Logo of JTBF

 

文字サイズ:   

タイ国経済概況(2019年12月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ中央銀行が11月29日に発表した10月の経済報告書によれば、タイ経済は減速が続いている。輸出額は前年同月比▲5.0%で12ヵ月連続のマイナス。また民間投資指数も機械や商用車販売、資本財の輸入額等、各指数がマイナスとなり同▲3.1%となった。一方、民間消費指数は同+1.3%、前月比+1.1%と共に上昇。外国人旅行者数は前年同月比+12.5%と引き続き大幅に伸びている。国家経済社会開発委員会(NESDC)は、11月18日に2019年のタイの経済成長率予測を+2.6%へと引き下げた。今年3度目の下方修正であり、年初は+3.5~4.5%の経済成長を見込んでいた。
  2. タイ工業連盟(FTI)が11月20日に発表した10月の自動車生産台数は、前年同月比▲22.5%の15.3万台で、6ヵ月連続のマイナスとなった。内訳は国内向けが同▲30.8%の6.9万台、輸出向けが同▲14.0%の8.4万台だった。FTIは生産台数が落ち込んだ理由について、米中貿易摩擦による影響が大きいと説明。1~10月の累計生産台数は、前年同期比▲4.2%の172.5万台となっている。また、10月の国内販売台数は前年同月比▲11.3%の7.7万台と、5ヵ月連続で減少。輸出台数は同▲8.3%の8.6万台。1~10月の累計販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比+0.7%の83.9万台、同▲4.8%の90.7万台となっている。
  3. FTIが11月20日に発表した10月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+8.9%の21.9万台で、2ヵ月連続でプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同▲3.6%の16.1万台だった一方、完全組み立て部品(CKD)が同+70.5%の5.8万台分と大きく伸びた。1~10月の累計生産台数は、前年同期比▲2.4%の208.0万台。また、10月の国内販売台数は前年同月比+2.3%の14.2万台だった。輸出台数は同+36.4%の8.4万台で、3ヵ月連続で2桁のプラス成長。FTIは同日、2019年通年の生産目標台数について210万台と発表。2018年の実績は206.3万台だった。

2.投資動向

  1. タイ投資委員会(BOI)は11月1日、2019年1~9月の投資申請件数が前年同期比+11.2%の1,165件で、金額は同▲11.2%の3,141億バーツであったと発表。このうち海外直接投資(外国資本10%以上の投資案件)は、申請件数が同+1.9%の689件で、金額は同+68.5%の2,034億バーツだった。国・地域別では日本が申請件数167件、金額592億バーツでともにトップ。次いで中国が139件、454億バーツ。スイスが15件、117億バーツでそれに続いた。
  2. タイ政府は11月6日の閣議で、EEC(Eastern Economic Corridor/東部経済回廊)の新たな都市計画を承認した。輸送システムや廃棄物管理システム、防災対策といったインフラ構築に加え、同エリアを都市・商業区、工業区、環境保全区、田園地帯とその他(軍用地・水源地)の5つに分類する計画を策定。社会経済の発展と同時に、森林・水資源の保全も目指す。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると、2019年10月末時点の金融機関預金残高は20兆2,918億バーツ(前年同月比+4.4%)、貸金残高は24兆5,926億バーツ(同+4.0%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (11月の回顧) 11月のバーツ金利は、中短期金利は低下の一方で長期金利は上昇。6日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)で0.25%の利下げが決定されたことを受けて、短期金利を中心に金利低下。一方、長期金利は前日に海外で発表された米経済指標が堅調であり、米長期金利が上昇したことを受けてほぼ横ばいとなった。その後も米中通商協議に関する報道でリスクオンとオフを繰り返す中、長期金利は米金利動向に連動する形で上下したが、短期金利はジリジリと低下。そういった中、米中が追加関税の段階的撤廃で合意との報道が伝わりリスクオンとなったことで、バーツ長期金利は大きく上昇し、タイ10年物国債利回りは1.72台まで上昇。その後しばらくは具体的な手掛かりに乏しく、大きな値動きが見られなかったが、下旬にトランプ米大統領が香港人権・民主主義法案に署名したことで米中通商協議への懸念が高まり、リスクオフとなったことでバーツ金利も低下。タイ国債10年物利回りは1.61%台、同5年物利回りは1.39%台と前月末対比それぞれ0.05%上昇、0.03%低下となった。
  2. (12月の展望) 今月は10、11日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、15日にタイ中銀MPCが開催されるが、いずれも現状維持が足元のコンセンサスとなっている。前回の米FOMC後の会見で、パウエル議長は現状の金融政策は適切であり、経済見通しの著しい悪化が見られない限り利下げは不要との発言をしている。しかし、リスクは依然下方にあることから、米経済データが注目される。また、先行きの金融政策にも相応に影響を与えることから、米中通商協議の行方も引き続き注目される。

5.為替動向

  1. (11月の回顧) 11月のドルバーツ相場は小動き。月初ドルバーツは30.1台後半でオープン。月初に発表されたタイ10月消費者物価指数(CPI)の上昇率が0.11%と事前予想を下回り、また中銀のインフレターゲットから一段と遠のいたことでタイ中銀利下げへの期待が強まった。6日に開催されたタイ中銀MPCでは0.25%の利下げが決定された。また同時にバーツ高抑制策が発表されたこともあり、ドルバーツは一時30.4手前まで上昇したが、輸出勢の売り圧力は強く上値は限定的であった。その後、米中通商問題に関して第一段階の合意署名が12月にずれ込むとの報道がドルバーツの上値を押さえたが、翌日に追加関税を段階的に撤廃するとの報道が伝わると、ドルバーツも30.4台前半まで上昇し月間高値をつけた。その後も米中通商問題に関しての報道が錯綜し、楽観と悲観が日替わりとなりドルバーツは狭いレンジ内で上下していたが、米中通商交渉が暗礁に乗り上げているとの一部報道でマーケットセンチメントが悪化するとドルバーツは30.2台まで急落。18日にタイ第3四半期GDPが発表され、+2.4%と事前予想を下回ったがドルバーツへの影響は限定的。米中通商協議をめぐる不透明感が重しとなりドルバーツも徐々に下値を切り下げ、再び30.1台後半をつけたが、米中通商問題に関して楽観、悲観が繰り返され具体的な手掛かりがない中30.2台前半を回復。その後、トランプ米大統領が香港人権・民主主義法に署名したことで中国も報復を警告したが、ドルバーツはほぼ反応せず30.2台前半で膠着を継続してクローズ。
  2. (12月の展望) 今月は10、11日に米FOMC、18日にタイ中銀MPCの開催が予定されており注目される。いずれも現状維持がコンセンサス。前回の米FOMCでは一旦の利下げ停止が示唆されたが、リスクは依然下方にあることから引き続き米経済データを確認する時間帯。また、リスクの主要な要因である米中通商問題の行方が引き続き注目される。

6.政治動向、その他

  1. タイ政府は11月26日の閣議にて、総額1,440億バーツの景気刺激策を承認した。本政策は、草の根支援(インフラ整備、低利子融資等)、中小企業事業者支援(金融機関への債務元本の支払い猶予要請等)、コメ農家支援(補助金、生産支援等)、住宅購入支援(購入資金の一部払戻し)の4分野からなり、2019年8月20日に承認された3,160億バーツの景気刺激策の追加措置にあたる。タイ政府は本政策により、今年の目標である経済成長率+2.8%の達成を志向している。
  2. タイ内務省は11月1日、住宅購入支援に関する通達を発表。2019年11月2日から2020年12月24日までの間、300万バーツ以下の物件につき、移転登記手数料を0.01%とする等、タイ人の住宅購入を促進する。また、政府貯蓄銀行は11月25日、住宅購入や既存ローンの借り換えを支援するため、12月より初年度の金利が0.01%となる住宅ローンの供与を開始すると発表した。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

詳細記事/統計データ

クリックしても開かない時は
右クリックから「対象をファイルに保存」
保存したファイルを Adobe Reader で開いて下さい。



 在京タイ王国大使館 /  タイ国投資委員会 /  タイ国政府観光庁 /  日タイ経済協力協会 /  海外技術者研修協会 /  盤谷日本人商工会議所 /  (社)日本貿易会 /