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タイ国経済概況(2024年4月)

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1.景気動向

(1) タイ商工会議所大学(UTCC)の発表によると、2024年2月の消費者信頼感指数は63.8(100以上が好感)で7ヵ月連続の上昇となった。新型コロナ発生後の2020年3月以降で1番高い結果だった。項目別でも「経済全般」「雇用」「将来の収入」すべての項目が7ヵ月連続で上昇した。また、同時調査された自動車の買い時指数、不動産の買い時指数も7ヵ月連続で改善。
 
(2) タイ工業連盟(FTI)が3月26日に発表した2月の自動車生産台数は、前年同月比▲19.3%の13.4万台だった。内訳は国内向けが同▲33.0%の4.7万台、輸出向けが同▲9.3%の8.7万台。新型コロナ前の2019年2月の生産台数18.3万台を下回った。また、2月の国内新車販売台数は同▲26.2%の5.3万台で、輸出台数は同+0.2%の8.9万台。新型コロナ前の2019年2月の販売台数が8.2万台、輸出台数が10.1万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を下回った。
 
(3) FTIが3月26日に発表した2月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲1.7%の21.6万台で、8ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年2月の生産台数は21.8万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲6.6%の17.6万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+27.7%の4.0万台。また、2月の国内販売台数は同▲11.8%の14.4万台、輸出台数は同▲1.3%の4.4万台だった。2019年2月の販売台数が14.5万台、輸出台数が3.6万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。 

2. 投資動向

(1) タイ投資委員会(BOI)は3月11日、EV3.0およびEV3.5措置において恩典対象となる電気自動車メーカーに対し、物品税局の指定期間内にタイ国内で製造した主要部品やバッテリーを使用しなければならないという条件を定めた。主要部品は、駆動モーター、バッテリーマネージメントシステム(BMS)、運転制御システム(DCU)、インバーター、減速機またはエアコンのコンプレッサー等。また、関税フリーゾーンまたはフリーゾーン(FreeZone)に立地する国内販売向けの電気自動車メーカーは、品質検査、主要部品の製造等について、工業省指定の生産プロセスを満たし、アセアンで製造された部品(RegionalValueContent)を全部品の40%以上、使用することと条件を定めた。これにより、タイ国内部品メーカーがEV産業のサプライチェーンへ参入することを重視していることが明らかになった。
 
(2) BOIは3月28日、大規模な国際的コンサートやスポーツイベント、フェスティバルを誘致するための優遇措置を承認した。これは、観光ハブとしてのタイの地位を強化し、観光およびエンターテインメント部門を新型コロナ禍の落ち込みから完全に回復させるという政府のビジョンを支援するものである。対象は、1億バーツ以上の投資または経費を必要とする大規模な国際イベントの主催者であり、機器の輸入関税免除、必要な外国人スタッフの一時的な入国を容易にするという恩典が与えられる。申請者は、申請するプロジェクトを組織する権利を有していることの証明が必要である。なお、この措置は会議や見本市の開催には適用されない。また、同日にプリント基板(PCB)メーカーに付与される優遇措置について、サプライチェーン全体をカバーするよう業種の定義を改訂することも承認された。2023年、BOIは約40社のPCBプロジェクトへの投資奨励措置を承認し、その投資総額は約960億バーツに上った。これらプロジェクトは、中国、台湾、日本を拠点とする企業がPCB生産拠点をタイに移転するもので、タイ企業からも申請があった。
 
(3) BOIのナリット長官は3月26日、セター首相が就任以降に訪問した14ヵ国・地域での投資誘致活動により、少なくとも5,580億バーツの投資が見込めると発表した。部門別では、デジタル分野に2,500億バーツ、電気自動車(EV)と部品に2,100億バーツ、電子・半導体に950億バーツ、物流に30億バーツが見込まれるとのこと。デジタル分野では、年内にデータセンターやクラウドサービスに2社が大型投資をすると明かした。同氏は、これまでの投資誘致政策の成果として、EV支援策を推進した結果、大手中国EVメーカー(比亜迪(BYD)、広汽埃安新能源汽車(AION)等)がタイ進出したと述べた。日本の大手自動車メーカーもEV分野にさらなる投資を予定しており、政府は今後、米国や欧州のEVメーカーやバッテリーセルメーカーと協議を進める意向を示した。

3. 金融動向

タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2024年の2月末時点で金融機関預金残高は25兆1,268億バーツ(前年同月比+2.0%)、貸金残高は30兆8,398億バーツ(同+2.5%)といずれも増加。政策金利は2.5%に据え置かれた。

4. 政治動向、その他

(1) 3月18日、政府は2034年開港予定の北部パヤオ県の新空港建設に22億バーツを投資予定だと発表した。同空港はパヤオ県中心部から18キロメートルほど離れたドークカムタイ郡に建設予定で、敷地面積は2,813ライ(約4.5平方キロメートル)。セター首相は開発に先がけて同県を訪問し、北部地方の観光促進に対して意欲を示した。また、タイ空港公社(AOT)が発表した2024年2月の主要6空港利用者数は、前年同月比+28.6%の1,068.8万人だった。国際線が同+50.2%の667.2万人で、多くの外国人観光客がタイを訪問した。国内線は同+3.8%の401.7万人だった。
 
(2) 2024年3月26日にタイ賃金委員会は、パタヤやプーケット等の主要観光地10ヵ所の4つ星以上および従業員50人以上のホテルで働く従業員の最低日給を1日400バーツに引き上げると発表。4月2日の閣議で承認され、4月13日から施行予定。多くの観光客が見込めるソンクラン休みからの施行となった。今回の引き上げ前の最低賃金(今年1月の引き上げ後)は地域により330~370バーツ。
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当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。
 
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