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再びタイ語弁論大会(第9回)に参加して

日タイビジネスフォーラム 副会長・教育支援委員会委員長 本村博志


12月20日(日)、神田外語大学のある幕張近辺は、前回訪問時の抜ける様な青天の日と比べ、シベリア寒気団が南下し日本全体を時ならぬ降雪・氷雨模様で覆い尽くした日であった。外界の寒さとはうって変わって、同大学の白亜の瀟洒なキャンパス内の会場内は、これから全国7大学20名によるタイ語勉学中の学生による弁論大会が始まる直前で、期待と緊張感の故か熱気で蒸しかえるような雰囲気であった。

会場入り口には、タイ語勉学中の学生による本日の弁論テーマ「変化」に関する様々な考えが記述されたタイ語論文が掲載されていた。実に見事な筆跡のタイ文字を操り、夫々の主張がなされている。記述の内容は、タイ語の勉学が未だしの筆者にとっては難解であったが、その見事なタイ文字には正直感動を覚えたものである。パネルに掲示された論文に順位をつけることが要請されたものの、全てに1等賞を差し上げたいくらいの出来である。

本弁論大会は、在京タイ王国大使館と神田外語大学が共催し、日タイ協会、三菱商事、タイ航空、株式会社AOKIが後援しており、今回で9回目を数える。タイ王国大使館からは、シントン公使、パタラット公使参事官、ポーンピット公使参事官、ヨーディン1等書記官、タナワディー観光庁東京事務所副所長ら枢要な幹部、また、外務省から南東アジア第1課小濵事務官が公務多忙の中、審査員も兼ね列席しておられた。

今回の弁論大会のテーマは「変化」。各自5分間の持ち時間の中でこのテーマに基づいて弁論を展開、その後、2分間、質疑応答がなされる形式は、今回も不変。開催に先立ち主催者を代表して、シントン公使から挨拶があり、「9」回目という歴史をもった大会であり縁起の良い大会となった。数あるタイ語学校の中で神田外語大学の本大会への多大な貢献に対し謝意が述べられ、更に、進化発展のためには「変化」が必要であるが、日本―タイ国の関係のように、正式外交関係が百数十年に亘り親密な関係は「不変」である、と誠に素晴らしい開会の辞を頂いてスタートした。

弁論は5つのカテゴリーで競われ、1:2年生、2:3年生、3:6か月以下のタイ留学経験を持つ学生、4:6か月以上のタイ留学経験を持つ学生、5:タイ人の親を持つ学生のカテゴリーで、全カテゴリーの中から、最優秀者1名には、タイ航空よりタイまでの往復航空券、トロフィー、認定証が授与され、各カテゴリー1~3等賞には、トロフィー、認定証、賞金、賞品、他に各カテゴリーの努力賞として認定証と賞品が授与される。なお、タイ語が判らない聴衆のため、スクリーンに弁論と同時に日本語訳が映し出され、大いに助かったものである。

休憩も含め約半日に亘る熱気あふれる弁論は、聴衆を弁論にグングンと引き込んでいく若さと魅力溢れるものであった。タイ語に一層に磨きをかけ、来るべき東京オリンピックにタイ日コミュニケーションの陣頭に立って活躍したい、自分が自覚している弱さを、一意発心、毎日少しずつ継続努力して目的達成し、更に今より高い目標に向け努力中である、1文字違うだけで、Change は Chance である。前向きに変化を捉えよう、有名な「チーズはどこに消えた?」を取り上げ、日常の暮らしに敏感であり、変化が起きたらすぐに行動をとるべき、或いは、ぬるま湯の蛙の話を取り上げて「変化」に敏感になるべき、韓国の弁論者は、韓国における日常に飽き足らず変化を求め来日、刻苦勉励の末、難関の日本の進学高校に入学、その後更なる変化を求めてタイ語を学習習得・・・

全ての弁論で「変化」を前向きに捉え、自身の向上を求め弛まず努力している若者の直向きさに、久しぶりに感動を覚えたものである。日本のそしてアジアの若者は、何と純真な気持ちで目標に向けて努力しているか、たとえそれが「弁論」という作られたお話しの中であっても、現代の若者の考え方の一部であることには間違いはない。日本のそしてアジアの未来に久々に明るいものを感じ、限りなく愛おしく嬉しくなったのは筆者一人だけではあるまい。

休憩時間には、同大学学生によるタイ舞踊の披露があった。指導の宜しきを得たのか、実に見事な踊りで、タイのスゥイーツを食しながらの時間は至福の時間でもあったことを付言しておく。関係者の皆様のご努力に対し、深甚な敬意を表するものです。

今年は9回目の弁論大会であり、此処まで来られたのも、タイ王国大使館の熱意、神田外語大学元学長で文化功労者である故石井米雄氏の貢献、同大学 Multilingual Communication Center のご努力、その他関係団体、関係者の熱意と努力の賜物である。

来年の10回大会は、出来得れば、もう1歩踏み出して、弁論参加者を対象に、タイの日系企業へのインターンシップの機会を与えれば、企業内のタイ人との交流、タイにおいて日系企業の活動を身を以て体験出来、必ずや学生の将来に資するところ大なるものがあることと確信している。JTBFで何らかのお手伝いが出来れば本望である。

熱気あふれる会場を後にした時は、冬至を間近にひかえた幕張近辺は、既にとっぷりと夕闇の中に浸り、振り返り見れば、キャンパス内の会場辺だけが若さの陽気が立ち込めているように一点明るく輝いていた。

第9回タイ語弁論大会

(2014年12月29日寄稿)



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