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日タイ・ビジネスフォーラム(Japan-Thailand Business Forum)


タイ国に駐在経験のある日本人ビジネスマン(現役&OB)が個人の立場で参加しています。これまでの日本・タイ国両国におけるビジネス経験を生かし、両国間友好関係の促進に寄与したいと考えています。


Sceneries of Thai Borders
sketched by H. Murata

Muslim mosque in Sungai Kolok, the far southern town of Thailand on the Thailand-Malaysia border.


リレーエッセイ

第9回 2023.1.1 配信
JTBF 広報委員会

アジア通貨危機後の二度目のタイ赴任


 皆様、明けましておめでとうございます。リレーエッセイを昨年から再開し、昨年は7人の方に8回の寄稿を頂きました。改めて御礼申し上げます。
 本年も、まずは2002年JTBF発足時よりも最近に入会した新しいメンバーを中心に、ご自身のタイでの駐在経験、その後の日タイ交流、現在の関係などをご紹介いただきたいと考えています。それとともに、各委員会の活動や新たな日タイ関係の取組など、最近のJTBFやご自身の活動も皆さんから大いに投稿していただきたいと思います。
 本稿は、昨年年初の前編に続き、自身の後編として、1998年~2001年までタイに二度目の赴任をした思い出話を掲載させて頂きます。

 一度目のタイ赴任から帰国してから、旧経済企画庁において、総合計画局総括補佐、物価局価格構造対策室長、企画課調査官などとして、人生において最も多忙な時期を過ごしていました。日本はバブル崩壊後の円高不況に苦しんでおり、サリン事件や阪神淡路大震災に見舞われ、アジア通貨危機の波及で大手証券会社の倒産などもあり、日本社会は不安定化に向かっていました。今では信じられないような内外価格差問題(国内の物価高)、総理のリーダーシップ向上のための官邸機能強化などを目指した中央省庁再編などが当時、私が直接担当した仕事であり、小舟で暴風雨の大海を漂流するような感じでした。一方、タイは通貨危機の真っ只中にあり、タイの友人たちからは、悲鳴や落胆の声が伝えられました。

 そんな時に、タイ政府(NESDB)駐在のアドバイザー(JICA専門家派遣)として、私の二度目の赴任のオファーがありました。先のような仕事の重圧とともに、家庭では産まれたばかりの4人目の子供が病弱で、入退院を繰り返し、てんやわんやの状況でした。人手のあるタイへの赴任は渡りに船であり、職場では中央省庁再編の本格化を前に敵前逃亡と言われたものの、絶好の機会を逃すわけにはいきません。チャンスに飛びついてタイへ向かいました。

 帰ってきたタイで多くの旧友と再会しましたが、彼らの表情は暗いものでした。それもその筈、多くのタイ金融機関が不良債権処理のため閉鎖され、不動産価格は暴落し、豪華なゴルフコースの会員権や様々な資産がバナナのたたき売りのように処分されていました。アジアNIESに続いて工業化、近代化に成功してASEANの雄として成長を遂げていたタイ経済が、自信喪失状態に陥っていました。

 NESDBでの私の仕事は、官民の様々な会合に参加して、タイのこれまでの経済成長の光と影を説きくことでした。急ぎすぎた金融自由化とバブル発生の影の一方で、電機・自動車産業などの蓄積を構築してきた実力、農業や観光面の競争力は本物であることを各方面に力説しました。職場の一角にJAPAN DESKを設置して、様々な経済情報を共有するとともに、景気観測のために四半期GDB速報の作成、発表の迅速化などを支援しました。その際に、日本人商工会議所の景気動向調査の時系列分析を行って、景気観測の重要性をタイ政府の幹部にも印象づけ、JICAから景気観測統計の整備支援を取り付けたことも思い出に残ります。当時のNESDBのマクロ経済統計責任者が現在のタイ政府アーコム財務大臣であることも特筆すべきでしょう。
 日本では既に内閣府の一部となった経済企画庁ですが、タイのカウンターパートNESDBは現在までのところ官庁エコノミスト、優秀なテクノクラート養成組織として健在なようです。当時の同僚はアーコム氏を筆頭に、東部臨海開発事務局カニット事務局長、元厚生次官ポラメティー氏のように要職で活躍しています。

 今年は、久しぶりにJTBFの訪タイミッションが再開される見込みです。前回は、アーサーサラシン名誉顧問が集めて下さったタイ政財界の方々の中にカニット氏など旧友を見出すことができて良い思い出になりました。皆さんとご一緒に2月に懐かしいタイを訪問できるのを楽しみにしています。

前回訪タイミッションにおいて、
左から アーサーサラシン名誉顧問 北山会長とカリンサラシン泰日協会会長 カニット夫妻と筆者


文責 舘 逸志(JTBF 広報委員長)

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