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バックナンバー 2011-03

「私がおすすめするタイの旅」

☆☆私がおすすめするタイの旅(3)☆☆


メコン川十二景(ゴールデントライアングルからパーテムまで)-その2

JTBF会員: 吉田 研一
2011/03/01


中国チベット高原に源を発したメコン川は、雲南省を経てミャンマー、ラオス国境沿いに南下してタイ北端 ①ゴールデントライアングル に至る。②チェンセーン、③メコンのビューポイント、④チェンコーン を経てタイを離れラオス領内を東行、ルアンプラバンから南下して再びタイの ⑤チェンカーン に至る。その後ほぼタイとラオスの国境沿いに ⑥チェンカーンとノーンカーイ間のメコン川、⑦シーチェンマイ、⑧ノーンカーイ、⑨ナコーンパノム、⑩タートパノム、⑪ムクダーハーン と東行南下し ⑫パーテム を最後にタイから離れていく。
ゴールデントライアングルからチェンコーンまで105km、チェンカーンから国境を離れるまで825km。この記事はタイから眺めたメコンの景勝十二スポットを紹介する。



シーチェンマイ

浅瀬の向こうにビエンチャンの町が見える

ラオスの首都ビエンチャンと対峙しているタイ側の町はノーンカーイではなく、ノーンカーイの西側に位置する小さな町シーチェンマイである。ここから正面にビエンチャンの町が見える。シーチェンマイからのこの写真は乾季のため水量が少ないが、雨季にビエンチャンへ行ったとき見たメコン川の水量は溢れるほどで、恐ろしいほどの水量であった。


ノーンカーイ

ノーンカーイの船着場

メコン川を初めて見たのは、ここノーンカーイで、バンコックから2日かけてコーンケーン、ウドーンターニー経由でわざわざメコン川を見に来た。初めて見た大河メコンは乾季で水位は下がっていたが、雨季時の水位の跡がその数メートル上についていた。タイーラオス友好橋の完成前で、ラオスとの交易の中心地であったが、行き来は渡し舟だけで、船着場近辺のマーケットはソ連、ベトナム、中国の商品も売られてはいたが、タイーラオスは緊張関係にあったのでそれほど賑わってはいなかった。「ネーム」と言うソーセージに似たタイ北部の食べ物をノーンカーイで初めて食べた。


ナコーンパノム

ナコーンパノムの船着場

ノーンカーイからナコーンパノムへの国道212号は、左手にメコン川が見え隠れするメコン川沿いの道で、ソンクラーン祭の時だったので、小さな集落を通過するたびに、バケツやホースで車に水を掛けられながら4時間ぐらい走りナコーンパノムに着いた。途中はメコン川の左岸のラオスはすぐ山がせまり、右岸のタイ側は平原が広がりメコン川を堺に豊穣の地と不毛の地に分けられているのを実感しながらのドライブであった。ナコンパノムも対岸のラオスと交易はあるが、規模は小さく船着場も小さな簡単なものである。しかし、この辺になるとメコン川の川幅は広い。


タートパノム

何もないタートパノムのメコン

タートパノムはタイの名刹の一つで、タイのみならず、対岸のラオスの仏教徒からも深く信仰されていて、2月の寺祭りにはラオスからもメコン川を渡って参拝に訪れると言う。タイ人の参詣者達に混じって、仏、法、僧に捧げるために線香3本をもってプラタートパノムにぎこちなく参拝してから、メコン河畔へ出てみたが、何もなかった。この町には仏塔以外にはなにもない小さな町といっても過言ではない。


ムクダーハーン

ムダーハンの町とメコン

東北タイで足を踏み入れていない県が4県残っていたので、4泊5日の4県踏破の自動車旅行に出かけ、最後に着いたのが、ムクダーハーンであった。メコン川、ムクダーハーンの町、対岸のラオスの町が一望に望めると言う町の南にあるマノロムの丘へ登った。ここからの眺めはよかった、緑の木々の間に見える白い壁の家々、ゆったりと流れる夕陽に映えるメコン、霞んで見えるラオスの町の眺めが楽しめて、登りで出た汗も乾いてしまった。近年、ムクダーハーンには展望塔とラオスへの橋が出来たと聞いたが、当時はまだなかった。今なら展望塔と橋もこの写真に写るはずである。翌日、川辺の大きな交易品市場で、今は消滅したソ連で作られたゼンマイ腕時計を安く買ったが、20年近く経った今でも時々使っている。


パーテム

パーテムから見下ろすメコン

パテムクリフとも言われるように、ここはメコン川を見下ろす断崖になっており、約150メートル下にはメコン川が流れていて、防護柵も何もない崖の縁へ近寄ると足がすくむ。先史時代のものとされる壁画を見るのが目的であったが、壁画よりも断崖の上から見下ろす、メコン川と周辺の潅木の景観が素晴らしかった。乾季で水量は少なく、雨季には水面下に沈んでしまっている岩や浅瀬がここでも顔を出していた。ここからもう少し下流へ行くと、メコン川はタイーラオス国境を離れ、再びラオス領内へと流れていく。




(元バンコック日本人商工会議所理事、元三井東圧化学タイランド社長)