タイ国に駐在経験のある日本人ビジネスマン(現役&OB)が個人の立場で参加しています。これまでの日本・タイ国両国におけるビジネス経験を生かし、両国間友好関係の促進に寄与したいと考えています。

リレーエッセイ 第33回配信
2025年07月01日配信
JTBF 広報委員会
日タイをつなぐ、展示会デザインの実践
7月2日から4日まで、バンコクのクイーン・シリキット・ナショナル・コンベンションセンターで、脱炭素・持続可能エネルギーに関する展示会「ASEW2025(Asia Sustainable Energy Week)」が開催されます。
本展示会は、アジアにおけるエネルギー分野の最先端技術・ソリューションが一堂に会する、東南アジア最大級のものとなります。省エネルギー、再生可能エネルギー、エネルギー効率化などの分野において、各国の企業や政府関係者が集い、先進的な取り組みや技術を紹介する試みです。
今回、私はジェトロ・ジャパンパビリオンに携わっており、その企画からデザイン、施工、展示設計、PR、運営までを一貫して担当させていただいております。
このお話をいただいた際、ジャパンパビリオンにはどのような設計が必要か非常に悩みました。その結果、こうした技術の国境を越えたソリューションの共有には、日タイ間の持続可能な未来を共に築くための具体的かつ説明のできる設計が必要と考えました。
上記のような背景から、全体設計においては「連帯感」をテーマに、来場者と出展企業の間に自然な交流が生まれるような仕掛けを随所に取り入れています。具体的には、視線の流れや動線、配置に配慮し、対話のきっかけとなる接点を戦略的に設置することで、コミュニケーションが自然に誘発されるような空間としています。それにより、展示を単なるプレゼンテーションの場ではなく、日タイの信頼関係を構築するためのプラットフォームへとつなげていこうとする試みです。もちろん日本出展企業9社の連帯感も強く意識しています。
現在、日タイ間では、互いに学び合い、共に価値を創出していくような関係づくりが求められています。タイ社会の一員として受け入れられるための姿勢を大切にしつつ、タイから日本への発信にも通路をつくり、文化的・社会的な双方向性を高めることが、これからの連携には欠かせません。
だからこそ、このようなひとつの展示会においても、さまざまな差異を縮めるためのコミュニケーションが非常に大切で、こういった小さな積み重ねが、日タイ両国の間における長期的かつ信頼ある協働へとつながると信じています。
私は今後も文化と文化、人と人を橋渡しするための「デザイン視点」を活かしたコミュニケーション設計を通じて、日タイ間の協働を支える実践に携わっていきたいと考えています。日本企業とタイ企業、企業や個人を問わない信頼関係を強化し、持続可能なビジネス社会の共創に貢献できればと願い・・。
このASEW2025での取り組みが、単なる一過性の実践にとどまらず、日タイ社会が未来を共に形づくるための試みの一つであったと後に語れるよう、会期中も運営に尽力したいと思います。
なお、ASEW2025の詳細については、JETROホームページをご参照ください。
期間中、バンコクにおられる方は、ぜひ会場にお立ち寄りいただけますと幸いです。
信藤博之
株式会社オルトデザインオフィス 代表取締役
大阪公立大学 都市科学・防災研究センター(チュラロンコン大学)客員研究員
