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タイ国経済概況(2026年7月)

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1.景気動向

(1)タイ商務省の7月6日の発表によると、2026年6月の消費者物価指数(CPI)は102.85となり、前年同月比+2.42%となった。燃料価格の高止まりを受け、公共交通機関の運賃や調理済み食品価格が上昇した。背景には中東情勢の緊迫化があり、5月に続いて上昇したものの、伸び率は5月の+2.79%から鈍化した。部門別では、燃料価格や公共交通機関の運賃引き上げを主因に、非食品部門は前年同月比+3.31%となり、食品・飲料部門は同+1.03%だった。生鮮食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比+1.23%となり、前月比+0.27%だった。CPI全体の前月比は▲0.34%となった。米国とイランの間で中東地域における紛争・軍事作戦停止に向けた動きが明確になったことを受け、国内燃料価格が下落した。さらに、生鮮果物や食肉の価格は十分な供給があったことで低下した。2026年上半期のCPIは前年同期比+1.08%になった。2026年通年のCPI見通しは+1.5%~2.5%(中央値+2.0%)と据え置きとなった。商務省は燃料価格や交通費、調理済み食品、生鮮野菜価格は上昇が見込まれる一方、5~8月の電気料金引き下げや、十分な供給による食肉価格の低下が物価上昇を抑制するとの見方を示した。
 
(2) タイ工業連盟(FTI)が7月2日に発表した2026年5月の自動車生産台数は、前年同月比▲11.4%の12.3万台で、2ヵ月連続でマイナスを記録した。内訳は国内向けが同+12.7%の5.9万台、輸出向けが同▲25.8%の6.5万台。また、2026年5月の国内新車販売台数は同+10.6%の5.8万台で、輸出台数は同▲26.7%の5.9万台だった。
 
(3) FTIが6月29日に発表した2026年5月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+9.7%の23.1万台で、2ヵ月ぶりにプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+5.8%の18.8万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+30.4%の4.3万台。また、2026年5月の国内販売台数は同+3.1%の17.0万台、輸出台数は同+21.4%の8.1万台だった。
 
(4) タイ中央銀行(BOT)が6月30日に公表した5月の経済・金融報告によると、タイ経済は前月とほぼ同水準だった。外需面では、長距離路線の運航再開を受け、外国人旅行者数は回復した。中国およびマレーシアからの旅行者も長期休暇中の旅行需要を背景に増加した一方、その他の短距離市場では需要低迷やLCCの減便・欠航を受け、旅行者数が減少した。物品輸出は、電子製品や宝石・宝飾品等で前月の高水準の反動がみられ減少した。内需面では、乗用車販売の回復を受けて民間消費はやや持ち直したものの、全体としては横ばいで推移した。一方、生活費の高止まりや所得の先行きに対する懸念を背景に、消費者信頼感指数は低下が続いた。民間投資は輸送機器への投資を中心に増加した一方、設備投資は横ばいとなり、商業施設建設の減少を受けて建設投資は低迷した。供給面では、外需の低迷を背景にピックアップトラックや電子製品の生産が減少し、若干低下した。サービス業では、車両販売や観光関連業は回復した一方、輸出の減少を受けて運輸は低調だった。

2. 投資動向

(1) タイ投資委員会(BOI)は6月9日、ベトナム・ハノイで「タイ・ベトナム投資・ビジネスネットワーキング」会合を開催した。アヌティン首相率いるタイ政府代表団のベトナム公式訪問に合わせて開催され、ベトナム商工連盟(VCCI)のホー・シー・フン会頭らが出席した。アヌティン首相は、ベトナムとの包括的戦略的パートナーシップを重視し、経済、貿易、投資、民間部門の競争力強化に向けて連携を深める方針を示した。エクニティ副首相兼財務大臣は、「スリー・コネクト戦略」を柱に、サプライチェーン強化、地方経済・サービス業の発展、グリーン経済分野で協力を推進する考えを示した。特に、データセンター、半導体、電子部品製造分野では、デジタル技術やAIへの移行を踏まえ、関連サプライチェーンの連携を強化する必要があり、両国の強みを生かす好機になると述べた。一方、ベトナム商工連盟(VCCI)のホー・シー・フン会頭は、ベトナムがインフラ整備やデジタル化を重点的に進めていることから、インフラ、輸送機器、農業、飲食料品、クリーンエネルギー、グリーン経済分野で両国企業による共同投資の機会が広がるとの見方を示した。さらに、クリーンエネルギー、デジタル・AI・半導体、飲食料品、観光、工業団地の5分野において、両国の主要企業が連携強化について協議した。
 
(2)BOIのナリット長官は、6月18日の競争力強化基金に関する小委員会で、タイ企業の競争力強化支援措置と新産業向け高度人材育成措置(スキル・ブリッジ)のプロジェクトを承認したと明らかにした。タイ企業の競争力強化支援措置では、総額10億3,300万バーツの17件を承認した。対象は農業・食品加工・バイオ・医療・自動車部品・国防産業等で、スマートファクトリー化や自動化、AI・データ分析を活用したリアルタイムの生産プロセス分析等に取り組む。スキル・ブリッジでは31件(総額14億6,500万バーツ)を承認し、4万9,300人の人材育成を見込む。既承認分を含めると35件となり、人材育成の対象者は計6万6,500人に達する。人材育成講座の内容はAI・データ分析、スマートエレクトロニクス、EV・バッテリー、ロボット・スマートマニュファクチャリング、農業・バイオテクノロジー、食品加工、総合医療、国防(先端ナノ材料、サイバーセキュリティ、無人航空機)等、次世代産業に必要な分野を対象とする。また、スタートアップ支援措置で、カーボン量子ドットの研究開発プロジェクトを承認した。同技術は廃棄物由来の材料の高機能化につながる。ナリット長官は、BOIは海外投資の誘致に加え、タイ企業の競争力強化を通じて国際競争力の向上を図ることにも注力していると強調した。

3. 金融動向

タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2026年5月末時点での金融機関預金残高は27兆1,660億バーツ(前年同月比+4.6%)、貸金残高は31兆670億バーツ (同+1.9%)。また、政策金利は2月25日に1.25%から1.00%に引き下げられた。

4. 政治動向、その他

(1)6月28日にバンコク都知事および都議会議員選挙が実施され、7月7日にタイ選挙管理委員会が結果を承認した。前都知事のチャッチャート氏の得票率が65.8%、得票数が153万以上で歴代最多を更新し圧勝した。2位となったのは政治系インフルエンサーのマリカー氏(得票率13.0%)。一方、2月に実施された下院総選挙でバンコクでの得票率が高かった「国民党」所属のチャイワット氏が3位(同8.0%)にとどまっている。都議会議員選挙(定数50)では、国民党が22議席を獲得し最多。次いで、無所属系グループ「Bangkok Possible」(11議席)、民主党(8議席)、タイ貢献党(4議席)。
 
(2)タイ政府は5月19日の閣議で、4職種の技能労働者の基準賃金を新たに制定することを承認した。今回の対象職種は、フラックス入りワイヤ溶接およびMIG溶接の技術者、オフグリッド型太陽光発電システム設置技術者、産業ロボット整備士で、いずれも次世代産業に関わる職種である。定める基準賃金の日額は550~650バーツ。6月16日に官報掲載され、9月15日に施行される。施行後、基準賃金が制定されている職種の数は、既存の141職種と合わせて145職種となる。なお、基準賃金は職種や技能レベルによって金額が異なり、適用を受けるには、労働省技能開発局が定めた検定試験に合格し、認証を取得する必要がある。
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当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。
 
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(2026年7月11日)