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タイ国経済概況(2019年5月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ中央銀行が4月30日に発表した3月の経済報告書によれば、タイ経済は前月から減速、緩やかなペースでの成長となった。輸出は世界市場の需要減速等の影響を受け、前年同月比▲4.2%と縮小。民間投資指数は同▲2.1%で、商用車と建材の販売がそれぞれ同▲3.8%、同▲1.8%と縮小したが、資本財の輸入は同+8.4%と拡大した。民間消費指数も同+2.6%と、鈍化傾向ながらプラスを維持。外国人旅行者数は同▲0.7%と減少。タイ政府は2018年11月から中国やインド等、21の国と地域を対象に実施してきた到着ビザの無料化を2019年10月末まで延長し、引き続き観光客誘致に注力する。
  2. タイ工業連盟(FTI)が4月23日に発表した、3月の自動車生産台数は前年同月比+1.8%の19.9万台で、2013年7月以来の最高値を記録した。内訳は、国内向けが同+4.0%の9.5万台、輸出向けが同▲0.1%の10.4万台。1~3月の累計生産台数は、前年同期比+4.0%の56.1万台となった。また、3月の国内販売台数は前年同月比+8.5%の10.3万台で、1~3月の累計販売台数は前年同期比+11.2%の26.4万台。3月の輸出台数は前年同月比+6.1%の11.8万台と、過去18ヵ月で最高値を記録。1~3月の累計輸出台数は前年同期比+1.6%の30.0万台で、アジア、中東向けが好調であった。
  3. FTIが4月23日に発表した3月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+2.6%の23.9万台で、3ヵ月ぶりのプラス。内訳は完成車(CBU)が同+3.0%の18.3万台で、完全組み立て部品(CKD)は同+1.3%の5.5万台分であった。1~3月の累計生産台数は、前年同期比▲3.0%の67.5万台。また、3月の国内販売台数は前年同月比+1.9%の16.8万台で、輸出台数は同+18.6%の9.9万台であった。

2.投資動向

  1. タイ国鉄は、EEC(Eastern Economic Corridor/東部経済回廊)の主要インフラ整備事業のひとつである、ウタパオ、スワンナプーム、ドンムアンの3空港を連結させる高速鉄道建設プロジェクトにつき、地場大手財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループ主導のコンソーシアムへ発注することを決定。総事業費は2,245億バーツ、総延長は220kmを見込む。内閣による承認の後、5月中にタイ国鉄と同コンソーシアムとの契約締結が行われる見通し。
  2. 4月22日、プラユット首相およびカンボジアのフン・セン首相が、タイ-カンボジア間の国境鉄道の復旧式典に参加、両国の首相は列車にて国境を越え再開通をアピールした。1974年に列車運行が停止となって以来、45年ぶりの再開となった。バンコクとプノンペンが鉄道でつながり、人および貨物の往来の活発化が期待されるが、実際に開業して一般利用が可能となる時期は今のところ未定となっている。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると、2019年3月末時点の金融機関預金残高は19兆9,411億バーツ(前年同月比+4.0%)、貸金残高は18兆5,818億バーツ(同+5.5%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (4月の回顧) 4月のバーツ金利は小動きながら小幅上昇。月初、中国経済指標やタイ消費者物価指数(CPI)が予想を上回る伸びを示したことで、バーツ金利は上昇。タイ10年物国債利回りは2.55%台と前月末クローズ対比0.05%強上昇。その後はタイ総選挙の結果待ちとなる中、外部要因の不透明感が意識されたこと等が徐々に重石となり、タイ10年物国債利回りは2.50台まで低下。中旬には米金利が上昇に転じたことや、中国第1四半期GDPが堅調なものであったことを受けてバーツ金利も上昇。下旬に発表されたタイ3月貿易統計で輸出が予想を下回るマイナス成長ではあったが、足元発表された米中の経済指標が良好なものであったことから世界景気減速への過度な悲観が後退、バーツ金利への影響は限定的であった。むしろその後は米第1四半期GDPへの期待感からバーツ金利も小幅ながら押し上げられ、タイ10年物国債利回りは2.57%台に。米第1四半期GDPは予想を上回る伸びを示したが、インフレ指数が伸び悩んだことで米金利が低下するとバーツ金利もこれに伴い低下。次のイベントである米連邦公開市場委員会(FOMC)待ちとなる中、タイ10年物国債利回りは2.53%台、5年物国債利回りは2.12%台とおのおの前月末対比小幅上昇してクローズ。
  2. (5月の展望) 足元米中の経済指標が良好であることから世界景気減速への過度な悲観は後退している。一方で米国の通商政策への懸念が再燃。8日にタイ総選挙の結果が発表されたが単独過半数の政党はおらず、今後の連立がどのように組まれるか不透明感が残っている。タイ中銀金融政策委員会(MPC)では景気認識は下方修正。高水準の家計債務への懸念が改めて示されたが、インフレがターゲットレンジの下限あたりでの推移となっている中政策金利は当面据え置かれることが見込まれる。

5.為替動向

  1. (4月の回顧) 4月のドルバーツ相場は小幅上昇。月初発表された中国経済指標やタイCPIが予想を上回る伸びを示したことで、ドルバーツは31.6台後半まで下押しされたが、米中通商協議、英国の欧州連合(EU)離脱問題等の外部要因に加えて、タイ総選挙の結果待ちと先行き不透明感が強い中で下値は限定的となり、その後は徐々に上値を模索していく展開に。トランプ米大統領がEU製品への追加関税賦課を表明したことや、国際通貨基金(IMF)が世界経済の今年の成長率見通しを引き下げたこと等でリスク回避モードになり、ドルバーツは底堅く推移。中旬に発表された中国貿易収支や中国第1四半期GDPが予想を上回ったことがドルバーツの重石となるも、下値は限定的。下旬に発表されたタイ貿易統計で輸出が予想を下回るとドルバーツは上昇。今月発表された米経済指標が良好なものが多かったことから、米第1四半期GDPへの期待でドルバーツは一時32.1台前半まで上昇。米第1四半期GDPは予想を上回る伸びを示したものの、インフレ項目が下振れたこともありドルバーツは31.9台に。月末は実需のフローをこなしながら、米FOMC待ちとなり小動きでドルバーツは31.9台前半でクローズ。
  2. (5月の展望) 足元発表された米中の経済指標から両国経済への過度な悲観は後退。一方で米国の通商政策への懸念が再燃しているほか、タイ総選挙の結果が発表されたが単独過半数の政党はおらず、今後の連立がどのように組まれるか不透明感が残っている。タイ中銀MPCでは景気認識は下方修正。一方でウィラタイ総裁は金融安定化リスクが残っており利上げの可能性はまだ閉ざしていないと発言する等、ハト派化するアジア中銀の中では相対的にタカ派的なポジションとなっていることはドルバーツの重石となりそうだ。

6.政治動向、その他

  1. 5月4~6日の3日間、ワチラロンコン国王の戴冠式が行われた。ワチラロンコン国王は2016年10月のプミポン前国王死去後、同年12月にチャクリ王朝の第10代目国王に即位していたが、戴冠式は実施されていなかった。タイで戴冠式が行われたのは、プミポン前国王以来、69年ぶり。4日に行われた戴冠の儀式に続き、5日には王宮周辺において祝賀パレードが、6日には一般参賀が行われ、国王のシンボルカラーである黄色の衣服を身にまとった国民が大勢集い祝福した。
  2. 5月7日と8日、選挙管理委員会が3月24日に実施された下院総選挙の結果を発表した。7日に小選挙区350議席のうち、再選挙が必要なチェンマイの1選挙区を除く349議席の当選者が発表され、翌8日には比例代表149議席の当選者が発表された。最多の議席を獲得したのはタクシン派政党のタイ貢献党(小選挙区:136議席、比例代表:0議席)。続いて親軍派政党の国民国家の力党が115議席(小選挙区:97議席、比例代表:18議席)で続く。いずれも単独での過半数獲得には至らなかった。首相指名には、大半が軍政支持とみられる上院議員(250名)が加わるものの、安定した政権運営には下院での過半数議席が必要となるため、国民国家の力党が連立工作により過半数の勢力を獲得できるかが注目される。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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