札公告を行った。5月7日まで入札図書を50万バーツで販売する。運営期間は30年。バンスー駅は、ファランポーン駅に代わる新中央駅として地下1階、地上3階建てで建設中で、2021年の開業を予定している。同年開通見込みのレッドラインのほか、在来線と、高速鉄道のプラットホームが設置される予定。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると、2019年2月末時点の金融機関預金残高は19兆8,991億バーツ(前年同月比+4.8%)、貸金残高は18兆5,136億バーツ(同+5.4%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (3月の回顧) 3月のバーツ金利はハト派的であったタイ中銀金融政策委員会(MPC)、米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて低下。月初のバーツ金利は、良好であった米GDPを受けて米金利が上昇したことにともない上昇。7日にタイ憲法裁判所がタイ国家維持党の解党命令を発令したことに対しては目立った反応は見られず。その後もあまり方向感なく推移していたが20日のタイ中銀MPCで全会一致で現状維持が決定され、また景気見通しも下方修正されたことから金利低下。同日夜間の米FOMCもハト派的な内容であったことで米金利が低下、バーツ金利も一段と低下となった。そこに、ニュージーランド準備銀行が利下げ示唆、欧州中央銀行(ECB)が緩和策強化を検討との報道で世界的に中銀のスタンスがハト派化するとの見方がバーツ金利の重石となり、タイ10年物国債金利は2.46%台、同5年物国債金利は2.07%台まで金利低下。タイ中銀高官が利上げの門は閉ざしていないと発言したことを受けてバーツ金利も反発し、タイ10年物国債金利は2.49%台、同5年物国債金利は2.10%台でクローズとなったが、前月末比では金利低下となった。
  2. (4月の展望) 中長期金利に関しては米金利動向に振らされる展開が継続となるであろう。また、タイ政治状況を受けての海外投資家のタイ国債市場からの資金流出は、足元極めて限定的で大きな影響は見られないが注視の必要がある。

5.為替動向

  1. (3月の回顧) 3月のドルバーツ相場は31台後半のレンジ内を上下。月初ドルバーツは31.5台後半でオープンし、前日夜間の米GDPの結果を受けて上昇継続。7日、タイ憲法裁判所よりウボンラット王女の首相候補への擁立を画策したタクシン派のタイ国家維持党に対して解党命令が出され、ドルバーツは一時31.9台後半まで上昇。その後は、米中通商協議進展への期待や中国の経済支援策の計画を受けてリスク選好が戻りドルバーツは下落。しかし中旬には中国経済指標が予想を下回り、約17年ぶりの低い水準に留まったことを受けてドルバーツは再び上昇に転じたが、タイ中銀MPC、米FOMCといったイベントを控えて徐々に値を戻す展開に。20日のタイ中銀MPCでは全会一致で現状維持が決定。前回までは2名の委員が利上げ票を投じており、また今年の経済成長率見通しも下方修正とハト派であったことからドルバーツは上昇。しかし、同日夜間に開催された米FOMCも想定以上にハト派な内容であったことからドルバーツは反落しタイ中銀MPC前の水準に。25日、タイ選管より暫定結果が発表されるとドルバーツは一旦31.5台前半まで下落したが、親軍政派とタクシン派のいずれも単独過半数には到達せず、連立次第でねじれ議会となり得ることへの懸念からドルバーツは再び上昇。そういった中、ニュージーランド準備銀行が利下げ示唆をしたことやECBが緩和策強化を検討との報道で、世界的に中銀のスタンスがハト派化しタイ中銀に対しての緩和期待も高まったことで、ドルバーツは再び31.9台まで上昇。タイ中銀高官が利上げの門は閉ざしていないとの発言をしたことで、タイ中銀への過度な緩和期待が後退したこともありドルバーツは31.7台前半まで下落してクローズ。
  2. (4月の展望) タイ政治状況に関する憶測に振らされるリスクには要警戒ながら、世界景気動向、特に米中の動向が注目される。米中通商協議に一定の進展が見られ、今月も協議継続となっており要注目ながら、ドルバーツへのインパクトは相対的に小さくはなっている。また、英国のEU離脱に関して万一合意なき離脱となった場合にはドルバーツに一定の影響も。

6.政治動向、その他

  1. 2019年3月24日、無効になった2014年の選挙を除き8年ぶりとなる総選挙が実施された。同月28日に総選挙の暫定結果が公表され、投票者数3,826万8,375人、投票率は74.7%であった。得票数を見ると、第1位は親軍政党の国民国家の力党であるが、獲得議席数ではタクシン派政党のタイ貢献党がトップとなる見込み。各政党の獲得議席数の正式発表は5月になる予定であるが、どの政党も単独で下院の過半数を占めることはできず、各党は連立工作を模索している。
  2. 国家統計局が公表した2018年の家計調査結果によれば、1世帯当たりの1ヵ月間の平均支出額は2万1,346バーツで、前年の2万1,437バーツから減少した。調査対象は全国の5万2,000世帯。平均支出が高かったのはバンコク都とノンタブリ県、パトゥムタニ県、サムットプラカン県。支出に占める割合が最も高かったのは、飲食・たばこ費の34.8%で、住宅費19.8%、交通費17.7%、被服費5.0%、通信費3.9%、教育費1.7%、医療費1.5%と続いた。 3月27日、タイ中央銀行(BOT)のウィラタイ総裁が、盤谷日本人商工会議所の金融保険部会(西村祐一部会長/三井住友銀行バンコック支店)において講演を行った。ウィラタイ総裁はタイ経済の現状と展望をテーマに、2019年のタイ情勢と見通しについて解説。タイ経済の成長速度は若干鈍化するものの、国内需要に支えられ、景気の拡大は続くとの見通しを示した。またリスク要因として米中貿易摩擦、中国経済の減速、地政学的問題、民政移管が円滑に進むかの懸念等を挙げた。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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