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日タイビジネスフォーラム (JTBF)

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タイ国に駐在経験のある日本人ビジネスマン(現役&OB)が個人の立場で参加しています。これまでの日本・タイ国両国におけるビジネス経験を生かし、両国間友好関係の促進に寄与したいと考えています。


sketched by H. Murata
Nong Han lake, Sakon Nakhon province


リレーエッセイ 第25回配信

2024年10月01日配信
JTBF 広報委員会

バンコク支部報告

 タイ支部より最近のタイ状況をレポート申し上げます。大した内容ではございませんので、肩に力を入れずお読みいただければと思います。
                      ―記―
1. 洪水
 タイも9月を迎え、例年の通り雨季終盤の洪水が問題となっております。只今チェンライ北部メーサイで洪水被害が広がっており、新政府は緊急支援活動を活発化させています。メーサイはミャンマーとの国境のある場所でかつて黄金の三角地帯として麻薬で有名であった場所の近くであります。
台風11号はベトナムを経てチェンライ地域へ到達、それまでの雨量に何とか耐えていたサイ川が氾濫した結果の洪水であります。又イサン地方と呼ばれる東北部でも例年通り川の氾濫や洪水が発生しております。
 一方、アユタヤ地域ではチャオプラヤ川増量に伴うダムよりの放水で、シンブリあたりで洪水発生。9月末・10月上旬の大潮に向けて、バンコク地域を含めて水との闘いが続きそうです。又、発生したばかりの台風15号(9月17日現在)ですが、西に向かっています。結果としてベトナムを経てタイ上陸の可能性を否定できず、思わず2011年の洪水を思い出します。あの時には8月・9月で3つの台風がタイを襲うという前代未聞の悲劇で大洪水となりました。台風15号が発達せず、早めに消滅することを願っております。


2.前進党解体、セタ首相解職、ペートンタン新首相選出
 政治体制問題について、外国人がことの良し悪しをコメントすべきではないと考えますので、発生した内容を中心に下記いたします。


2-1)前進党解体
 8月7日憲法裁判所は不敬罪法改正という選挙公約が憲法違反との理由で前進党を解体、幹部に10年間の政治活動禁止を言い渡しました。今回の選挙で最大得票を得た党にて、2020年に同じく解党されたタナトーン氏率いる新未来党の後継党として活動していましたが、又しても解党となりました。その後直ちに後継にあたる国民党という党を立ち上げています。


2-2)現職首相解任
 8月14日に現職のセタ首相が解任されました。理由は実刑判決を受けた人物を閣僚としたことが、首相の道義的規範違反とのこと。


2-3)新首相選任
 8月16日にタクシン氏次女で貢献党党首であるペートンタン・シナワット氏が首相に選任されました。因みに国民党は反対票をいれています。同氏は堂々と父親のアドバイスは喜んで聞くとコメントしています。現在発生している洪水に対処すべく、首相自らメーサイに飛んでおり、洪水で困った貧困層に500バーツ札を配りまわった嘗てのタクシン氏を彷彿させるものであります。


2-4)小生の感想
 僭越ながら以下に感想を述べさせていただきます。全くの個人的意見です。
 確かに8月1か月の間にこれらのことが起こったのは驚きで、国内法曹界からは憲法裁判所の諸解釈に疑問を呈する正式書簡が出されました。王党派、軍部、革新派などと呼ばれるグループの間での確執が原因と町のスズメは言っておりす。然しながら、過去20年間、数百人の死者を出して戦った赤と黄色並びに軍部が一致して、ペートンタン新首相を誕生せしめたのは、個人的には大いなる前進ではないかと感じている次第です。
 翻って世界を見ると、分断に陥っている米国、右翼が跋扈し始めた欧州、突如戦争状態に入ったロシアとウクライナ及びイスラエルとガザ、又それに負けないぐらい大丈夫かと思われる日本の政治情勢を見るにつけ、まるで教科書で習った、第2次世界大戦前の世を見ているのかと疑いたくなる今日この頃であります。
 今はペートンタン首相の元、再びタイが政治経済ともに、活力をみなぎらせていくのではないかと希望に胸を膨らませているところであります。

                               文責 バンコク支部 岡本正和   

         左:ワットパクナム             右:王宮