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バックナンバー 2009-03

「日・タイ随想」

No.30 2009/03/01

タイならではの我家族のリラクセーション

JTBF会員:佐藤 雅春
2009/3/01

  私がタイに赴任したのは1999年から2002年の3年間の駐在である。ここにコメントを寄せる皆様に比べると駐在経験も決して長くない。またすでに帰国後ほぼ7年になり、帰国後直後は何度かタイに行ったものの、直近の情勢変化は激しく、情報はすでに陳腐化しているかも知れないのだが、光栄にもこの場を与えられたので書かせていただくものである。

  海外はニューヨークに2回駐在した後だったので、タイ駐在発令の時は、正直家族は躊躇したが、結果的にはタイ駐在が非常によかった、タイは素晴らしい国というのが我が家の家族の評価である。

  いくつかある中で一つの理由はタイに行ってから健康になったと実感することである。それは私たちは三つの『大好き』のおかげと信じている。三つの共通のキーワードは『リラクセーション』。あれだけの気候環境の中で、また仕事も職責がらきわめて多忙な時期であったが、ストレスを十分解放できたのが良かったと思っている。

  ひとつめはタイマッサージだ。全身古式マッサージは2時間至福の癒しの時間だ。頭で価値を考える習性もあるので、正直2時間でチップ込み1000円以下、日本では考えられない価格もその評価につながっている。いかに効果あるかはマッサージ終えると目がショボショボするほど眠たくなることや、よる寝るとき足がポカポカする、つまり血行が良くなることで感じることができる。

  ホームリーブで一時帰国した時、偶然NHKスペシャルでタイマッサージの特色や、発祥の歴史が説明された。あるお寺にリンパが全身を走っているマッサージの医学古文書が保管されており、なぜリンパかが説明があったのが興味深かった。やはり仏教がオリジンだったのだ。

  二つ目はビールをよく飲んだことだ。タイに行く前は夫婦ともそんなにお酒は飲む方ではなかったのが、クロスターというビールに出会って、夫婦ともこのブランドの虜になった。

  たとえばゴルフの後シャワーに入ってランチは仲間とクロスタービールを飲んでタイ料理、いい気分になったところでその先にはマッサージが待っている・・・・、このありふれた『リラクセーションの工程』がまた至福の時だ。 クロスターはタイではシェアが高くないがなぜか日本人のあいだでは、一番人気があった。よく言われる通りビールの味はその土地の気候、風土にマッチするものという。暑い環境、タイ料理にマッチすることがビールがおいしい基本要件だと思うが、我々家族の評価はクロスターが他の銘柄よりピッタリしていた。東京もタイレストランが多いもののクロスタービールを出すところは多くないが、タイレストランはクロスターを出すところにこだわり行くようにしている。ついでに言うとタイに行ってから氷を入れてビールを飲むのが癖になってしまい、接待の席でこの説明するだけで面白がられる。

  三つめがカラオケだ。我が家族はカラオケが大好きだ。中学生の娘も帯同したがとくに歌が好きだったので、週末の家族サービスはカラオケだった。カラオケクラブは子供の教育上問題なしとしないが、単身赴任の方がカラオケに来られるのは夕食を済ませ9時ごろだ。我が家は夕食後7時にカラオケバーがオープンしたらすぐ出かけて、ガラガラの店の舞台で思いっきり歌う。これもストレス解消には絶大なる効果だと実感した。

  私は学生時代バンドをやっていたこともあり生来歌が好きだ。他の方たちもそうだが『業務』でかなりの頻度でカラオケに行っていたので、週末ぐらい休みたかったがカラオケは数少ない家族サービスの一つだったので週末も行った。『郷に行っては郷に従え』『現地に溶け込んだ人』として少しでも思われたいという欲もあり、タイ語のカラオケも数曲覚えた。

  会社のスタッフ全員で行く一泊旅行の際の夜の余興のパーフォーマンスでも役に立った。スタッフの結婚式に主賓で呼ばれることもけっこうあったが、スピーチの後はその場で歌のリクエストもあり、いや実のところは部下の配慮で歌う場を与えていただいたのかも知れないが、タイ語の歌は役立った。

  家内の方は、タイで日本人会の活動の場である『歌謡同好会』のメンバーにしていただいたこともあり、発表会前には熱心に練習する場となった。娘はいまどきの中学生の上に、生まれつき歌が好きなので、マイクを持つと『性格が変わる』ほど楽しんでいた。女性のいるカラオケバーだったが家族は『違和感』無く週末楽しんだ。これがタイだとリラックスして楽しめた。

  『東南アジアの優等生』にしては直近のタイは名声に傷つくようなことがいくつか起きたのは残念だが、私自身、また回りのほとんどのタイ駐在経験者は、依然タイの大ファンである。それは仕事の視点だけではなく、生活の視点で日本では気軽にできないことがタイではできる、『豊かさを感じる』国だからと思っている。


(元東京三菱銀行タイ総支配人)