JTBF会員: 渡辺 和彦
2011/7/01
ドイ・アンカン・ロイヤル・プロジェクト、芥子栽培をしていた山岳民族に代替の生活手段を提供するために王室が推進しているプロジェクトと理解してます。カセサート大学の先生にここの植林を見てくれといわれ連れて行ってもらいました。アクセスはあまり良くなくチェンマイからくるまで2時間~3時間かかったという記憶があります。チェンライのほうが距離的には近いけれど、道路事情はチェンマイからのほうが良いとの説明でした。
この広大なサイトは標高が詳しくは覚えていませんが1700mくらいあったと思います。山の尾根と尾根に囲まれた緩やかな斜面にあり、異なる部族の山岳民族が暮らしていました。プロジェクトは畑(主に野菜)、果樹園、花畑、植林などから成っており、野菜、果物、花は毎日バンコックまで出荷されているとの事でした。植林は実験的なものが多く、世界各地から移植した樹種が見られました。日本からも檜などの針葉樹や竹なども持って来ていました。
魅力は先ず、この森林の中の散策で得られる森林浴、オゾン一杯の素晴らしい空気を吸って生き返るようでした。また、尾根の上の畑で色々な山岳民族がそれぞれの色とりどりの伝統衣装を身につけて農作業をする様は、一幅の絵を見ているような何とも云えない和やかな気分になります。他の山岳民族の観光地と異なり、ここでは彼らの真の姿が見られます。
さらにここはミャンマーとの国境に接しており、タイ軍の駐屯地もあり、国境を挟んでミャンマー軍と対峙している少し緊張感のある光景も見る事ができました。私が行ったのは2月だったと思いますが、朝6時の気温は2度とかなり寒く、しかしタイに生活する日本人としては何故か清々しい気分にさせてくれました。
宿泊は農業に関する研修所のようなところに泊めていただきましたが、このプロジェクトの為に建てた立派な宿泊所があり、それをマリオットホテルが買って経営しておりましたので、十分なアメニティーも備わっています。
遠いのと、交通手段が無い(レンタカーでしょうか)のと宿泊設備が限られているので、大勢の観光客を受け入れるのは難しいかも知れません。またあまり観光地化をすれば本来の目的を阻害します。しかしホテルをあまり増設せず限られた数の観光客を受け入れる事は可能だと思います。
チェンマイからの日帰りも出来なくはないでしょうが、ここはやはり一泊して、この秘境にしっかり身をおくことをお勧めします。遠くても行く価値あり、また行きたい所です。
了
(元王子製紙タイランド社長)