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タイ国経済概況(2026年2月)

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1.景気動向

(1)タイ商務省の1月23日発表によると、2025年通年の輸出額は前年比+12.9%の3,396.4億米ドル、輸入額は同+12.9%の3,449.4億米ドルとなった。輸出額は過去最高を記録したものの、貿易収支は53.0億米ドルの赤字となり、4年連続の貿易赤字となった。品目別の輸出額は、農産物・加工品が同▲0.4%(520.7億米ドル)で、このうち米は同▲30.0%(45.2億米ドル)、天然ゴムは同+0.4%(50.1億米ドル)だった。電子製品・同部品は同+38.3%(732.1億米ドル)、自動車・同部品は同+2.5%(404.3億米ドル)となった。国・地域別の輸出額は、首位が米国で前年比+32.0%の725.1億米ドル、次いで中国が同+12.6%の397.2億米ドル、日本が同+1.1%の235.5億米ドルだった。商務省は、新興国市場の成長やデジタル・AI関連製品の需要拡大といったプラス要因がある一方で、米国の関税措置、地政学的対立の激化による世界経済秩序の変化、バーツ高の影響等の不確定要因が残るとして、2026年通年の輸出額は▲3.1~+1.1%になると予想した。
 
(2) タイ工業連盟(FTI)が1月28日に発表した2025年12月の自動車生産台数は、前年同月比+8.6%の11.4万台で、4ヵ月連続でプラスを記録した。内訳は国内向けが同▲26.6%の2.8万台、輸出向けが同+28.3%の8.6万台。また、2025年12月の国内新車販売台数は同+39.1%の7.5万台で、輸出台数は同+11.3%の8.5万台だった。2025年通年の自動車生産台数は、前年比▲0.9%の145.6万台で3年連続のマイナスとなった。内訳は国内向けが同+8.6%の49.9万台、輸出向けが同▲5.2%の95.6万台。また、2025年通年の国内新車販売台数は同+8.5%の62.1万台で、輸出台数は同▲8.2%の93.6万台だった。
 
(3) FTIが1月28日に発表した2025年12月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+2.9%の20.8万台で、2ヵ月連続でプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+4.9%の16.1万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲3.6%の4.7万台。また、2025年12月の国内販売台数は同+7.7%の13.4万台、輸出台数は同▲4.1%の7.8万台だった。2025年通年の自動二輪車生産台数は、前年比+2.1%の247.7万台で、3年ぶりにプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+4.5%の197.3万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲6.5%の50.4万台。また、2025年通年の国内販売台数は同+1.7%の171.2万台、輸出台数は同▲4.9%の89.3万台だった。
 
(4) 盤谷日本人商工会議所(JCC)は1月27日、2025年下期日系企業景気動向調査の結果を発表した。本調査は、2025年11月25日から12月16日にかけて会員企業1,677社を対象に実施され、521社(回答率31.1%)から回答を得た。同調査によれば、2025年下期の業況感(DI値:業況が「上向いた」と回答した企業の割合から「悪化した」と回答した企業の割合を差し引いた値)の見通しは▲12となり、2025年上期の▲4から悪化した。また、2026年上期は、安価な中国製品との価格競争への懸念があるものの、製造業・非製造業ともに様々な業種で需要の増加が予測されるため、1に改善する見込み。

2. 投資動向

(1) タイ投資委員会(BOI)は1月26日、2025年の投資奨励申請実績を発表した。2025年に受理した投資申請額は1兆8,766億5,300万バーツ(約602億3,000万米ドル)に達し、件数は3,370件となった。申請額は前年比+67%、件数は同+11%と大幅に増加し、投資家の信頼感の高まりと高付加価値分野への構造的なシフトが鮮明となった。分野別にみると、デジタル産業が申請額7,461億9,800万バーツ(239億5,000万米ドル)、151件と最大となった。タイ向け外国直接投資(FDI)は1兆3,599億2,500万バーツ(436億5,000万米ドル)と前年比+66%増加した。タイ向け外国直接投資(FDI)は1兆3,599億2,500万バーツ(436億5,000万米ドル)と前年比+66%増加した。国別ではシンガポール(5,473億1,600万バーツ、457件)が首位となり、2位以降は香港(2,453億3,500万バーツ、266件)、中国(1,721億1,400万バーツ、982件)、日本(1,190億9,800万バーツ、311件)、英国(1,003億2,200万バーツ、29件)が続いた。
 
(2)1月8日のBOIの発表によると、タイ政府は、半導体産業の競争力強化に向けた長期国家戦略を策定し、パワー半導体、センサー、フォトニクス、ディスクリート半導体、アナログ半導体を重点分野として育成し、バリューチェーン全体の国内構築を目指す。同戦略は、1月7日に開催された国家半導体・先端電子政策委員会で示され、BOIが策定した戦略案に基づき、2030年、2040年、2050年を節目とする段階的な発展目標が設定された。BOIは、既存の電子機器製造基盤やサプライチェーンと親和性の高い分野に注力し、電気自動車、再生可能エネルギー、AIインフラ、スマートマニュファクチャリング向け需要の取り込みを図る方針。2050年までに2兆5,000億バーツ超の投資誘致、23万人以上の高度人材育成、統合型半導体エコシステムの確立を目標としている。短期的には、半導体の組立・検査(OSAT)やIC設計、先端電子機器製造といった競争力のある分野を拡大するとともに、ウエハー製造等の上流工程への投資促進や国内企業の育成を進める。戦略を支える施策として、投資・研究開発支援、人材育成、研究インフラ整備、知的財産保護の強化、産業クラスター形成等を進める。

3. 金融動向

タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2025年12月末時点での金融機関預金残高は26兆6,710億バーツ(前年同月比+4.0%)、貸金残高は30兆6,860億バーツ (同+0.7%)。また、政策金利は12月17日に1.50%から1.25%に引き下げられた。

4. 政治動向、その他

(1)2月8日、下院総選挙(定員500名)が実施された。2月10日午前時点の暫定結果(開票率94%)によると、現暫定政権の与党第1党である「タイ誇り党」は、小選挙区・比例代表を合わせて193議席を獲得する見込みで、2023年総選挙時の71議席から倍増以上となり、第1党となる見通しである。次いで、2023年総選挙時に第1党だった「前進党」の受け皿となる政党「国民党」が118議席、タクシン元首相派の「タイ貢献党」が74議席、与党の「クラータム党」が58議席、南部に支持基盤を持つ野党「民主党」が22議席をそれぞれ獲得する見込みである。また、同日に「新憲法制定に賛成するか」を問う国民投票も実施され、「賛成」が60%、「反対」が31%、「棄権」が9%となる見込みである。なお、下院総選挙の正式結果は実施から60日以内に、国民投票の正式結果は実施から30日以内に発表しなければならないとされている。
 
(2)タイ空港公社(AOT)の発表によると、2025年通年のタイ主要6空港(スワンナプーム、ドンムアン、プーケット、チェンマイ、チェンライ、ハジャイ)の利用者数は、前年比+2.3%の1億2,683.1万人だった。国際線は同+0.1%、国内線は同+5.8%となり、いずれも前年を上回った。空港別では、スワンナプームが同+1.1%の6,290.2万人、ドンムアンが同+3.8%の3,615.1万人、プーケットが同+1.5%の1,747.4万人、チェンマイが同+4.8%の951.7万人、チェンライが同+3.6%の198.1万人、ハジャイが同+6.7%の330.6万人だった。一方、観光・スポーツ省によると、2025年通年の訪タイ外国人観光者数は前年比▲7.2%の3,297.4万人となり、海外からの観光収入は同▲4.7%の1兆5,366億バーツだった。タイ政府観光庁(TAT)は、2026年の海外からの観光収入目標を2兆バーツに設定し、芸能人を起用したプロモーションを実施している。
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当記事は、三井住友銀行バンコク支店がとりまとめた資料を、同支店のご好意により利用させて頂いています。
 
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(2026年1月16日)