JTBF会員: 吉田 研一
2011/02/01
中国チベット高原に源を発したメコン川は、雲南省を経てミャンマー、ラオス国境沿いに南下してタイ北端 ①ゴールデントライアングル に至る。②チェンセーン、③メコンのビューポイント、④チェンコーン を経てタイを離れラオス領内を東行、ルアンプラバンから南下して再びタイの ⑤チェンカーン に至る。その後ほぼタイとラオスの国境沿いに ⑥チェンカーンとノーンカーイ間のメコン川、⑦シーチェンマイ、⑧ノーンカーイ、⑨ナコーンパノム、⑩タートパノム、⑪ムクダーハーン と東行南下し ⑫パーテム を最後にタイから離れていく。
ゴールデントライアングルからチェンコーンまで105km、チェンカーンから国境を離れるまで825km。この記事はタイから眺めたメコンの景勝十二スポットを紹介する。
ゴールデントライアングル
(手前タイ、左ミヤンマー、右ラオス)
タイ最北端の町メーサイから山越えの道を下りてくると、目の前にゴールデントライアングルが開けていた。この辺の山地にはケシの栽培が盛んで、阿片が黄金に変わり、またタイ、ラオス、ミヤンマーがメコン川とルアック川が合流した川の真ん中で3国が国境を接するので、それを皮肉ってこの名前がつけられたと聞いたが、この命名者のセンスには感心する。タイ第一級の観光地にふさわしい眺めである。
水浴びするラオスの女達
ゴールデントライアングルで、ボートに乗り約10キロほど下ると、タイ最古のムアンの一つチェンセーンがある。町には修復された遺跡地帯があるがそれほど大きくはない。ボートで理屈上の国境である川の中央を越えて、ラオス側に近づくとラオスの女達が水浴びをしていた、のどかなメコン川の夕暮れ風景である。川辺の赤茶けた土手の上には、クラトーム(あばら家)が何軒か見えた。
メコン川のパノラマ
チェンセーンから更に川に沿って川沿いの道をしばらく行くと、道はいつの間にか坂道に差しかかりメコン川が見下ろせる丘陵に登っていき、一気に視界が開ける。道の脇に Welcome To The Best View Point と看板に書かれた、メコン川の鳥瞰ポイントがある。眼前に広がるメコン川のパノラマは一枚の写真には納まらない。数少ないメコン川が鳥瞰できる場所の一つである。
チェンコーンのメコン
串本の橋杭岩のようにメコン川に奇岩がそそり立っている、と観光案内にあったので、チェンライから北東の方向へ、それこそ野を越え、丘を越えて2時間余りかけて車でやってきたが、チェンコーンは川沿いの小さな町であった。ボートに乗って奇岩を見に行ったが、期待していた橋杭岩はなく、岸に近いところに乾季で岩肌が出ているだけであった。対のラオスの町と渡し舟が往来しているが、ラオスとの行き来は盛んなようで、川辺の市場にはラオス製の品物が並んでいた。対岸のフェサイからはラオスの古都ルアンプラバン行きの船が出ているように、メコン川はここから2~30キロ下ると、タイ国境から離れてラオスに流れて行く。
チェンカーンのメコン
コーンケーンから国道12号、201号を走りルーイを経由して250キロ余りで、チェンカーンに着く。ここより少し上流で、チェンコーンを通った後一旦ラオスへ入ったメコン川はラオスの古都ルアンプラバンを通り、また南下してタイーラオス国境の川として戻ってくる。これから先、ウボンラーチャタニのパーテムの先まで、約750キロタイーラオス国境の川として流れていく。チェンカーンを少し東へ行くと、メコン河畔のケーンクック(底に沈んでいる岩礁の意)と碑銘が建っている場所がる、その名のとおりこの辺のメコン川は乾季には水位が下がり、雨季には沈んでいた岩礁があちこちに水面から顔を出している。
水上に現れた岩礁の間を流れていくメコン
チェンカーンからノーンカーイまでの国道211号はメコン川を左側に見ながらの川沿いの道で、所々にメコン川のビューポイントがあるので、小休止してメコンの景観を楽しみながらのドライブとなる。チェンカーンで見たような雨季ならば見られない岩礁の間をメコン川は流れていく。
了
(元バンコック日本人商工会議所理事、元三井東圧化学タイランド社長)