Logo of JTBF

 

文字サイズ:   

第4回タイ語弁論大会に参加して

日タイビジネスフォーラム会員
本村 博志


  昨年の11月下旬の日曜日午後。神田外語大学のキャンパスのある幕張近辺は、季節に比して温和すぎる日差しを受け、すっきりと晴れ上がった青空は、世の中の不景気風を忘れさせてくれるくらい長閑な情景であった。そんな風情の中、筆者は、初めてタイ王国大使館、神田外語大学主催のタイ語弁論大会が開催される同大学キャンパスに足を運んだ。最近の日本の学生のタイ語レベル、弁論内容、自己主張のアピール度合い等々、一体、どのようなものなのか、大変興味をもって視察したのである。

  きっかけは日タイ協会からのメール案内によるものであった。既に3回も実施されていると言う。寡聞にしてそのような大会があることは知らなかったが、結論から言えば、もっともっとPRして全国の大学からより沢山の参加者を募り、日タイ協会などの機関等を通じて、より多くの企業に視察してもらい、タイ・アジア文化を理解している学生の受け入れを考えてもらう機会となれば、日タイ相互の理解がより一層深まる良い機会になること間違いないと思われる。

第4回タイ語弁論大会

  弁論のテーマは「幸福とは?」である。それぞれの参加者が5分間という持ち時間内に、このテーマについての自分なりの考えを纏めて聴衆に訴え、その後、2分間、審査員からのタイ語による質問にその場で答える、という形式で進められる。参加者は、主催大学から9名、慶応大、大阪大、天理大、宇都宮大から各1名の13名。それぞれタイ語の学習期間別、タイへの留学の有無により4つのカテゴリーに分けて競われる。審査員には、タイ王国大使館より、サシワット公使参事官はじめサランヤー、ラピーポン1等書記官、当大学の元学長であり、文化功労者、東南アジア史専門家である石井米雄氏の4名。弁論の合間には、当大学生によるタイ舞踊やタイ音楽などの伝統芸能の披露、タイの茶菓を頂きながらの交流など、タイ好き人間にとって、大変充実した半日を過ごすことが出来た。

  弁論の休憩時間を利用して、当大学のキャンパス内に最近建てられたMULC(Multilingual Communication Center)を見学する機会を得た。タイ語をはじめとして中国語、ベトナム語、インドネシア語など7カ国語のブースを備えるインターナショナルのエリアがあり、夫々の国の趣向をこらした建物が配置され、居ながらにして生活と文化を理解できるよう工夫されたスペースで、学生とネイティヴの教師とのコラボレーションの場となっている。勿論、情報機器やその国の文献などがふんだんに用意され、こんな環境で学習出来る学生は何と幸せなことか、と筆者自身の過去の貧弱な外国語学習環境を思い起こしながら、ため息をつく連続であった。筆者は、このような環境でタイ語を学習出来たなら、自身のタニヤ会話レベルのタイ語能力は格段に進歩すること確実であろうと確信したものである。

  学生の弁論の内容も多岐にわたり極めて興味深かった。近頃の若者の言動に対し、少なからず疑問を持っていた筆者は、今回の弁論を聞いてその考えを多少なりとも改めねばなるまい。情愛に溢れ、堅実で地味な努力を継続する現代若者の姿を垣間見ることが出来たことは、貴重な経験であった。

  曰く、イチロー選手の偉大さは、困難な目標を自らに設定しそれを乗り越えていく処。自分も相当に努力すれば何とか出来そうな難しい目標を敢えて設定し、これに向かって継続努力し、結果、到達できた時この上ない「幸福」を感ずると。青年の船で始まった友情を育てていく過程での幸せ。両親から自分そして子供への幸せのリレーを語る学生。タイ人の親切さに感動し心を開いて行く自分。このような学生のひたむきな主張を聞くにつけ、日本の将来にまだまだ十分に希望が持てることを確認し、相当な満足感を覚えたものである。

  ここに至るまでの大学側・学生のご努力、タイ大使館、日タイ協会、なかんずく、本大会に、ここまで弛まないエネルギーを注いで来られた石井米雄氏に心から感謝申し上げる次第である。日タイ間は、過去・現在・未来にわたり、諸先輩方・同輩・後輩の長年のこのような地道な努力があってこそ、相互の深い信頼関係を築くことが出来、またより深化させ得るものであることを確信して、会場を後にしたのであった。

(2010年1月10日寄稿)

(注) 在京タイ王国大使館のホームページで第4回タイ語弁論大会の様子が紹介されています。紹介記事をごらん下さい。上の写真はこの紹介記事から借用しています。



 在京タイ王国大使館 /  タイ国投資委員会 /  タイ国政府観光庁 /  日タイ経済協力協会 /  海外技術者研修協会 /  盤谷日本人商工会議所 /  (社)日本貿易会 /