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タイ国経済概況(2020年1月)

タイ商務省、タイ中央銀行、国家経済社会開発庁(NESDB)から発表される諸指標に基く経済動向、タイ投資委員会(BOI)から発表される投資動向、および政治面での主要な動きを、月次まとめてお送りします。

日タイビジネスフォーラム金融委員会  

1.景気動向

  1. タイ中央銀行が12月30日に発表した11月の経済報告書によれば、タイ経済は引き続き減速傾向にある。輸出額は相手国の景気低迷、停滞する電気・電子部品市場の回復の不透明感等の影響を受けて前年同月比▲7.7%。また、民間投資指数も商用車の購入、建材の販売、資本財の輸入等すべての指数がマイナスとなり、同▲6.1%だった。一方で、民間消費指数は同+2.4%、外国人旅行者数も同+5.9%とプラスを維持。到着ビザを無料化している中国、インドおよび台湾からの旅行者のほか、ロシア経済が回復したことで同国からの旅行者が増加した。
  2. タイ工業連盟(FTI)が12月18日に発表した11月の自動車生産台数は、前年同月比▲21.8%の15.4万台で、7ヵ月連続でマイナスとなった。内訳は国内向けが同▲19.1%の8.2万台、輸出向けが同▲24.7%の7.2万台。1~11月の累計生産台数は、前年同期比▲5.9%の188.0万台となり、FTIは、10月に下方修正した年間生産台数目標の200万台には到達する可能性が高いとしている。また、11月の国内販売台数は自動車ローンの引き締めが影響し、前年同月比▲16.2%の7.9万台にとどまった。輸出台数は同▲19.2%の7.5万台。1~11月の国内累計販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲1.1%の91.8万台、同▲6.1%の98.2万台となっている。
  3. FTIが12月18日に発表した11月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲16.7%の20.3万台で、3ヵ月ぶりにマイナスに転じた。内訳は完成車(CBU)が同▲9.4%の17.2万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲42.2%の3.1万台。1~11月の累計生産台数は、前年同期比▲10.9%の211.6万台。また、11月の国内販売台数は前年同月比▲7.0%の13.5万台だった。輸出台数は同+9.1%の9.4万台で、8ヵ月連続のプラス。

2.投資動向

  1. 12月11日、中央賃金委員会が決定した最低賃金(日給)の引き上げを2020年1月1日から適用することが閣議で承認された。バンコクをはじめナコンパトム、ノンタブリ、パトゥムタニ、サムットプラカーン、サムットサコン、チョンブリ、プラチンブリ、プーケットの9都県で一日あたり6バーツ、それ以外の県では5バーツの引き上げとなった。最低賃金が最も高いのはチョンブリとプーケットの336バーツで、最も低いのはナラティワート、ヤラ―、パッタニの313バーツとなる。最低賃金の引き上げは2018年4月以来。
  2. タイ投資委員会(BOI)は12月18日、EEC(Eastern Economic Corridor/東部経済回廊)への投資恩典パッケージの拡充を決定した。EECエリアに該当する3県を事業地とし、基本恩典で5年以上の法人税免除が付与されている事業に関しては、ほぼすべての業種が追加恩典の対象になった。また、科学技術人材の開発事業への投資、EECi(EECイノベーション)、EECd(EECデジタルパーク)、EECa(東部航空都市)、EECmd(メディカルハブ)に拠点を設ける投資事業にも追加恩典が付与される。同パッケージの申請期限は2021年末までだが、EECi、EECd、EECa、EECmdへの投資事業に関しては申請期限を設けない。

3.金融動向

  1. タイ中央銀行の発表によると、2019年11月末時点の金融機関預金残高は20兆3,657億バーツ(前年同月比+4.5%)、貸金残高は24兆7,452億バーツ(同+3.9%)といずれも増加。

4.金利動向

  1. (12月の回顧) 12月のバーツ金利はすべての年限で低下。月初、米中通商交渉の早期合意期待の剥落等からリスクオフの動きとなりバーツ金利低下。中旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)は大方の予想通り政策金利は据え置きとなった反面、先行きの見通しが想定よりもハト派的であったが、バーツ金利への影響は限定的となった。その後トランプ米大統領が米中貿易合意を承認、それに伴い対中追加関税の発動が見送られたことでリスクオンとなったが、新未来党の大規模抗議集会開催でタイSET株価指数は下落、バーツ金利上昇となった。タイ中銀金融政策委員会(MPC)では政策金利据え置きとの見方がコンセンサスではあったが、予想外の利下げへの警戒感強くバーツ金利も上値重く推移。18日のタイ中銀MPCでは、全会一致で現状維持が決定された。下旬には中国政府が関税引き下げを表明したことでリスクオンとなる中、バーツ金利は低下。ウィラタイ・タイ中銀総裁が講演にて、来年の景気は回復が見込まれるものの経済成長のペースは満足できる水準ではなく、潜在成長率を下回っていることを指摘し、一段の金融緩和を排除しない考えを示したことや、中銀のインフレ目標が従来の2.5%プラスマイナス1.5%(1~4%)から1~3%に引き下げたこと等が背景。タイ国債10年物利回りは1.48%台、同5年物利回りは1.25%台と前月末対比それぞれ0.12%、0.14%低下となった。
  2. (1月の展望) 先月のバーツ金利は、米金利との相関性が低くリスクオン局面であっても金利上昇にはつながらなかった。あたかも、マーケットが中銀に対して利下げを促している感であった。来月までタイ中銀MPCの開催は予定されていないが、その間のタイおよび世界景気動向を確認する時間帯となるであろう。

5.為替動向

  1. (12月の回顧) 12月のドルバーツ相場は月末に向けて徐々に下値を切り下げ、年内最終営業日となる30日の引け近くに急落し30を割った。月初、ドルバーツは30.2台前半でオープン後、米中通商交渉の早期合意期待の剥落等からアジア通貨安となった中、ドルバーツも30.3台まで上昇。さらにタイ中銀副総裁が海外投資家にとってバーツは安全資産ではなくなりつつある等、バーツ高けん制発言もありドルバーツは一時30.3台後半まで上昇し月間高値をつけた。中旬に開催された米FOMCでは大方の予想通り政策金利は据え置かれたが、先行き見通しがハト派的であったことからドルバーツは30.1台後半まで下落。その後、トランプ米大統領が貿易合意を承認したことや、それに伴い追加関税発動が見送られたことでリスクオンとなり、タイ中銀MPCを控えての警戒もあり30.2台を回復して推移。そういった中、タイ新未来党の大規模抗議集会が開催されたが、ドルバーツへの影響は限定的であった。18日に開催されたタイ中銀MPCでは、全会一致で政策金利は据え置かれた。下旬には中国が850品目以上の関税引き下げを表明したことを受けてリスクオンとなり、アジア通貨買いとなる中バーツもじり高に。月末30日、タイ祝日で流動性が薄くなっていたところ、損失確定とみられるドル売りバーツ買いのフローが出たことで、ドルバーツは急落し30を割り込んだ。タイ市場休場となった31日も海外市場ではバーツ買いが継続し一時29.7台まで下落となった。
  2. (1月の展望) 先月末は流動性が薄いところに損失確定のバーツ買いフローが発生したことで、ドルバーツは急落し30割れとなった。年明け後ドルバーツは反転して上昇し急落前の水準で推移となっている。この一連の動きに対してタイ中銀からはバーツ高への警戒感が示されており、バーツ高抑制策を打つ可能性もあることから当局者の発言にはより一層の注意が必要。米中通商協議は進展が期待される一方で中東情勢の緊迫化もあり、外部情勢への注意も引き続き必要。

6.政治動向、その他

  1. 12月12日、金融財政政策委員会は、2021~2024年度の中期財政計画として公的債務をGDP比50%以下に抑えることを決定した。プラユット首相が議長を務めた。同委員会は2018年4月に施行された財政責任法に基づき設置されたもの。財務省は2019年9月時点で公的債務のGDP比が41.42%であることを発表しており、この数年は40%台前半を維持。同省が健全な財政維持の枠組みの中で定めている同比率の60%、中期計画の50%の、いずれの比率も下回っていることを強調した。
  2. 1月4日、ワチラロンコン国王が、国王の諮問機関である枢密院の議長にスラユット元首相を任命したことが官報で告示された。スラユット氏はプレム前枢密院議長が2019年5月に死去した後、議長代行を務めていた。同氏は故プレム氏の首相時代の側近で、プミポン前国王により枢密院顧問官に任命された経歴があるほか、2006年の軍事クーデター後は暫定政権の首相を務めた経歴を持つ。


当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。

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