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泰日工業大学の開学

=ABIC/JTBFとの関連について=

前ABICメコンデスク担当コーディネーター
[日タイ・ビジネスフォーラム(JTBF) 副会長]
吉川 和夫

(本稿は、ABICの機関紙 Information Letter に掲載された記事の転載です。ABIC: Action for a Better International Community 国際社会貢献センター)


2007年6月、タイ国に泰日工業大学(Thai-Nichi Institute of Technology)が開学する。 名前が示す通り日本との関係が深い。設立の目的及び背景より判断し、真に意義ある大学と受け止め、日本側は官民あげて支援のムードが高まっている。ABICとて例外でなく、今後の進展如何では関係が深まるだろう。背景をまず説明したい。

右は大学関係者とJTBF訪タイミッションの記念撮影。竣工間近い大学校舎の前で。 2007/2/6



設立の背景・経緯

財団法人、海外技術者研修協会(AOTS)は1959年に設立されて以来、海外より多くの研修生を受け入れ、技術研修に多大の貢献をしてきた。併行してアジア学生文化協会が留学生の勉学に側面協力をしていた。両組織の理事長であった穂積五一氏は、時代の変化を受け止め、先取りする形で留学生、研修生の多かったタイ国に斬新な理念の下に人材育成の機関の設立を計画した。

1973年、バンコックに泰日経済技術振興協会(TPA)が設立され、同時に日本側に国庫補助や民間資金を受けるための窓口であり、TPAのカウンターパートとしての社団法人 日・タイ経済協力協会(JTECS)が設立された。日本から金は出すが、日本人や日本企業のためのものでなく、全てタイ側の自主性を尊重し、運営も全てタイ人によって行うものとした。日本への留学生、研修生であったものが中心となり、熱意ある運営は大いなる成功を見た。80年代半ばまでほぼ100%であった日本の補助金事業は現在総事業費8.6億円のうち10%以下となり、ほとんどがタイ側の独自の事業となっている。技術・経営、日本語・タイ語の研修コースは年間合計2,400コースを数える。

2003年、TPAは設立後30年経過し、念願であった技術系大学設立の構想を実行に移すことを決定した。目下開学に向けての準備が着々と進んでいる。

エンジニア教育を目指す

大学建設の土地は既に保有しており、長年にわたり蓄えた資金で建物も建設中である。開学の理念は昨今のタイ産業界全体の抱える問題点、即ち優秀な技術人材の不足を解消するためのエンジニア教育の充実である。

設置する学部は、①工学部、②情報学部、③経営管理学部であり、2007年の初年度は3学部あわせて450名の学生を受け入れる。順次増え、第4年度より定員1,100名(大学院生 100名を含む)の新入生が入学する。高度の理論追及でなく、産学協同で実際面に重点をおき、日本語教育にも力を入れるという。現在、タイ国では日本の自動車産業の集積が進んでおり、工学部では自動車関連工学に重点をおいたカリキュラムを作成している。

このようにして開学する泰日工業大学(TNI)では過去の経緯より、主として日本よりの技術移転を念頭に計画を進めている。2005年、2006年二回にわたり幹部が来日し、各関係先を訪問の上、種々協力を依頼した。2005年にはTPA会長以下5名が、2006年には設立委員会委員長がABIC(NPO法人国際社会貢献センター)及びJTBF(ABICに事務所を置く日タイビジネスフォーラム)に来訪し、ノウハウ提供等の協力要請があった。

TPAのカウンターパーツであるJTECSは内部にTNI支援委員会を設けた。委員には東大、京大、東工大など16の大学より主として工学部系の教授、トヨタ、本田技研等の民間企業9名、メディア2名、政府機関9名であり、民間団体は日本経団連とABIC/JTBFである。ABIC/JTBFからは私が選任された。

評価されたABIC/JTBFの活動

民間団体から何故ABIC/JTBFが選ばれたかにつき、若干述べたい。(財)海外技術者研修協会(AOTS)は毎年海外より研修生を日本によび研修の機会を与えている。最近は技術以外にも中小企業経営者を招聘し、マーケティングや市場論のセミナーを開催している。ABICのメコンデスクがタイ国やベトナム関係のマーケッティング論セミナーを6回にわたり一括受託し、それぞれ7、8名の講師を派遣していたこと、また、他のセミナーでも部分的に数回数名の講師を派遣していたことが、AOTSの評価を受けることになり、延いては姉妹関係のJTECSにも認識されたためである。

AOTSのセミナーにはABIC活動会員の諸氏に絶大なご協力をいただいたこと、またABIC会員では賄い切れない分野にはJTBF会員(総勢60名だが各業種を網羅し、全員がその道のエキスパートである)の協力を得て努力したことが背景にある。 まだJTECSの支援委員会は具体的活動を開始していない。TPA幹部は自立心旺盛であり、自分たちで出来る事は他人に依存しないゆえ、依頼があるのは少し先のことかと思われる。TPAは日本のODA資金供与先としてスタートしたが、いつまでもODAに依存せず、自立して望ましい方向に進んでいる組織として各方面の注目を浴びている。要請があった場合、各位のご協力をお願い致したい。



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